新卒病院薬剤師の35%が8年で退職しうち8割以上が薬局へ(国内研究)

新卒薬剤師を8年間の追跡調査を行ったところ、病院からの離職や異動が明らかになったそうです。研究者らはその背景について検討を行っています。

【J Pharm Health Care Sci. 2026 Jul 15】
An eight-year national follow-up study on the employment trajectories of early-career pharmacists in Japan up to 2020
https://link.springer.com/article/10.1186/s40780-026-00602-1

2011年または2012年に薬剤師登録した新卒薬剤師(early-career pharmacists) 7,242人(男性3,458人、女性3,784人)を追跡調査

8年間で約35%の新卒薬剤師が離職または異動し、多くは薬局へ流入

  • 当初病院勤務(2,551人)
    8年後も病院 65.5%(1,672人)
    薬局勤務へ 28.8%(735人、病院離職者の83.6%)
  • 当初地域薬局勤務(3,573人)
    8年後も薬局 88.9%(3,177人)
    病院勤務へ 5.1%(182人、病院離職者の46.0%)
項目
病院スタート群(n=2,551)
保険薬局スタート群(n=3,573)
8年後の継続率
65.5%
88.9%
病院を離職した割合
34.5%
-
離職者の主な移動先
保険薬局へ83.6%
-
  • 病院で働き始めた人の約3分の1が8年以内に病院を離れる
  • その8割以上が保険薬局へ移動
  • 保険薬局で働き始めた人は約9割が継続

男性の離職率はほぼ一定(0.5%未満)だが、女性は3.7%に増加。

女性はキャリア中にライフイベントで離職しやすく、都市集中も影響。

女性薬剤師は年齢に関わらず男性より離職率が高く、都市集中と併せて地域偏在を悪化させる可能性。

病院における専門性向上へのインセンティブを通じた定着率向上策と、女性のキャリア継続を支援するための的を絞った支援は、薬剤師の労働力を維持するために不可欠。

日本の診療報酬制度においては、薬剤師の専門的な貢献が病院の収益として可視化されにくいという構造的な課題があり、責任の重さに比べて病院の給与水準が低いという現状が、この変化を後押し。

近年、日本の診療報酬制度では、専門資格を持つ薬剤師の配置に対する評価が始まっているが、こうした制度的な評価を、病院独自の給与体系や昇進の機会と具体的に結びつける視点を持つことが不可欠。

したがって、病院経営陣は、薬剤師を「適切な医療の質を確保するための戦略的人材」として再定義し、高度な専門スキルを持つ薬剤師に対する経済的・組織的なインセンティブを強化することで、定着率を向上させるべきである。

この研究は、こちらの厚生労働科学研究の一環として行われているようです。(データベースには現時点で報告書はアップされていない)

【2024厚生労働科学研究】
NDB等を活用した病院薬剤師の確保に向けた業務の効率化と潜在薬剤師の活用に資する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/177054


2026年07月20日 23:59 投稿

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