論文・報告あれこれ 2025年10月

他サイトではあまり紹介されていないものを中心に、ちょっと気になった論文や報告、発表などをピックアップしました。気になったものは独立記事に するかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。必ずしも最近アップされたものとは限りません。(特にJ-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間 過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
10.10 Candesartan versus placebo for migraine prevention in patients with episodic migraine: a randomised, triple-blind, placebo-controlled, phase 2 trial
Lancet Neurol. 2025 Oct;24(10):817-827)
カンデサルタンが反復性片頭痛の成人患者における片頭痛日数を有意に減少させ、患者にとって忍容性の高い予防選択肢となることが示された
10.08 Tramadol versus placebo for chronic pain: a systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis
BMJ Evidence-Based Medicine 2025 Oct 7)
トラマドールは慢性疼痛の緩和にそれほど効果的ではなく、潜在的な害が利益を上回る可能性がある
10.06 Pediatric stroke risk and neurotrauma from roller coasters in amusement parks
Pediatr Int. 2025 Oct 4)
ジェットコースター関連の小児脳卒中症例(15歳以下)を分析し、神経外傷に関連する主要なメカニズムと臨床的特徴をまとめた
10.04  【なぜ市販薬で依存症になるのか?】薬物依存研究の第一人者・松本
(TBS CROSS DIG with Bloomberg 2025.10.04)
10代の依存が「12倍」に急増している現実
今の薬事政策のあり方にも言及
また、どう接したらよいかのヒントも「相談しろ」が若者を追い詰める → まず雑談から始めよう(動画あり)
10.04 思春期女子のメンタルヘルス悪化と拡大する性差
(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 2025.09.30)
2024年に20歳未満の女子の自殺者数が男子を初めて上回った
このような傾向の背景に、従来のジェンダー規範に沿った期待に応えるだけでなく、社会的成功も同時に求められる二重のプレッシャー、インターネットの不適切利用、対面だけでなくインターネットを介した性的搾取、過剰なやせ願望、思春期の早期化など、複数の要因が複合的に関与している可能性
10.03 Effectiveness of Statins for Oxaliplatin‐Induced Peripheral Neuropathy: A Multicenter Retrospective Observational Study
Clin Transl Sci. 2025 Sep 29)
オキサリプラチンを投与したがん患者2657人のカルテを解析
スタチンが神経保護剤として作用する可能性
10.03 薬局における口腔の健康維持・増進を推進する薬剤師対象研修プログラムの開発および地域住民を対象とした口腔の健康サポート事業の有用性評価
(2024厚生労働科学研究)
口腔の健康サポートに特化した薬局薬剤師向け研修プログラムを修了した薬剤師による、地域住民の口腔の健康サポートの有用性を、27薬局によるRCTにより検証し、医療費への影響も推計
10.03 Knowledge of the risks associated with being underweight and body shape differences among young Japanese women: a cross-sectional study
Biopsychosoc Med. 2025 Oct 2)
18~29歳の日本人女性984名を対象にしたウェブ調査
7割以上の女性が低体重が無月経のリスクと認識していた一方で、不妊、摂食障害、骨粗鬆症をリスク要因として認識していたのは約半数に過ぎず、低体重が妊娠に及ぼす悪影響について十分な知識を持っていなかった。
10.02 Economic Analysis of Expanding the Role of Community Pharmacy Services in Medicines Optimisation
Final Report
(National Pharmacy Association 2025.10.02)
英業界団体のNPAによる調査報告書
教育的介入、モニタリング、処方の中止、投薬レビュー、疼痛評価など、薬剤師が提供するさまざまな医薬品最適化サポートの経済的影響を検討
コミュニティ薬局の医薬品アドバイスサービスへの投資は、NHSが約12億1000万ポンドを節約するのに役立つ可能性がある(→PressRelease 2025.10.02
10.02 99% of pharmacies now able to treat UTIs
(英ウェールズ政府 2025.10.01)
薬剤師は尿路感染症の症状を評価し、必要に応じて適切なアドバイスと治療を提供できます。これにより、かかりつけ医の予約なしで、NHSのケアを無料で、秘密厳守で受けられるようになります。
10.02 プレコンセプションケア 自治体の炎上事例から学ぶリスク管理-科学的エビデンスと推奨モデルは区別し、性と健康の自己決定権を侵害しない内容構成が必要-
(ニッセイ基礎研究所 2025.10.02)
科学的なエビデンスと将来の健康に影響する現在の個人の健康状態とは区別して考える必要があり、プレコンセプションケアの情報を通して、あくまでも自身の健康状態に目を向けるという視点が必要
少子化対策としての側面を併せ持つことから出産奨励に繋げたい意向も理解できるが、性と健康の自己決定権に踏み入る推奨モデルを強要するのではなく、将来の選択肢を広げるために今の健康づくりの必要性を訴えかける必要がある
10.02 Gender and Social Isolation across the Life Course
J Health Soc Behav. 2022 Sep;63(3):319-335
結婚したことがない男性や、関係の崩壊を経験した男性は、著しく社会的孤立がある
一方、安定したパートナーを持つ人は、年齢を重ねるにつれて、親族や地域社会とのつながり(子供を通じたものも含む)が、未婚またはパートナー関係が破綻した同年代の人に比べて、より安定し、孤立感を軽減する可能性がある
10.01 Could a chat at the pharmacy counter be the antidote to loneliness?
(Women’s Agenda 2025.10.01)
薬剤師は、孤独を感じている人々に他の専門家よりも気づき、サポートする可能性の高い医療専門職です
10.01 腎不全患者のための緩和ケアガイダンス
(日本透析医学会2025.09.29)
腎不全患者の辛い身体症状・精神症状に対する、緩和ケアの体制整備を求める世論を踏まえ、日本緩和医療学会と共同で作成
10.01 Long COVID Symptom Management Through Self-Care and Nonprescription Treatment Options: A Narrative Review
(Int J Environ Res Public Health. 2025 Aug 29)
軽度から中等度の症状を市販薬などで管理するための最新の推奨事項をレビュー
10.01 ICTを利用した全国地域医療情報 連携ネットワークの概況(2024年度版)
(日医総研WP 2025.09.30)
地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)について、調剤薬局の調剤結果を地連NWで共有している地域はおよそ2割であった

 


最終更新日:2025年10月12日

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