パーキンソン病とギャンブル依存症

 最新情報に詳しい方ならもうご存知かもしれませんが、米国やカナダでは、パーキンソン病の治療薬の影響でギャンブルを止められなくなったとして、多くの裁判が起こっています。これらの多くは、去年Archives of Neurology誌に掲載された、下記の報告などを受けてのものと思われます。

Pathological Gambling Caused by Drugs Used to Treat Parkinson Disease
(Arch Neurol. 2005;62:1377-1381)
http://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=789393

赤城高原ホスピタルHPの下記のページ(最後の方)でこの文献の紹介をしています。
http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/PathologicalGambling.htm

 現時点では、メーカーやFDAの担当者は因果関係はまだはっきりしないとして否定しているものの、FDAには多くの事例が報告されているようです。研究者らは、プラミペキソールなどのドパミンアゴニストが、ドパミンD3受容体への刺激を介してギャンブル依存症(病的賭博:Pathological Gambling)を惹起しているのではないかとしています。Archives of Neurology誌の2月号(http://archneur.jamanetwork.com/issue.aspx?journalid=72&issueid=7017)では、この研究を支持する意見も多く示されています。(記事を全部は読めませんが)

 実際に、「パーキンソン病」「ギャンブル」や「Pathological Gambling」「Parkinson disease」などをキーワードに検索してみたところ、体験談などを記した国内外の多くの関連記事、文献などがヒットします。興味ある方はアクセスしてみて下さい。

パーキンソン病とパチンコ依存症(ある個人のサイト)
  http://www.h2.dion.ne.jp/~park/toukou/t31_pachi.html

 現場で患者さんや家族から、パーキンソン病になってから、パチンコにのめりこんだ、買い物依存症になったという話を聞いた場合には、関連性を疑ってみる必要があるかもしれません。

参考:
Mirapex: Alzheimer’s Drug Causes Gambling Addiction
http://www.newmediaexplorer.org/sepp/2006/02/23/
mirapex_alzheimers_drug_causes_gambling_addiction.htm

Prescription For an Obsession? Gambling, Sex Manias Called Surprise Risks Of Parkinson’s Drugs
(Washigtonpost 2006.3.17)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/03/18/AR2006031801179.html
Popular Parkinson’s drug linked to gambling
〜Compulsive behaviors may be side effect of Mirapex, research suggests
(MSNBC 2005.7.12 AP配信)
http://www.msnbc.msn.com/id/8543848

2012.11.29 リンク再設定


2006年03月21日 23:00 投稿

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