日本でなぜ薬剤師の職能拡大に関心が高まらないのか

ここのところずっと考えていたのだが、日本で職能の拡大に関心がなぜ高まらないのか。

やはり全ての根源は「任意分業」が続いていることではないかと。

今や海外では調剤は簡素化し、テクニシャンの手にも委ねられているのにも関わらず日本では、医療・介護システム中での薬師の役割を示すことで、医薬分業のメリットづくりばかりに躍起になってしまっているからだ。

国も職能団体も延々とこのメリットづくりだけに追われ、この20年間で世界標準から大きく後れをとってしまった。

海外では既に調剤だけではなく、ワクチン接種やスクリーニング、軽度疾患への対応などリアル店舗での対面での薬剤師によるプロフェッショナルサービスに軸足を移しつつある。

一方日本では、処方された調剤薬のフォローアップや、Medication Review、在宅貢献にその価値を見出そうとしている。

一定数の患者には確かに必要なものだろう。しかし海外を見ればこういった職能発揮は対象を限定したり、高度のスキルをもった薬剤師に限定されているのも現実である。

おそらく海外ではこういったことは本来他の職種が行う主たる業務という考えがあり、費用対効果を考えれば薬剤師の職能はプライマリ(ヘルス)ケアの場にもっと生かすことを考えているのだろう。

各国政府も医療資源の有効活用と医療費の適正化の視点で、薬剤師によるこういったプロフェッショナルサービスにフィーをつける動きも進んでいる。

日本でも政治の場でそろそろこういった議論が期待されるところだが、医師中心の医療文化と現在の日本の医療は世界一と思い込む国民と政治があり、医療介護システムの肥大化と非効率がすすむことで、医療保険財源とリソースに限界がきている中でも、これを見直そうという動きはなかなかすすまない。

今回政治の枠組みがリセットされたことで、薬剤師の職能活用の議論はおそらく相当先の話になるだろう。

また、調剤に特化をすることでも医薬分業のメリットづくりを示すことも行われてきた。

しかし、2009年の旧薬事法改正で登録販売者制度の登場とともに、セルフセレクションが進むことで市販薬の販売の場に薬剤師の存在意義が失われてしまうということになってしまった。

このままでいくと、早ければ10年後にも地域薬局・薬剤師の活用が議論されないまま、オンライン診療やAI活用だけが進み、今度は身近な生活インフラとしての地域薬局・薬剤師の活用や存在意義そのものが問われることになるかもしれない。

大学、職能団体はそういった世界とならないよう、将来展望を示した方向性をしっかり示してもらいたいと思う。

また、今の現場の取組や課題と共に、こういった世界の動きを社会に広く訴えて、国民や与野党問わず政治家に理解者や賛同者を増やすことも必要だろう。

(Xにも記事として投稿しました)


2026年02月23日 11:38 投稿

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>