豪州における薬剤レビュー(Medicines Review)(メモ)

服用薬剤調整支援料2のモデルとなっている、豪州の薬剤レビュー(Medication Review)が話題となっていますが、日経DIで、現地で薬剤師としている方のコラムでその概要が紹介されています。現地の情報はありがたいです。

【日経DI 2026.04.02】
薬剤師による患者評価に2万円、「メディケーションレビュー」とは?
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/maggie/202604/592568.html

詳細は上記記事を確認して頂ければと思いますが、関連情報について、これまでXに投稿していたものなどを整理してメモとしてまとめました。(後日追記あり)

詳しい仕組みについては、少し古い情報ですが藤田健二氏がこちらでも紹介しています。

オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~
(m3com医療維新 2016.06.09)
https://www.m3.com/news/iryoishin/431834

メディケーションレビューには、患者宅を訪ねて行う「Home Medicines Review(HMR)」と、介護施設の入所者を対象とした「Residential Medication Management Review(RMMR)」の2種類がある

高齢者ケア住宅の入居者向けに1997年に連邦政府が資金提供する薬剤師主導のサービスとしてまずRMMRが開始

HMRは、連邦政府との間で、薬局薬剤師の業務内容や報酬体系等に関する協定であるCPA(The Community Pharmacy Agreement)の、第三地域薬局協定(3CPA)(2000.7-2005.11)の下、2001年に医療保険の枠組みの中で開始

RMMR

(概要)
入居者の主治医(GP)からの依頼があった場合、認定薬剤師は、GPおよび対象となる入居者の医療チームの適切なメンバーと協力して実施。

認定薬剤師が介護施設を訪問し、副作用や害を避けつつ、効果的に使用されているかを確認。

入居者の服薬状況に関する情報を収集、患者本人、その家族、介護者、高齢者介護施設のスタッフとも話し合い、服薬関連の問題を特定、解決、予防するための包括的な評価が行われる。必要に応じて専門医も協力。

この評価結果は、担当医師および医療チーム向けに報告書として作成、その報告書には、服薬管理を改善するための提案が含まれる場合がある。

GPは入居者または介護者、およびレビュー薬剤師と相談の上、薬剤管理計画が作成される。必要に応じて専門医も協力。

(頻度)
入居時、12か月ごと、または入居者の状態変化時などに実施
フォローアップサービスは、初回面談から1か月後以降9か月以内に行う

(提供者)
認定薬剤師が対応する

(対象)
医師の紹介状が必要

(報酬)
初回RMMRサービスの提供(初回面接、評価、RMMRレポートを含む) 112.65ドル(約 12,400円)
初回フォローアップサービス 56.33ドル(約 6,180円)
2回目のフォローアップサービス 28.16ドル(約3,090円)

(患者負担)
有効な公的保険があれば無料

HMR

(概要)
患者の望ましい結果を妨げる医薬品関連の問題を検出して対処することにより、医薬品の安全で効果的かつ適切な使用を実現する。

担当医、薬剤師、地域医療に従事する介護士や看護師など、他の医療チームメンバー、患者(および必要に応じて介護者)間の協力を含むベストプラクティスアプローチを使用することにより、患者の生活の質と健康を改善する。

認定薬剤師が自宅を訪問し、市販薬なども含む全ての薬ついて、薬の使用期限の確認、服用法や服用状況の確認、保管状況の確認、吸入器など使用する可能性のある医療機器の使い方や手入れ方法についても質問を受けたり、説明を行う

薬剤師が報告書を作成し、担当医に送付。担当医は検査結果についてあなたと話し合い、薬の管理計画を作成。これは、医療従事者及び本人が共有。

(頻度)
2年ごと、または状態変化時などに実施
最大2回までのフォローアップが可能

(提供者)
認定薬剤師が対応する
認定薬剤師1人当たり月30件までという上限がある

(対象)
GPなどが Home Medicines Review(HMR)の必要性を評価し、このサービスが有益だと判断された場合、薬剤師へのHMRの紹介状を発行

(報酬)
初回HMRサービスの提供(初回面接、評価、HMRレポートを含む) 222.77ドル(約 24,080円)
初回フォローアップサービス 111.39ドル(約 12,040円)
2回目のフォローアップサービス55.70ドル(約6,020円)

(患者負担)
有効な公的保険があれば無料。ただし、紹介状発行のために医師の診察を受ける場合は料金がかかる場合がある。

認定薬剤師のプログラムはいずれも大学などのプロバイダーが提供

Accredited pharmacist education programs(APC)
https://www.pharmacycouncil.org.au/education-provider/accreditation/pharmacist-education-programs/accredited-pharmacist-education-programs/

豪保健省は去年12月に、農村支援、Home Medicine Review (HMR)、Residential Medication Management Review (RMMR) Program などを含む薬局プログラムの費用対効果の評価書を公表

Pharmacy Programs Cost Effectiveness Review – Final Report
(豪保健省 2025.12.22)
https://www.health.gov.au/resources/publications/pharmacy-programs-cost-effectiveness-review-final-report

これらプログラムについて有益であり継続が重要であるとした一方で次のような課題を指摘している

  • 医療提供者間の協働関係の促進の必要性
  • 品質管理の不備により、プログラムに対する評価が低下
  • 消費者の成果よりも量を優先するビジネスモデルが蔓延しており、質の高いケアを犠牲にして、画一的な定型レポートを提供することがしばしばある。これは、薬剤師が複雑性の低い症例で利益を上げようとするインセンティブとなり、最も必要としている複雑性の高い患者グループへのアクセスを低下をもたらす
  • 薬剤師1人だけの薬局では、調剤業務を犠牲にすることなくHMRおよびRMMRサービスを提供することは困難。その結果、薬剤師は調剤業務を継続するために、営業時間外や週末にサービスを提供したり、全くサービスを提供できなくなったりしている。これは、プライマリケアへのアクセスが限られており、薬剤師が最前線の医療提供において極めて重要な役割を果たしている遠隔地や過疎地域において、特に深刻な問題となっている

一方豪州では、5種類以上の処方薬を服用している、糖尿病患者向けの MedsCheckプログラムというものもある(1か月あたり20件の上限がある)

MedsCheck and Diabetes MedsCheck
(Pharmacy Programs Administrator)
https://www.ppaonline.com.au/programs/medication-management-programs/medscheck-and-diabetes-medscheck

保健省がまとめた報告書では、HMRを利用する複雑度の低い消費者にとって、潜在的に適切な代替手段となり得るとして、MedsCheckでの代替を提案。

HMRを消費者のニーズにより的確に合わせることができ、HMRの利用可能人数を制限しがちな上限設定による問題を部分的に緩和し、結果として複雑度の高い消費者もHMRを利用できるようにすることが可能となるとしている。

最近、豪ABCは、HMRの認定薬剤。師1人当たり月30件までという上限について、現場からは撤廃して欲しいという声を取り上げている

日本でも今後、薬剤師の職能発揮するために、Medicines Review に取り組む必要があると思います。

一方で薬剤師の熱意だけで進めようとしている感も否めません

個人的には下記の点についての検討も同時に進める必要があると考えています。

  • 対象患者の選択(患者希望の国もあるが豪州や医師が必要性を指示、日本はどうするのか)
  • 多職種連携のあり方(医師の意向をどうくみ取るか)
  • 患者参加の仕組み(患者の意向もある)
  • 患者も含めた薬剤管理計画の共有
  • 患者の費用負担(多くの国で無料、日本は3割負担なら3000円となる)

限られた予算枠の中で、どこにどれだけの予算を投じるかもしっかり考える必要があるでしょう。

参考:
Home medicines review
(Healthdirect)
https://www.healthdirect.gov.au/home-medicines-review

HOW A MEDICINES REVIEW IN YOUR HOME CAN HELP YOU GET THE MOST FROM YOUR MEDICINES
(Home medicines review factsheet:NPS MEDICINEWISE 2021.10.06)
https://www.nps.org.au/assets/NPS/pdf/NPSMW2390_Anticholinergics_HMR_Factsheet.pdf

A Guide to Residential Medication Management Reviews (RMMRs)
https://embeddedhealth.com.au/wp-content/uploads/2025/12/RMMR-patient-NoK-guide-and-consent-flyer.pdf

MMRs(PSA)
https://www.psa.org.au/accreditation/mmrs/

Home Medicines Review
(Pharmacy Programs Administrator)
https://www.ppaonline.com.au/programs/medication-management-programs/home-medicines-review

Residential Medication Management Review and Quality Use of Medicines
(Pharmacy Programs Administrator)
https://www.ppaonline.com.au/programs/medication-management-programs/residential-medication-management-review-and-quality-use-of-medicines

Guidelines for Comprehensive Medication Management Reviews(PSA)
https://my.psa.org.au/s/article/guidelines-for-comprehensive-mmr

Medication Review: What’s in a Name and What Is It about?
(Pharmacy (Basel). 2024 Feb 19)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10892708/

Standards in medication review: An international perspective
(Can Pharm J. 2020 Jul 14.)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7605065/

Pharmacists’ role in new aged care quality standards
(AUSTRALIAN PHARMACIST 2018.12.17)
https://www.australianpharmacist.com.au/aged-care-quality-standards-pharmacists/

オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~
第3回 薬局の役割と実現に向けた取り組み
(m3com 医療維新 2016.01.22)
https://www.m3.com/news/iryoishin/392784

関連情報:TOPICS
2026.03.07 高齢者住宅患者向けの薬剤レビューの現状と課題(豪州)


2026年04月02日 15:22 投稿

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