今年5月に公布された改正薬機法ですが、特定要指導医薬品や濫用防止医薬品等の取り扱いの詳細については省令で定めることとなっていましたが、このほど省令案示され、11月1日までの期限で意見募集が行われています。
【e-gov】(受付締切日時 2025年11月1日)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案に関する御意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495250230&Mode=0
私たちと関係が深い項目として、要指導医薬品のオンライン服薬指導(服薬指導って言うのかな?)、指定濫用防止医薬品の販売時の規制等が示されています
省令案概要
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000300472
1.要指導医薬品等の情報提供・販売の方法等に係る規定の整備
今回の薬機法では、要指導医薬品もオンラインでの販売が可能となりました。
薬剤師による事前の情報提供があれば、特定要指導医薬品以外は対面以外での販売になるということになりますが、今後別途省令案等が示されるのかもしれませんが、
- オンライン服薬指導後のコンビニ等での商品の供給方法(手渡し方法)
- 特定要指導医薬品の販売時における取り扱い(対面服用の規定)
などの詳細は示されていないので、意見がある人は提出した方がよいかもしれません
2.指定濫用防止医薬品の販売時の情報提供等に係る規定の整備
今回の改正薬機法は、指定濫用防止医薬品の取り扱いが制度化されますが、見た感じでは、現在の要指導医薬品・第一類に準じたかなり厳しい取り扱いが求められることとなりそうです
おおまかにいうと
- 個別に書面もしくは出力装置の映像面に表示する方法を用いて情報提供を行い、当該情報の提供の内容を理解したこと及び質問の有無について確認
- 年齢確認(購入する人が18歳未満の場合は氏名)
- 適正な使用のために必要と認められる数量として厚生労働大臣が定める数量超えて購入し、又は譲り受けようとする場合はその理由の確認
- 指定濫用防止医薬品を販売し、又は授与する場合は手順書を作成し、それに基づき行うこと
- 直接の容器又は直接の被包に「要確認」(要の文字を囲う)等を記載する
- 原則として指定濫用防止医薬品は直接手の触れられない区画に陳列
- 7メートル以内の範囲に薬剤師又は登録販売者を継続的に配置すれば、直接手の触れられない陳列設備であってもよい
多くのメーカーが主力とし、多くの製品が上市されている総合感冒薬をオーバー・ザ・カウンターにすることは困難でしょうから、事実上のセルフ販売を行ってきた大型ドラッグストアなどから、どのような意見が出されるか注目です。
省令案に基づく、直接の容器又は直接の被包に記載する事項のイメージ(私見)
あ
個人的には、直接の容器又は直接の被包に「要確認」との記載を求めていますが、英国のように、パッケージの正面にはっきりと ’Can Cause Addiction. For three days use only’に該当する文言を付すことの検討が必要ではないでしょうか?
また、現時点では濫用等のおそれのある医薬品ではないものの、デキストロメトルファンが配合された「メジコンせき止め液Pro」で、下記のようなメッセージが含まれた使用者向け情報提供資料が作成されていて、こういった適切な使用が行われた場合の健康リスクを記した資材の作成と提供の義務付けも必要かもしれません。
メジコンせき止め液Pro・使用者向け情報提供資料
https://www.shionogi-hc.co.jp/content/dam/shc/jp/medicon/assets/pdf/mdlp_user_document.pdf
なお、これら指定濫用防止医薬品については、どの成分やどのカテゴリーを対象とするかの範囲は現時点では定まっていませんが、2024年の厚生労働科学研究では、デキストロメトルファン及びジフェンヒドラミンについては濫用等のおそれのある医薬品」として指定すべきとの意見が示されています。
濫用等のおそれのある医薬品の成分指定に係る研究(2024厚生労働科学研究)
(アポネットR 2025.04.15)
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/20250402.html
また、適正な使用のために必要と認められる数量については、現在厚生労働科学研究で案が検討されているようですが、この報告書がアップされ次第、具体的に検討が進められるものと思います。
濫用等のおそれのある医薬品の販売に際しての小容量包装として妥当な包装単位の設定のための研究
(2024厚生労働科学研究)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/178272
省令案によれば、この省令の公布日は令和7年11月下旬(予定)(ちょっと短いのでは)、 施行期日は、令和8年5月1日となっており、意見は聞くが、詳細については厚労省の裁量となるような気がします。
なおこの省令案では、「医薬品製造管理者に係る製造管理者等の要件の見直し」など、製薬に関わる部分についての意見募集も行われています。
関連情報:TOPICS
2025.04.15 濫用等のおそれのある医薬品の成分指定に係る研究(2024厚生労働科学研究)
2024.08.17 濫用等のおそれのある医薬品についての歴史的経緯(未定稿)
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2025年10月08日 10:05 投稿