緊急避妊薬ノルレボのスイッチOTC医薬品の製造販売承認取得

10月20日の官報で要指導医薬品および特定要指導医薬品への指定が告示されています

【官報】
令和7年10月20日(号外第233号)(90日間アクセス可能)
https://www.kanpo.go.jp/20251020/20251020g00233/20251020g002330000f.html

このうち5ページにある、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四十九条第一項の規定に基づき厚生労働大臣の指定する医薬品の一部を改正する件(同二八二)(即ち処方箋医薬品のリスト→リンク)をみると、レボノルゲストレルについて、

医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第十四条第一項に規定する医療用医薬品に限る。

となっており、医療用医薬品として流通しているレボノルゲストレルは処方箋医薬品のままであり、処方箋医薬品としてのレボノルゲストレルは、まだ法的な規制が決まっていない現時点でおいても、零売は不可ということになります。

なお、スイッチ品は第一三共ヘルスケアから発売されることが発表されています。

現時点では製品の仕様および発売時期等については明らかになっていません。

【第一三共ヘルスケア/あすか製薬 2025.10.20】
緊急避妊薬「ノルレボ」スイッチOTC医薬品の製造販売承認取得および販売に関するお知らせ
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/newsroom/release/corporate251020.html

今回、承認前にパブリックコメントとして3つ行われていましたが、その結果の概要も公表されています。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四条第六項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する要指導医薬品を定める件(案)に関する御意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000300972

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四条第三項第四号ロの規定に基づき厚生労働大臣が指定する特定要指導医薬品を定める件(案)に関する御意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000300967

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四条第五項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する要指導医薬品の一部を改正する告示(案)に関する御意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000300965

パブリックコメントでは、面前服用撤廃を求める意見などが寄せられていました。

以下一部を抜粋します。

緊急避妊薬レボノルゲストレルのスイッチ OTC化について現在は国の調査対象として扱われているが、広く市販されるようになると下記の点について留意されたい。

  • 価格競争が起こる懸念があり、安易な使用を助長する恐れがあるので、全国統一価格にするなどの対策をお願いしたい。
  • 安易な使用を防止するために、学校教育から見直して、しっかりと性教育を行うべきである。緊急避妊薬は本来最終的な手段であり、避妊の方法として適切な選択ではないということをしっかりと教育する必要がある。
  • 性暴力の被害者が来局した際などに連絡可能な警察の連絡先を都道府県ごとに明示するべき。これがないと、実際に来局された場合、対応に迷う。
  • 薬剤師の面前での服用や服用後の妊娠の有無の検査の方法など販売におけるチェック項目を取り決めるなどあらたな記録方法が必要である。
  • 販売方法について、販売者に研修等を行い徹底する。

外国人女性の支援に関わっている者です。

緊急避妊薬が処方箋なしで購入できる国が多い中、日本でも同様の運用が始まることを、外国人女性も大いに歓迎しています。

しかし、面前服用が求められることには不安を感じています。

薬局に緊急避妊薬を買いに行くというだけで、十分に勇気が必要なところ、さらに、薬剤師の前で服用が求められると大変な緊張を強いられます。

技能実習生や留学生などの多くは「妊娠したら解雇/退学/帰国」などと警告を受けており、面前服用する際に、職場や学校を尋ねられるのではないか、自分が緊急避妊薬を使ったことを職場や学校に知られるのではないかと不安に思うからです。

面前服用というハードルを設けることで、出身国からの緊急避妊薬の持ち込みや、コミュニティ内での売買などといった問題が解決せず、今後も続くことを懸念します。

この度の法改正は、こうした課題を解決するためであったはずです。外国人女性も安心して購入できるよう、面前服用の条件をなくすことを求めます。

私は地域で薬局を運営し、日々住民の方々の健康相談や医薬品提供に携わっております。その立場から、緊急避妊薬(レボノルゲストレル)の一般用医薬品化について以下の意見を申し上げます。

緊急避妊薬のアクセス改善は、望まない妊娠を減らし女性の健康を守る上で非常に重要であると理解しております。

しかし、現時点で直ちに一般用医薬品として解禁することには以下の懸念がございます。

1.適正使用の担保が不十分
緊急避妊薬は服用のタイミングによって効果が大きく変わり、繰り返しの使用は望ましくありません。医療者の関与が不十分なまま安易に入手できるようになれば、誤った使用や常用化を招きかねません。

2.性感染症や避妊全般に関する誤解の助長
緊急避妊薬は性感染症を予防できず、また通常の避妊法の代替ではありません。性教育や啓発が十分でないまま解禁されれば、誤用やリスク拡大につながる恐れがあります。

3.販売現場での運用体制が未整備
薬局現場では、未成年者や代理購入の扱い、購入者本人の意思確認、薬剤師による説明の徹底など、多くの課題が残されています。現時点では統一的なマニュアルや運用ルールが整っておらず、現場に混乱を生じかねません。

以上の理由から、緊急避妊薬を一般用医薬品として解禁するのは時期尚早と考えます。まずは以下の準備を整え、段階的に導入することが必要だと考えます。

  • 薬剤師による説明義務や販売記録の仕組みを含む実務マニュアルの策定
  • 未成年者や代理購入に関する明確なルールの整備
  • 性教育や相談窓口との連携強化、普及啓発の推進

これらの体制が整った上で初めて、安全かつ適切に一般用医薬品としての販売が実現できると考えます。地域医療の一端を担う者として、慎重な検討と段階的導入を強く求めます。

要指導医薬品としてではなく、一般用医薬品として扱われるべきと考えます。

今般、緊急避妊薬の処方箋なしでの薬局販売の方針が了承され、また、保護者の同意不要、年齢制限なしという方針には SRHR の尊重の観点から賛成であり、また、CEDAW (女子差別撤廃条約)からの勧告事項の遂行という点から、これらの迅速な実施を求めます。

他方、一般用医薬品ではなく要指導医薬品となることについて、薬剤師の目の前での服用を必須する点については、SRHR を侵害するものであり、また、これを必要とする科学的根拠がなく、早急に見直し、削除されるべきです。

要指導医薬品として運用をする場合、薬剤師の対応が利用者のアクセスを阻害したり、利用者を傷つけることがないような運用が求められ、薬剤師が性暴力かどうかを詮索したり、利用者の態度を審判することなく、利用者のニーズに寄り添う支援的な態度で対応し、必要があれば利用者に相談先の情報提供をするとともに、利用者が必要としている緊急避妊薬の迅速な提供をしていただきたい。

また、CEDAW からも勧告されている、基本的な SRHR サービスへのアクセスを保障するという観点からは、取扱いができる薬局の件数を増やすことが必要であり、また、緊急避妊薬の購入金額が購入者に負担になりアクセスを阻害しないよう低額化させるあらゆる措置を講じてください。

緊急避妊薬はあくまでも緊急時に飲むものであり、日常的に避妊の効果をもたらすものではありません。

緊急避妊薬だけに頼らないで女性が日常的かつ主体的に避妊できるよう、毎日飲む普通の経口避妊薬の市販化や様々な避妊方法の普及化もいち早くされるよう検討してください。

様々な報道や情報をみると、女性が主体的に行える避妊方法へのアクセスは、海外に比べ日本は遅れていると感じます。

また性教育などで培われる正しい知識の啓発も日本ではまだ不十分ですので、性犯罪や望まぬ妊娠を防ぎ緊急避妊薬の不本意な使用を増やさないために、ED 治療薬の市販をしないよう検討していただきたいです。

気がかりなのは、薬剤師の面前服用が義務化されていることと、価格です。

薬剤師の前での服用はプライバシーに考慮されたものとは言いがたく、薬剤師から不適切な視線が向けられる可能性もあります。全ての女性が安心して薬にアクセスできるよう、面前服用の要件は外していただきたいです。

また、価格帯も、誰でもアクセスできる価格帯(1000 円以下)に設定していただきたく思います。

すべての人のリプロライツ、ヘルスが守られることを強く望みます

現在は取り扱う薬局がどのくらいになるのか見えないが、できる限り増やしてほしい。そのために必要な、販売を担当する薬剤師の養成については、公費負担すべき。

緊急避妊薬の薬局販売は、女性の性に関する権利と安心のためにとても重要な政策で、ぜひすすめていただきたい。

今回の対面販売開始は大きな一歩であるが、できるだけ早い時点で、薬剤師との対面がなくても買えるようにしてほしい。

薬剤師の面前での販売又は授与を要件化することに反対します。

なぜなら、本件の緊急性に鑑みるに、薬剤師の面前での販売又は授与という条件を付することは利用者の使用の心理的ハードルを著しく高めるものであり、緊急避妊薬へのアクセスを改善するという本件の趣旨に相反するものであるからです。

また、販売者の側が面前服用要件の徹底を図るがあまり、販売時間や販売店舗が制約されるような事態はあってはなりません。以上の理由により、緊急避妊薬は、面前服用義務のない完全な OTC化されるべきと考えます。

悪用の可能性は考えにくいです。女性の意思に基づいた行動を信頼すべきです。またその際、薬剤師から服用者になぜこの薬を使うのかなどの詮索は、服用者がこの薬を使うことそのものを減少させる恐れがあるので、やめてほしいです。

またこの薬を取り扱う薬局が限られているのも心配です。

多くの薬局で薬剤師から対面で買う必要がなく、自由に変えるようにすることが必要だと思います。

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2025年10月20日 17:06 投稿

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