緊急避妊薬・ノルレボ錠が正式承認、パブコメ結果も公表

 正式承認が遅れていた緊急避妊薬のノルレボ錠ですが、23日正式に承認されました。

緊急避妊薬「ノルレボ錠 0.75mg」の国内製造販売承認取得について
(そーせいグループ株式会社 2011年2月23日)
 http://www.sosei.com/pdf/press_jp_20110223_309.pdf

 あすか製薬によれば、欧州での製剤の製造を含む準備に時間を要するため、発売は5月中旬となる予定で、産婦人科向け製品として発売されるようです。

緊急避妊剤「ノルレボ®錠0.75mg」の製造販売承認について
(あすか製薬 2011年2月23日)
 http://www.aska-pharma.co.jp/pdf/company/news20110223

 承認が遅れたのは、そーせい社に当局から求められていた原薬に関わる書類の海外からの取り寄せ及び提出が遅れたため、承認の事務処理が間に合わなかったためのようです。

【お知らせ】 緊急避妊薬「ノルレボ錠 0.75mg」(開発コード:SOH-075)の承認時期について
(そーせいグループ株式会社 2011年2月23日)
 http://www.sosei.com/pdf/info_jp_20110214_306.pdf

 また、承認に合わせてパブコメの結果も公表されています。

『「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に係る意見の募集について』に関する意見募集の結果について(結果公示日2011年2月14日)

パブコメには578件(医療関係者160件、その他(会社員、学生、教員等)175件、無記入243件)の意見が寄せられ、承認すべきとの意見463件(80.1%)、承認すべきでないとの意見114件(19.7%)、その他1件だったそうです。

  → 結果の概要(PDF)  → お寄せいただいた御意見(詳細)(PDF)

 承認すべきとの意見で最も多かったのが、「性的被害を受けた女性を助けるために必要」230件で、「避妊に失敗した場合など、望まない妊娠を回避するために必要」などが続いています。

 また、承認すべきないとの意見で最も多かったのが、「女性にだけ性の責任を負わせ、女性の健康を害する恐れがある」88件で、次いで「着床直後の受精卵を流す極早期の妊娠中絶作用がある」「環境ホルモンであり、次世代に影響が及ぶ」「子供たちの安易な性を助長する」「緊急避妊薬は妊娠中絶の減少にはつながらない」などが続いています。

 個別の意見には興味深いものがあります。薬局等での販売が必要という意見も14件あったそうです。

  • 積極的な啓蒙活動と、販売にあたっては市販とすること(アクセスのよさを重視、 不要な保険診療を避ける)が重要と考えます。(意見112)
  • 最初は処方箋での販売になるのでしょうが、この薬の効能は時間との戦いになります。土日が入ったり、仕事が忙しくて病院に行けないなどのケースも容易に想像されることから、避妊成功率を高めるためにも薬局で購入できるようなシステムをできるだけ早く構築するよう併せて望みます。(意見138)
  • 店頭で仕事をしていると、田舎の個人薬局ですら、ここ10年で性に対する関心が年々急速に若年化している傾向ですし、妊娠検査薬を購入する女子高生も増えました。東京都では、コンドームの販売に関して18歳未満の購入に対し、今後厳しくすると検討されているとのこと、本人の同意を得る得ないにかかわらず、興味本位の性交渉で緊急避妊の必要性がかなり増すように思われます。欧米のように、薬局で薬剤師による相談販売も念頭に入れて検討していただきたく思います。(意見167)
  • 服用が早いほど避妊効果が高いという性質上、薬局での市販など24時間体制でアクセスが可能になるような措置を講じることも、あわせてご検討願います。(意見200)
  • 処方せんなしでの販売を許可している他国の情報を集め、国としては、需要が高い低年齢層の女子の望まない妊娠を防ぐ効果的な使用を考えるべきである。処方せん医薬品のままでは、医師の診察が必要で、その使用の範囲は恐らく数十分の一以下に狭められるであろう。また、その実態状況を調査している間に、低年齢層での望まない妊娠が発生し、不幸な中絶が蔓延し続けるのである。これは彼女達が、将来健康な妊娠を望んだ場合の大変なリスクへと繋がる事実である。私は実際に、ニュージーランドでの薬剤師研修において、コミュニティーファーマシーで、薬剤師がアフターピルを、10代の女子に質問表に従い、処方箋なしで販売するのに立ち会った経験があるが、使用状況には問題がないとのことだった。つまり運用次第で、十分薬剤師の能力だけで、販売が可能と思われる。以上の現実を踏まえ、ノルレボ錠を一日も早く処方せんを必要としない医薬品とすることを進言致します。(意見289)
  • 私は日本の薬学部を卒業し、日本の病院で8年ほど勤めたあと、オーストラリアの薬学部で修士課程で今現在学んでいます。このレボノルゲストレルという薬はオーストラリアでは緊急避妊薬として、すでに使われています。2つの国で薬学を学んでみた観点から見てみると、外国では普通に使われている薬(しかもこの薬はWHOの推奨薬)が日本では使えないという点は患者の不利益以外の何者でもありません。さらに、この点は日本全体の医療の発展の妨げとなっていると感じます。なぜなら医師、日本の薬剤師、医学生、薬学生、看護師、その他コメディカルがこうした優れた効果のある薬を使う場面が生じなければ、いくら本や論文から学んでも、すぐに忘れてしまいます。実際に使う場面が生じてこそ、知識を知識として吸収できると実感します。今回の緊急避妊薬のようなエッセンシャルドラッグが使えない国の医師や薬剤師、あるいは看護師は決して能力が低いわけでもないにもかかわらず、世界に羽ばたいた時、尐なからずショックを受けるのと同時に、海外では使い物にならない医師や薬剤師となってしまったり、経験に基づいた討論すらできません。日本経済が低迷している中、色々な会社が海外に目を向けています。日本人は内向き志向が強く、海外に出たがる人も尐ないとの報道もあります。日本が世界で重要な位置を占めるには色々な意味で努力が必要です。もちろん海外のものがすべていいわけではないですが、こうした実績のある薬を素早く承認することは、患者の不利益を防ぐのと同時に、メディカルスタッフのレベルを世界標準に引き上げるのに役立つのではないでしょうか?(意見387)
  • 服用までに72時間以内の制約があるため、購入者からのアクセスを考慮して将来は一般用医薬品としても早期に認められることを要望致します。本剤に関しては、正確な情報が購入者に十分に伝わる社会環境を整えることが大切です。医療関係者のみならず、教育者、保護責任者も正しい情報を把握し、当事者を支援できる体制をとることが必要です。とりわけ、薬学関係者・薬剤師の役割は重要です。本剤の効能、用法、副作用を当事者に適切に伝えるとともに、そのプライバシーにも配慮しつつ対忚する必要があります。本剤の販売にあたっては、このような環境整備への配慮もなされるべきであることを要望致します。(意見452)

 なお、今回のパブコメに対しては、自民党の山谷えり子議員が質問主意書で政府の見解を質しています。

緊急避妊剤(モーニングアフターピル)に関する質問主意書
(2011年1月27日提出 参議院ウェブサイト)
 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/177/meisai/m177028.htm

関連情報:TOPICS
  2010.12.25 認知症治療薬・緊急避妊薬などが来春発売へ
  2010.12.03 日本カトリック司教協議会が緊急避妊薬の承認反対を表明
  2010.11.10 緊急避妊薬・ノルレボ錠承認に向けパブコメ開始
  2011.02.22 海外におけるスイッチOTCの状況(Update)

参考:医療介護CBニュース 2月23日
     https://www.cabrain.net/news/article/newsId/32664.html

2月24日 13:15一部修正


2011年02月23日 22:35 投稿

コメントが4つあります

  1. アポネット 小嶋

    日本産婦人科学会(http://www.jsog.or.jp/)が緊急避妊法に関する適正使用に関する指針を公表しています。

    緊急避妊法の適正使用に関する指針
    (日本産婦人科学会2011年2月)
     http://www.jsog.or.jp/news/pdf/guiding-principle.pdf

  2. アポネット 小嶋

    最終的な審議を行った、12月24日開催の薬事分科会議事録が掲載されました。

    薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録
    (2010年12月24日開催)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000191le.html

    一部の委員から、適正管理、適正使用の懸念が示され、議論が白熱(?)していることがわかります。

    厳格な管理が課せられる可能性もありますね。

  3. アポネット 小嶋

    5月23日、明日24日から販売を開始するとのアナウンスがでました。

    緊急避妊剤「ノルレボ®錠0.75 ㎎」新発売のお知らせ
    (あすか製薬ニュースリリース2011年5月23日)
    http://www.aska-pharma.co.jp/pdf/company/news201105231

    専門家向け情報は明日以降の掲載だと思います。

  4. アポネット 小嶋

    26日のミクスOnlineの記事によれば、あすか製薬の社長は25日の決算説明会で、ノルレボ錠の希望小売価格が1回(2錠)1万円くらいになるだろうと話したそうです。(薬価未収載なので、価格設定は各施設ごとに決められますが)

    ちなみに比較にはなりませんが、米国ではOTCとして購入できるPlanBが35ドルから60ドル、英国でもOTCで買えるLevonelleが26~28ポンド、さらにネットで個人輸入による販売価格(正規品がどうかはあやしいですが)を見ると、2錠2000円から3000円の設定なっています。(検索結果の一部の情報ですが)