論文・報告あれこれ 2011年11月

今月のちょっと気になった論文や報告です。誤りがあったらご指摘下さい。月ごとにまとめて随時追加する予定です。 

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ)
概要・コメント
11.26 Association of Pharyngitis With Oral Antibiotic Use for the Treatment of Acne
Arch Dermatol. Published online November 21)

にきびの治療に抗生剤を長期間使用すると咽頭炎が3倍以上の頻度で出現するとした断面・後ろ向きコホート調査。
11.26 Public perception on the role of community pharmacists in self-medication and self-care in Hong Kong
BMC Clinical Pharmacology 2011, 11:19 Published 25 Nov 2011)
(オープンアクセス)
香港で行われたセルフメディケーションに関する電話による住民調査。(1560人、回答率は70.8%) 香港では薬剤師がセルフメディケーションやセルフケアに関与することは現時点ではまだまだである。
11.26 Petit manuel de Pharmacovigilanc et Pharmacologie clinique
(Prescrire)

フランスの医薬品監視団体 Prescrire がまとめたファーマコビジランスのガイドブック。薬効群ごとの副作用、リスクベネフィットの考え方、疫学の歴史~過去の教訓、ファーマコビジランスの考え方などで構成。フランス語がわからなくても、Google翻訳を利用すれば、結構参考になる。(日本でもこういった出版物が欲しい)
11.16 World Diabetes Day
Pharmacists’ contributions to diabetes care

(FIP 2011.11.14)

11.14の世界糖尿病デーに合わせて発表されたFIPのレポート。健康増進や「スクリーニング、糖尿病治療への介入など、各国の薬剤師によるさまざまな取り組み例が紹介されている。(薬局での血糖測定等は結構行われている)
11.16 Fluoroquinolone antibiotics: patients with myasthenia gravis may risk increased muscle weakness
(Health Canada Advisories and Warnings 2011.11.07)
重症筋無力症の既往歴がある患者にフルオロキノロン系抗菌剤の使用は、症状を悪化させるとして投与を避けるべきとしたヘルスカナダの注意喚起。
11.16 Why California retailers stop selling tobacco products, and what their customers and employees think about it when they do: case studies.
BMC Public Health 2011, 11:848 Published 8 Nov 2011)
(オープンアクセス)
禁煙傾向が強まるカリフォルニア州で、過去7年間にたばこの販売をやめた、4つの独立系薬局と3つの食料雑貨店の経営者や従業員などに聞き取り調査をした研究。
11.16 Changes in Herb and Dietary Supplement Use in the US Adult Population: A Comparison of the 2002 and 2007 National Health Interview Surveys.
Clin Ther. 2011 Oct 24. Epub ahead of print)
米国民のハーブ製品や健康補助食品の使用状況を調べた研究。使用の傾向は変化しているという。
11.16 Benzodiazepine use and risk of dementia: evidence from the Caerphilly Prospective Study (CaPS).
J Epidemiol Community Health. 2011 Oct 27. Epub ahead of print)
ベンゾジアゼピン系薬剤の長期間の使用と認知症の発症リスクについて調べた研究。オッズ比は3.5となった。
11.16 Population-based study of erectile dysfunction and polypharmacy
(BJUI Online first 2011 Nov 15)

服用薬の種類と数とEDとの関連を調べた研究で、Kaiser Permanente Southern California (KPSC) health plan に登録された中高年37712人を調査。OTC薬を含め約6割が3種類以上の薬剤を使用、うち29%で中等度以上のEDの報告があり、2種類以下で15.9%、3~5種類で19.7%、6~9種類で25.5%、10種類以上で30.9%になるなど服用薬剤数が増えるにしたがってEDも増え、10種類以上でのオッズ比は2.32となった。また、EDと関連した薬剤としては、βブロッカーやサイアザイド系利尿薬、SSRI、三環系抗うつ薬、リチウム、MAO阻害薬、テストステロンレベルに影響を及ぼす薬剤だった
11.01 Suitability of the use of benzodiazepines prescribed by the pharmacist in the elderly. A doctor-pharmacist collaboration study.
Aten Primaria. 2011 Oct 22. Epub ahead of print)
スペインバレンシア地方の11の地域薬局でおこなわれた高齢者のベンゾジアゼピン系の使用状況を調べた研究。相互作用や副作用が認められたケースが多くあった。(原文はスペイン語)
11.01 What can we learn from consumer reports on psychiatric adverse drug reactions with antidepressant medication? Experiences from reports to a consumer association
BMC Clinical Pharmacology 2011, 11:16 Published 25 October 2011)
(オープンアクセス)
2002年1月~2009年4月にスウェーデンのWEBを通じて寄せられた有害事象の傾向をまとめたもの。全部で665の報告が寄せられ、うち442報(2392症状)は抗うつ薬に関するものだった。また、抗うつ薬に関する報告のうち75%は、SSRIとSNRIによるものだった。また抗うつ薬に関する報告は男性に比べ女性の方が圧倒的に多かった(71%)。
11.01 Cost-Effectiveness of Pharmacotherapy to Reduce Obesity
PLoS ONE Published 27 October 2011)
(オープンアクセス)
抗肥満薬のシブトラミン(現在は各国で使用停止)、オルリスタットについて、肥満関連の疾患の発症への影響を費用対効果を検証した豪州の研究。効果は0.1%~0.2%程度で、発症への影響(つまり予防目的の使用だとと思う)は費用対効果はないとしている。
11.01 Piloting the role of a pharmacist in a community palliative care multidisciplinary team: an Australian experience
BMC Palliative Care 2011, 10:16 Published 31 October 2011)
(オープンアクセス)
緩和医療における薬剤師の役割を検討した豪州の研究。(豪州では薬剤師は、緩和ケアをサポートする一員としてまだ認めていないらしい) 研究では、緩和ケアにおける薬剤師の役割を明らかにした他、他職種が薬剤師に求めるものなどを探っています。
11.01 JASDI適応外使用関連フォーラム
(医薬品情報学 13(2)55-74,2011)
2010年11月に行われた医薬品情報学会のフォーラム「適応外使用情報の整理と伝え方」の模様を収録したもの。 「適応外使用への患者家族と企業の思い」「現場の薬剤師から見た適応外使用」「“適応外”?“適用外”? ——精神科の日常診療——」3題のシンポジストの講演と質疑応答が収録されている。
11.01 医療用医薬品における併用禁忌の整合性に関する調査
(医薬品情報学 13(2)47-50,2011)
所属施設採用の医薬品について、一方は併用禁忌、他方は併用禁忌となっていないなど、併用禁忌の組み合わせについて添付文書上の整合性が図られているかどうかを調べた研究。その結果採用1347品目中、147品目239組で整合性が図られていなかった。整合性図られていなかった品目については製薬会社に対して併用禁忌の設定をしていない理由も電話で尋ねた。(結構こういうケースはありますね)
11.01 医療用医薬品と一般用医薬品のブチルスコポラミン臭化物の溶出挙動の比較
(薬学雑誌 131(11)1645-1651,2011)
医療用医薬品と一般用医薬品が販売されているブチルスコポラミン製剤(ブスコパン錠)について、溶出試験と崩壊試験で薬物の溶出挙動の相違を調べた研究。その結果、キョーリンリメディオ社製造の製品とゼリア新薬社発売(製造はダイト)の製品について、ブスコパン錠と溶出挙動が大きく異なった。(初期の溶出が遅れる) 研究者らは溶出の遅れから追加使用することによる過量服用の危険性を懸念している。(どうせなら後発医薬品もいっしょに行って欲しかった。)
11.01
(10.27)
Efficacy and effectiveness of influenza vaccines: a systematic review and meta-analysis
(The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 26 October 2011)

インフルエンザワクチンの有用性と効果を調べた研究のシステマティック・レビュー&エンタアナリシス。過去40年の17のRCTと14の観察研究で解析。乳幼児への有用性は髙かった83%と高かった(LAIVワクチン)ものの、18歳以上の成人の有用性は59%に留まった(TIVワクチン) また、高齢者のエビデンスははっきりわからなかった。解析にはワクチンの種類に違いがあるので、原文・リンク記事で確認を

2011年11月26日 01:10 投稿

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