27日、財務大臣の諮問機関の財政制度等審議会は、今年の「骨太の方針」に向けた春の建議をとりまとめています。
医薬品・調剤分野では、
- 費用対効果評価の一層の活用に向け、現行の評価体制の抜本的な強化
- リフィル・フォーミュラリの推進
- 調剤基本料の適正化と、対人業務へのシフト
- セルフケア・セルフメディケーションの推進
などが盛り込まれています。
【財務省・財政制度等審議会 2025.05.27】
激動の世界を見据えたあるべき財政運営
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html
建議ではまず、我が国の医療保険制度の特徴と課題を示したうえで、あるべき医療・介護分野の理想像を示しています。
今回特筆すべき点は、「医師に代わり薬の処方を行うなど薬剤師の活躍の場が広がっていることなどが理想である」(本文p61)と、薬剤師の権限拡大への期待が盛り込まれていることです。
リフィル推進については、「かかりつけ薬剤師による服薬状況等の確認を組み合わせることにより、通院負担を軽減させ、患者の利便性を向上させることが可能」として、診療報酬上の加減算も含めた措置を検討すべきだとしています。(p76)
また、患者本位の良質な治療を全国どの地域でも保障するためには、「標準的な薬物治療」の推進が重要であるとして、地域フォーミュラリを強力に推進すべく、国がリーダーシップを発揮して必要な施策を早急に実施すべきであるとしています。(p81-82)
一方、調剤報酬については、かかりつけ薬剤師指導料や服用薬剤調整支援料等の算定が低い状況を指摘し、政策目標の達成状況に照らして、必要に応じ、報酬体系の再編等を検討し、その際、かかりつけ薬剤師指導料や服用薬剤調整支援料といった、薬学管理料の中でも、真に対人業務を評価する項目への評価の重点化を進めるべきであるとしています。(p77)
また、更なる適正化の余地があると考えられるとして、経営の実態を踏まえながら、処方箋集中率が高い薬局等における調剤基本料1の適用範囲を縮小すべきであるとしています。(p78)
一方、今回の建議ではセルフケア・セルフメディケーションの推進が盛り込まれていて、薬機法改正でも議論された、医薬品の分類や、OTC類似薬の保険適用についての論点が示されました。(p87-88)
建議ではまた、国民の利便性向上に資する医薬品のスイッチOTC 化を着実に進めて、薬局で自ら購入できる医薬品の選択肢を増やしていく必要があると指摘するとともに、既に医師の処方を受け、症状が長期に安定しているような生活習慣病患者に係る医薬品(降圧剤等)や検査薬のスイッチOTC化をも提言しています。(p88)
さらに、セルフケア・セルフメディケーションの前提となる国民意識の変革が必要だとして、OTC 薬の使用を促すインセンティブ措置を行う保険者の取組も必要だとしています(p89)
2025年05月27日 18:44 投稿