エスエス製薬は5月20日、ED治療薬「シアリス」(1錠中タダラフィル10mg)について、OTC医薬品としての製造販売承認を取得したと発表しました。
【エスエス製薬 2026.05.20】
エスエス製薬、ED治療薬「シアリス®」のOTC医薬品としての承認を取得
https://www.ssp.co.jp/news/2026/20260520/
正しい理解と適切な治療選択の普及を目指して エスエス製薬、ED治療薬「シアリス®」のOTC医薬品としての承認を取得 https://t.co/2liTHZ7m8Y
— PR TIMESビジネス (@PRTIMES_BIZ) May 20, 2026
効能・効果
ぼっ起不全(満足な性行為を行うに十分なぼっ起とその維持が出来ない人)
用法・用量
成人男性(18才以上)1回1錠を性行為の約1時間前に水又はぬるま湯で服用してください。1日1錠を超えて服用しないでください。また服用間隔は24時間以上あけてください。
添付文書をみると、使用可否の判断として、服用できない人、確認が必要な事項がかなりありそうです。
添付文書
https://www.ssp.co.jp/assets/cialis/product/cialis_package_insert.pdf
禁忌の人
次の人は服用しないでください
- 本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人。
- 狭心症等の心臓病によく使用されるニトログリセリン(ミリスロール等)、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド(ニトロール、フランドル等)、ニコランジル(シグマート等)等の硝酸剤等を使用している人。(使用中のお薬をよくご確認ください)
- リオシグアト(アデムパス等)、ケトコナゾール(経口剤、国内未発売)、イトラコナゾール(イトリゾール等)、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド等)を使用している人。(使用中のお薬をよくご確認ください)
- 心血管系に障害がある等、性行為が不適当と考えられる人。
- 不安定狭心症の人、又は性行為中に狭心症を起こしたことがある人。
- 薬を服用しても脈の乱れを抑えられていない人、低血圧の人(血圧<90/50mmHg)、又は血圧を下げる薬を服用しても血圧が高い人(安静時血圧>170/100mmHg)。
- 3ヵ月以内に心筋梗塞を起こしたことがある人。
- 6ヵ月以内に脳梗塞・脳出血を起こしたことがある人。
- 医師から肝臓に関する異常を指摘された人。
- 医師から腎臓に関する異常を指摘された人。
- 次の診断を受けた人。網膜色素変性症
- 女性。
(性行為は心臓へのリスクを伴います。心臓・血管系障害の疑いのある人は、必ず事前に医師に確認してください。心筋梗塞等を引き起こすおそれがあります。
グレープフルーツジュース等はこの薬に影響しますので、控えてください
確認が必要な人
次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談してください
- 医師の治療、医師から投薬を受けている人、又は次の薬剤を服用している人。前立腺肥大症治療薬又は血圧を下げる薬(α遮断剤(ドキサゾシン等)、アムロジピン等)、抗HIV薬(リトナビル、サキナビル等)、抗菌薬(リファンピシン等)、抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタール等)
- 高齢者。
- 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人。
- 次の診断を受けた人。持続ぼっ起症(4時間以上ぼっ起が続いたことがある)、血液の病気(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)、出血性疾患、消化性潰瘍、陰茎の変形(屈曲、陰茎の線維化、ペロニー病等)
- 他のぼっ起不全の治療を行っている人。
- 軽い運動や中程度の運動(例えば20分程度早足で歩く、階段を1階分早足で駆け上がる等)でひどく息苦しくなったり、胸に痛みを感じたりする人
現時点では発売開始日は明らかになっていませんが、包装は1錠入りと4錠入りが設定されるようです。
ブランドサイトも公開されています
Cialis シアリス(ED治療薬)
https://www.ssp.co.jp/cialis/
チェックシートが公開されている一方、薬機法改正で可能となったオンライン購入の仕組みの活用が想定されています。
チェックシート
https://www.ssp.co.jp/assets/cialis/checksheet/print.pdf
直販メーカーであることから、販売ルートはエスエス製薬と直取引があるところとオンラインが主体となり、既存の個店や調剤主力店で果たして取り扱いが可能となるかどうかの懸念があります。
承認に向けてのパブコメ結果も公表されています
承認に支持する意見がある一方、改めての市販化に懸念の意見が寄せられています
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四条第五項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する要指導医薬品の一部を改正する告示(案)に関する意見募集の結果について(e-gov 2026.05.20)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&id=495250400&Mode=1
寄せられた意見と厚生労働省の考え方
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000314455
| 案に対する意見の要旨 (一部抜粋) | 意見に対する厚生労働省の考え |
|---|---|
| 当該医薬品が要指導医薬品として市販されれば、悪用(レイプや痴漢など性犯罪、DV などのトラブル、いじめ、虐待、DV、買春やパパ活など)や、薬による性行為の増加に伴う中絶・性病の増加が懸念されるため反対です。
当薬は性行為を行うための薬であり、購入者がトラブルを起こさないよう厳格に対応していく必要があると思いますので、販売基準は厳しく、値段も高く設定して頂きたいと思います。 販売の年齢上限を設けてほしい。少子化対策として市販化されるという意義が大きい薬であれば、子どもができたときにきちんと責任を持って育てられる年齢や立場の男性にしか購入できないようにし、産婦人科などのクリニックとの連携や連絡も義務付けてほしい。高齢者への販売は健康被害のリスクはもちろん、万が一犯罪まがいの方法で若い相手と性行為し妊娠させた場合の責任能力が心配。 インターネット販売はやめてほしい。犯罪者による性犯罪・DV・買春など悪用の懸念がある薬なので、手軽に買えるようになればそれだけ問題も増えると思う。性の薬剤師が販売する場合、購入者によるセクハラが懸念されている。 セクハラがあった場合の対処(即座通報、薬局での対応手順、セクハラ加害者への販売禁止など)も明確化し、販売時の注意として国民に周知させてほしい。 |
要指導医薬品としての販売時の薬剤師による情報提供、 薬学的知見に基づく指導及び必要に応じての受診勧奨等により、適正使用を確保してまいります。 加えて、製造販売業者によりパートナー向け情報提供資材が作成され、本成分が使用された先に存在する方にも 必要な情報提供が行われます。 |
| 禁忌薬や併用注意の薬を服用していても、それを薬剤師に申告しない患者は少なくありません。そのような方が服用し、副作用が発現した場合には適切なフォローが必要となります。したがって、服薬状況や健康診断結果を提示しなければ購入できないなど、より厳格な仕組みが必要だと考えます。よって要指導医薬品よりも更に厳格な言い方のものが望ましいと思います。 | 要指導医薬品としての販売時に薬剤師による情報提供、薬学的知見に基づく指導及び必要に応じての受診勧奨等により、適正使用を確保してまいります。 |
| 海外では普通に販売されており、薬局で購入することができる。副作用はすべて回避できるものではないのはその他の医薬品でも同じことであり、販売は問題ないと考えられる。ただ、併用禁忌が存在するため、患者に併用薬を提示する義務を課してもいいのではないかと思われる。 | |
| タダラフィルの要指導医薬品化は賛成。しかし、心疾患等のリスク要因があることから指導の重要性や販売規制は厳格にする必要はあると考える | |
| 海外では普通に販売されており、薬局で購入することができる。副作用はすべて回避できるものではないのはその他の医薬品でも同じことであり、販売は問題ないと考えられる。ただ、併用禁忌が存在するため、患者に併用薬を提示する義務を課してもいいのではないかと思われる。 | |
| 心理的障壁から医療機関を受診せず、治療を行わない患者が一定数いることを考慮すると、要指導医薬品への指定については賛成。 どうしても利用したいユーザーは輸入品などを勝手に自己判断で使ってしまうことを考えると、スイッチ OTC 化を図り、適切な資格者の指導のもと、利用できる方がよい。少子化改善にも一定の寄与がある可能性があり、国として打てる対策は全て打っておいた方が良い。 精神的な依存には留意して販売が行われることは必須である。 |
今回の承認に渡っては、2023年度に要望が提出、昨年5月24日開催の医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(→TOPICS 2025.05.24)で検討が開始され、意見がとりまとめられました。
学会・医会見解
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001552515.pdf
関係業界見解
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001552516.pdf
検討結果
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001552517.pdf
その後、これを踏まえ、昨年9月18日開催のに要指導・一般用医薬品部会審議(→TOPICS 2025.09.16)、さらに今年2月2日に9月の部会で指摘された点への対応状況が説明(議事録は現時点では非公開)と、スイッチ化新スキームの下、異例のスピードで承認に至りました。
生活者のニーズがあり、メーカーとしても需要が見込める成分については、今後こういった形でのスイッチ化が進むのかもしれません。
関連情報:TOPICS
2025.09.16 シアリス(タダラフィル)のスイッチが18日に審議へ
2025.08.19 Liste B+ 医薬品は日本でいうところの零売?(スイス)
2025.05.24 ED治療薬のスイッチOTC化に向けての議論(評価検討会議・速報)
2025.05.19 EDの管理とセルフケアにおける薬剤師の役割(FIP)
2025.04.23 プライマリケアにおける薬剤師の役割を拡大するための医薬品の分類(豪・NZ)
2025.04.22 シルデナフィルのOTC化は今回も認めず(独・専門委)
2017.11.29 バイアグラの処方箋なしでの購入が可能に(英国)
2014.10.17 シルデナフィルが処方せんなしで購入可能に(NZ)
2026年05月20日 11:40 投稿
