論文・報告あれこれ 2014年3月

 他サイトではあまり紹介されていない、ちょっと気になった論文や報告などをピックアップしました。紹介の日付が5月以降となっていますが、ツイートした時期に合わせて、この月の分として取り扱わせて頂きました。

 気になったものは独立記事にするかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。これから (J-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります) 

 ★更新することが多いので、2013 年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。  

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
05.11 総統閣下がお薬手帳を持たない方にお怒りのようです YouTubeにアップされていた、映画をパロッたユニークな動画。
05.12 OTC医薬品に関わる専門家教育と供給等に関する調査研究
(平成24年度厚生労働科学研究)

鹿児島県の離島部の住民を対象とした一般用医薬品の購入状況に関する調査結果、欧州、カナダにおける一般用医薬品供給規制と薬剤師教育について調査結果、上田薬剤師会などで行われた薬剤師の軽医療研修プログラムの評価。
05.12 薬物乱用・依存等の実態把握と薬物依存症者に関する制度的社会資源の現状と課題に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
先行してWEBにアップされた、「薬剤師を情報源とする医薬品乱用の実態把握に関する」(TOPICS 2013.04.16)などの薬物乱用・依存等の実態把握調査と、薬物依存症者に関する制度的社会資源の現状と課題,再乱用防止のための治療プログラムの開発・評価が行われた。
05.12 地域医療における薬剤師の積極的な関与の方策に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
「外来処方の長期東薬患者への薬剤師の拡大的機能評価」調査研究への取組、薬剤師が提供する在宅ケアサービスのアウトカム検証 など
05.12 妊娠・授乳期における医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
妊娠中のBZ系薬剤使用に関する症例研究(4個めPDF)妊娠と薬情報センターデータベースを用いた降圧剤使用の実体と問題点(4-5個めPDF)などは興味深い。
05.12 慢性疾患における多剤併用と副作用発現との関連に係る疫学調査の手法に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
向精神薬をモデル的にとりあげ、電子カルテ等から得られた臨床データを用いて精神疾患を有する患者の多剤併用状況とそれに伴う副作用の発現状況に関する疫学調査の可能性を示したもの。病院が所有する臨床データベースを用いた抗精神病薬の調査の手法に関する研究(PDF2個め)など
05.12 慢性疾患における多剤併用と副作用発現との関連に係る疫学調査の手法に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
一般身体科における向精神薬処方:せん妄への医療的介入に関する検討(2個目のPDF) など
05.12 小児等の特殊患者に対する医薬品の適正使用に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
処方箋記載方法の標準化に関する意見聴取、「小児の漢方診療の手引き」最終案作成、厚生労働省臨床研修指定病院小児科を対象としたドーピング意識調査など
05.12 一般用医薬品の安全な販売制度体制の確保に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
一般用医薬品購入者と専門化の意識と実態に関する調査、郵便等販売医療者の意識と実態等に関する調査、遠隔医療を用いた服薬指導・服薬管理・相談応需の可能性に関する研究など
05.12 一般用医薬品における、化学合成品等のリスク区分の見直しと漢方製剤の安全性確保に関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
後半のPDFファイルにある、体質・症状に応じた適切な使用方法を推進することを目的として試作された、漢方処方製剤についての使用者確認票は興味深い。
05.12 患者及び医療関係者との医薬品等安全対策情報のリスクコミュニケーションに関する研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
欧米の規制当局のリスコミ方策・ツールに関する情報収集、また該当文献レビューを行い、効果的なリスコミのエビデンスに基づく新しい「患者向医薬品ガイド」のあり方を検討した。英国における患者向け医薬品情報書のユーザーテストの概要についても紹介。
05.12  薬剤性肺障害に関する包括的研究
(平成24年度厚生労働科学研究)
日本人の薬剤性肺障害における遺伝学的要因の関与を検討。
05.11 緊急度判定体系に関する検討会報告書
(総務省消防庁2014.3)

2013年度の実証検証で得られたデータをもとに策定した、救急受診ガイド(家庭自己判断)、電話相談、119 番通報、救急現場の各段階の緊急度判定プロトコル Ver.0を改良したものをまとめたもの。救急受診ガイド(家庭自己判断)や電話相談プロトコルは、薬局店頭や電話での相談でも活用できそう。
05.11 健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会報告書
(厚労省 2014.03.31)
睡眠薬などの薬を用いて治療を受ける際は、医師に指示された用法や用量を守り、薬剤師から具体的な服薬指導を受けることが重要です。
05.11 平成25年度医薬分業指導者協議会資料
(厚労省 2014.03.20 開催)
地域における「かかりつけ薬局」の今後の在り方についてなどの各地の取り組みや、平成25年度全国薬局疑義照会調査結果 の報告が行われた。
05.11 生活保護の実施状況について
(会計検査院 2014.03.19)

「医療扶助の状況」の項では、向精神薬等の重複処方の状況が記されている。(→該当ページ
05.11 Cardiovascular risk with and without antihypertensive drug treatment in the Japanese general population: participant-level meta-analysis.
(Hypertension Pubalished Online 17 Mar 2014)
日本人を対象としたコホート研究のメタアナリシス。 降圧治療をうけていると、心血管病での死亡リスクが1.5倍?2009年にも同様の研究(J Hypertens. 2009 Feb;27(2):357-64.)があるが、「本研究の結果を解釈する際には、治療により脳卒中のリスクが上がるのではなく、血圧が高い期間の影響や高血圧以外の要因などにより、リスクが下がり切れなかったと考えなければなりません」とのコメントが行われていた。(→一般住民における脳卒中リスクと降圧剤治療・JAL
05.11 Serum total cholesterol concentration and 10-year mortality in an 85-year-old population.
Clin Interv Aging Published Online 13 Feb 2014)
福岡県の9地区の1917年生まれの高齢者827人を対象に行われた研究。207人について追跡調査したところ、比較的高めのTCおよびLDL-Cレベルにあった人の方が、高齢者の寿命に利益をもたらす可能性があるとした。
05.11 Prognostic value of severity indicators of nursing-home-acquired pneumonia versus community-acquired pneumonia in elderly patients
Clin Interv Aging Published Online 11 Feb 2014)
一宮西病院の報告。特別養護老人ホームから入院した肺炎患者の重症度は在宅患者と異なるらしい。(死亡率が大)
05.11 Increased phenylephrine plasma levels with administration of acetaminophen.
NEJM Published Online 20 Mar 2014)

NEJM誌への投稿。フェニレフリンにアセトアミノフェン、イブプロフェンが併用されると、最大血漿濃度が4倍、AUCが2倍になるという。 日本では鼻炎薬のみの配合だが、痛み止めを上乗せするとフェニレフリンの副作用が発現する可能性も。腸壁で硫酸抱合(?)によって代謝される過程を、アセトアミノフェンが阻害するらしい。
05.11 Fall risk-increasing drugs and falls: a cross-sectional study among elderly patients in primary care
BMC Geriatr Published Online 27 Mar 2014)
薬の種類数を減らし、向精神薬の中止を中心するなどの介入が高齢者の転倒を防止につながるとした。
05.11 Contraceptive services with a focus on young people up to the age of 25
(NICE 2014.3)

避妊サービスに関するNICEのガイドライン。10代の望まない妊娠を減らすために、学校看護師(養護教員)や薬剤師による無料の緊急避妊薬の供給を行うべきなどとした助言を行っている。日本では未だ処方せん医薬品。価格は高く、アクセスも悪い。
05.11  Reversible constriction of the fetal ductus arteriosus after maternal use of topical diclofenac and methyl salicylate
(Ultrasound Obstet Gynecol. 2006 Feb;27(2):227-9.)
ケトプロフェン外用剤の妊婦への禁忌がアナウンスされたことから調べて出てきた症例報告。この報告の通りだとすると、ジクロフェナクやサリチル酸系の使用も控えた方がいいということになる。
05.11 Ibuprofen and Erectile Dysfunction
 (WHO Pharmaceuticals Newsletter No. 1, 2014)
WHOによるシグナル検出。WHOのデータベースVigiBaseには、37例の報告があるという。(うち32例で関連性が疑われ、12例で再投与で再発)
05.11 Organic causes of erectile dysfunction in men under 40.
Urol Int.Published Online 21 Oct 2013)
上記関連でヒットした論文。抗うつ薬、フィナステリド、抗不安薬、神経弛緩薬(抗精神病薬)、NSAID、筋弛緩薬などがEDと関連していうという。
05.11  ICUへの薬剤師常駐による効果
(日本集中治療医学会雑誌  21(2) p147-154 2014)
薬剤師は医療経済への貢献だけでなく、安全な医療の提供や患者転帰にも大きな影響を与える可能性が示唆された。
05.11 Serotonin-norepinephrine reuptake inhibitors for the management of chemotherapy-induced peripheral neuropathy.
Ann Pharmacother Published Online 27 Feb 2014)
文献レビュー。ベンラファキシンおよびデュロキセチンがCIPN(化学療法に伴う末梢神経障害)の治療に有効であることが示唆された。
05.11 Oxaliplatin-induced renal tubular vacuolization.
Ann Pharmacother.Published Online 10 Mar 2014)
症例報告。オキサリプラチンは血液毒性による二次的急性腎障害をもたらす可能性があり、化学療法を行う際には、溶血などのモニタリングも必要だとした。
05.11 Diabetes patient management by pharmacists during Ramadan
BMC Health Serv Res Published Online 10 Mar 2014)
カタール大の報告。海外ではこういったスキルも要求されます。
05.11 Effects of campaign for postpartum vaccination on seronegative rate against rubella among Japanese women
BMC Infectious Diseases Published Online 21 Mar 2014)
妊婦に風疹の抗体がどれだけあるかを調べた研究。
05.11 The Effect of Statins on Erectile Dysfunction: A Meta-Analysis of Randomized Trials
J Sex Med Published Online 29 Mar 2014)

フルテキストをみないとよくわかりませんが、スタチンがEDに有用かもしれないという研究。
05.11 Organic food consumption and the incidence of cancer in a large prospective study of women in the United Kingdom
Br J Cancer Piublished Online 27 Mar 2014)

オーガニック食品が女性のがんリスクを減少させるという仮説を否定。
05.11 Exposure of Children and Adolescents to Alcohol Marketing on Social Media Websites
Alcohol Alcohol Published Online 28 Nov 2013)
テレビでの広告時間を規制してもソーシャルメディアでは常にさらされ、若者やこどもが影響を受けているという。日本ではどうなんだろう。
05.11 Efficacy of Ambroxol lozenges for pharyngitis: a meta-analysis
BMC Fam Pract Published Online 13 Mar 2014)
咽頭炎へのアンブロキソールのトローチの効果を調べたもの。(EMAではレビューの対象にもなっているけど)
05.12 Minutes of the meeting on 3-6 February 2014
(EMA Published Online 18 Mar 2014)
EMA PRAC の議事録。新たなシグナルとしては、ランソプラゾールと溶血性貧血、セルセプトと気管支拡張症/低ガンマグロブリン血症、アミオダロンと発がんリスクなどが示された。

最終更新日:2014年5月12日

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