かかりつけ薬剤師(制度)の行方は(2026調剤報酬改定の展望③)

2016年の改定で導入された「かかりつけ薬剤師指導料」が今回の改定でついに廃止されました。

一方で、かかりつけ薬剤師が行う指導(服薬管理指導料)が新たに設定されています。(かかりつけ薬剤師指導料が無くなったので、新たに届け出をすることになるのかな)

短冊を何度も読み直して、こんな感じになるのではと思いました。

(現行)

かかりつけ薬剤師契約ありの人に服薬指導 かかりつけ薬剤師契約なしの人に服薬指導
2回目以降 かかりつけ薬剤師が指導 76点
(かかりつけ薬剤師指導料)

かかりつけ薬剤師以外が指導59点
(かかりつけ薬剤師指導料特例)

3か月以内に再度処方箋を持参

45点(手帳有)
(服薬管理指導料1)

59点(手帳なし)
(服薬管理指導料2)
初回
3か月以内ではない
59点
(服薬管理指導料2)

↓ ↓ ↓
現行の服薬管理料が45/59点で変更となしと仮定して(改定後)

かかりつけ薬剤師契約ありの人に服薬指導 かかりつけ薬剤師契約なしの人に服薬指導
2回目以降
3か月以内に再度処方箋を持参
かかりつけ薬剤師が指導
(手帳有) ●●点?(45+α点 or 45-α点)
(服薬管理指導料1のイ)
(手帳なし)59点
(服薬管理指導料2)

かかりつけ薬剤師以外が指導
(手帳有)45点
(服薬管理指導料1のロ)
(手帳なし)59点
(服薬管理指導料2)
(手帳有)45点
(服薬管理指導料1のロ)
(手帳なし)59点
(服薬管理指導料2)
初回
3か月以内ではない
かかりつけ薬剤師が指導 59点
(服薬管理指導料2)

かかりつけ薬剤師以外が指導 59点
(服薬管理指導料2)

59点
(服薬管理指導料2)

となります。

どうでしょう、かかりつけ薬剤師が服薬指導した場合、かかりつけ薬剤師以外が服薬指導した場合、より配点が高くなるのは考えにくいような気がします。

お薬手帳を持参し、かつ、かかりつけ薬剤師が患者さんの薬歴一元管理や安全対策に協力した下で指導という観点で配点するのであれば、服薬管理指導料1のイ●●点は、自己負担を軽減する45-α点方向性になるのが自然のように考えます。

一方で、お薬手帳の場合とは異なり、かかりつけ薬剤師の当日の在籍の有無は、患者ではなく薬局側の事情になります。かかりつけ薬剤師がいない場合は自己負担が高くなるというのは制度設計的にどうなのかということは疑問です。

また新たに、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算●●点(3か月に1回)、かかりつけ薬剤師訪問加算●●点(6月に1回)という加算が設けられる予定です。

それにしても、なぜ国はここまでして、かかりつけ薬局ではなく、「かかりつけ薬剤師」が関わること、行うことにこだわるのでしょうか。

個人的には下記のような経緯があり、先人の薬系技官が作り上げた患者のための薬局ビジョンをも支える根幹であり、制度として何らかの存続が必要ではないかと思っています。

かかりつけ薬剤師制度は現在の健康サポート薬局の要件が検討された、健康情報拠点薬局(仮称)あり方に関する検討会での構成員の日医の羽鳥氏の発言が始まりだと思っています。

そして、当時まだ明確なかかりつけ医が定義されていなかった頃、社会保障審議会医療部会で当時委員だった日医の中川さんの発言がダメ押しになり、さらに日薬の安部委員がその発言を一部肯定してしまたったことから、現在の形になってしまったと思います。

つまり、かかりつけ薬剤師指導料は、審議会・検討会での医師会委員の妄言に忖度し薬系技官が作り出した制度と考えています。

以前より、薬剤師は開業医と異なり、勤務者がほとんどで、制度的になじまないと指摘してきました。

また、従来からかかりつけ薬剤師的な業務を行っているのに、新たに費用を徴収できない、他の施設基準とからませることで、一部ノルマ的なものが強いられているとの指摘も出ていました。(改定後は服薬管理指導料1のイの算定回数が要件に取り入れられるのかな?)

第631回中医協(2025.11.28開催)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001600992.pdf

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こういった批判がある中、引き続きこの「かかりつけ薬剤師」を国がこだわる背景には、国民にかかりつけ薬局を推進するには、顔なじみの薬剤師を同じ店舗に長く在籍させ、地域のヘルスケアの顔となるような状況が必要と考えたのではないか思います。

チェーンによっては、規模拡大に伴い、特に優秀な社員を新店舗に配転させることがあると思います。国はかかりつけ薬剤師にこだわることで、チェーンでの転勤などの流動化を抑止することを考えているのではないでしょうか。

例えば病院ですと、人気のある医師が地域内で独立すると、患者がついていきますよね。

かかりつけ薬剤師も同じです。会社的には効率も悪くなるし、コストもかかりますが、医療ということを考えるとき、薬系技官は「かかりつけ薬剤師」をこだわったのではないかと思われます。

もう一つは、お薬手帳のように、かかりつけ薬局・薬剤師を一般の認識にしたいという狙いがあると思います。

そのためには、かかりつけ薬剤師が指導した場合に限り、配点を下げるという仕組みが十分あり得ます。お得意様はお得ですよです。

最近はかかりつけ薬剤師制度の評価や研究が進められています。

厚生労働科学研究ではその正当性のためのアリバイ作りがすすめられていますが、一方で、こういった批判もあることにも留意する必要があるでしょう。

こどもにかかりつけ薬剤師制度は必要か?(国内研究)
(アポネットR 2025.09.04)
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/20250902.html

いずれにせよ、改定後は、服薬管理料の配点が変わらないと仮定し、服薬管理指導料1のイを算定すると、これまでのかかりつけ薬剤師指導料と服薬管理指導料との差額31点(3か月以内・手帳有)はほぼ失われることになり、これまで多くの患者さんとの契約を獲得し、そのフィーを収入の糧としていたところにとっては痛手でしょう。別の加算等に配点されることになると思われますが、どのような影響があるかは現時点では不明です。

関連情報:TOPICS
2016.05.18 調剤報酬の「かかりつけ薬剤師」の要件に異議あり

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2026年01月28日 11:23 投稿

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