論文・報告あれこれ 2017年7月

 しばらくお休みにしていましたが、ちょっとメモとして再開してみました。来月以降も継続できるかどうかはわかりません。紹介日は基本的にツイートした日です。

 他サイトではあまり紹介されていないものを中心に、ちょっと気になった論文や報告、発表などをピックアップしました。気になったものは独立記事に するかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。必ずしも最近アップされたものとは限りません。(特にJ-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間 過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

 ★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。

右下にこのページの最終更新日を記してあります。

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
07.31 Physicians’ and pharmacists’ information provision and patients’ psychological distress.
(J Interprof Care 2017 Jul 28)
九大の研究。1500人の地域薬剤師にアンケート調査を行った。フルテキストで読んでみたい
07.31 Contre-indication chez l’enfant de moins de 2 ans des spécialités à base de trimébutine (Débridat et génériques) – Point d’Information
(ANSM 2017.07.28)

仏ANSMは2歳未満へのトリメブチンの使用について、徐脈や傾眠などのリスクがあるとして注意喚起
07.28 Safety considerations surrounding use of treatment options for nausea and vomiting in pregnancy.
Expert Opin Drug Saf. 2017 Aug 9:1-8)
ドキシラミン+ピリドキシン、H1ブロッカー、メトクロプラミドについては安全性を証明する大規模研究がある。オンダセトロンについてはさらなる検討が必要
07.28 Suspected Adverse Effects After Human Papillomavirus Vaccination: A Temporal Relationship Between Vaccine Administration and the Appearance of Symptoms in Japan
Drug Safety 2017 Jul 25)
信州大の報告、HPVワクチン接種と関連性が疑われる有害反応の発現との時間的関係を解析したもの
07.28 Smoking and secondhand smoke exposure and prevalence of depressive symptoms during pregnancy in Japan: baseline data from the Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study
Tob Induc Dis. 2017 Jul 24)
 九州・沖縄母子保健研究
07.27 禁煙補助薬バレニクリンによる副作用発現に寄与する要因の検討
(日本禁煙学会雑誌Vol. 12 (2017) No. 3 p. 64-70)
女性、禁煙チャレンジ、呼気一酸化窒素濃度が、バレニクリンによる副作用発現に独立して関与していた。けーすによっては、減量投与や予防療法を行うことを考慮すべきとした。
07.26 歯科における抗菌薬の使用動向
─私立歯科大学附属18病院における使用実態調査─
(歯科薬物療法 Vol. 35(2016) No.3 P16-26)
07.24 Complementary and alternative medicine for allergic rhinitis in Japan
Allergology Int 2016 Nov 21)
07.21 Effect of adjunctive ranitidine for antipsychotic-induced weight gain
J Int Med Res 2017 Jul 18)
抗精神病薬が誘発する体重増加にラニチジンが有用かもしれない
07.21 C型肝炎治療薬の偽造品に関する成分分析
(薬学雑誌 2017.07.19 早期公開)
2検体からは各種ビタミン類が検出され、国内流通のサプリメントの可能性が高い、また、1 検体からは複数の生薬成分が検出され,漢方製剤(小青竜湯エキス錠剤)の可能性が高いものと推定された
07.21 Prescription medicine use by pedestrians and the risk of injurious road traffic crashes: A case-crossover study.
PLoS Med 2017 Jul 18)
仏の研究、BZ系、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬がリスク増に関連付けられた。
07.19 SGTL2 inhibitors and amputations in the US FDA Adverse Event Reporting System
Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Jul 18)
FDA有害事象報告システムで薬剤ごとの下肢切断発生リスクを調べたもの。カナグリフロジンのみが有意に増加した
07.18 Long-term benzodiazepine and Z-drugs use in the UK: a survey of general practice
Br J Gen Pract 2017 Jul 17)
英国では処方は4週間以内とすることが定められているが、1年以上の長期使用者がどの程度いるかを調べたもの
07.16 A cross-sectional study using freedom of information requests to evaluate variation in local authority commissioning of community pharmacy public health services in England
BMJ Open 2017 Jul 10; 7(7))
イングランドの地域薬局における public health services の現状をまとめたもの
07.16 The use of evidence during group meetings of Dutch general practitioners. 
Educ Prim Care 2017 Jul 12 )
オランダのジャーナルクラブなどの取りくみを紹介したもの
07.16 Japanese Surveillance Systems and Treatment for Influenza.
Curr Treat Options Infect Dis. 2016 Oct 10)
日本のとりくみを紹介したもの
07.16 The relationship between a low grain intake dietary pattern and impulsive behaviors in middle-aged Japanese people
PLoS ONE 2017 Jul 13)
北大の研究。米を食べるなどの伝統的な日本の食生活パターンが、精神的健康の有益な変化を助けることができるとした
07.16 Safety of human papillomavirus vaccines in healthy young women: a meta-analysis of 24 controlled studies
Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences 2017 Jul 11)
武蔵野大と明治薬大による研究
07.16 Preventive effect of human papillomavirus vaccination on the development of uterine cervical lesions in young Japanese women.
J Obstet Gynaecol Res 2017 Jul 14)
秋田県における20-24歳女性へのHPVワクチンの効果を報告したもの
07.16 Misuse of emergent healthcare in contemporary Japan
BMC Emerg Med 2017 Jul 14)
日本における、convenience-store consultation(休日夜間の時間外診療)や、タクシーのように利用されている救急車の実態を紹介したもの
07.15 Association of benzodiazepine and Z-drug use with the risk of hospitalisation for fall-related injuries among older people: a nationwide nested case–control study in Taiwan
BMC Geriatr 2017 Jul 11)

07.14 Mirror, Mirror 2017:International Comparison Reflects Flaws and Opportunities for Better U.S. Health Care
(Commonwealth Fund)
豪、加、仏、独、オランダ、NZ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、米国、英 の11か国の医療制度を比較してランキング化したもの。1位は英国、最下位は米国だった。
07.14 Les usages détournés de médicaments codéinés par les jeunes
(仏OFDT 2017.07)
下記政策の決定となった、フランスの薬物及び薬物依存に関する監視センターによる、若者のコデイン乱用のレポート。日本でも似たような実態があると思われる。
07.14 Agnès Buzyn décide d’inscrire la codéine et d’autres dérivés de l’opium à la liste des médicaments disponibles uniquement sur ordonnance
(仏保健省 2017.07.12)

仏保健相が若者の乱用防止から、コデイン、デキストロメトルファン、ノスカピンの処方せんなしでの販売を禁止する政令に署名したとするプレスリリース。13日官報告示で、14日から即実施された。
07.12 WHO downgrades status of oseltamivir
BMJ 2017 Jul 12)
BMJ誌の論説
07.11 Antibiotics for acute respiratory infections in general practice
Med J Aust 2017; 207(2):65-69。 
豪州でのGLでの勧告に比べ、急性呼吸器疾患への抗生剤の処方が比べ4~9倍に達しているとした報告。
07.11 Coffee Drinking and Mortality in 10 European Countries: A Multinational Cohort Study.
Ann Intern Med. 2017 Jul 11)

07.08  【記録集】平成28年度 医療政策シンポジウム「社会保障と経済の好循環~医療保障を中心に~」
(日医)
2017.02.08 に行われたシンポの記録集。「日本医師会の医療政策」「2000年代以降の医療政策と経済」「医療費と経済」など
07.08 平成28年度調査研究報告書・啓発事業報告書
(一般用医薬品セルフメディケーション振興財団)
07.08 Safety profile of H1-antihistamines in pediatrics: an analysis based on data from VigiBase.
Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2017 Jun 27)
07.08 特集 看護における薬理学教育を考える ~薬物治療に強い看護師を育てるには~
(日本薬理学雑誌 149(1) 2017)
07.07 Benzodiazepines and risk of all cause mortality in adults: cohort study
(BMJ 2017 Jul 6)
07.08 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
(厚労省2017.07.08)
カフェインは食品だけでなく、医薬品部外品のドリンク剤や市販の風邪薬にも配合されている。そして、今回問題視されているのは市販のカフェイン錠剤の過剰摂取のはず。こういう情報発信は生活者に誤解を与える。
07.04 子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究
(H28厚生労働科学研究)
HPVワクチンを巡る様々な課題を解決するために必要な科学的エビデンスを提供するため、「全国疫学調査」「症例フォローアップ調査」「有効性に関する症例対照研究」を行った
07.04 薬剤師の本質的業務と機能強化のための調査研究
(H28厚生労働科学特別研究)
医薬分業の流れを踏まえつつ、法的な観点、患者中心の医療及び医療安全の確保という観点から、薬剤師業務について整理。また、「患者のための薬局ビジョン」で求められている対物業務から対人業務へのシフトについて、対人業務の質の向上のための取組事例を示した。
07.04 Risk of death among users of Proton Pump Inhibitors: a longitudinal observational cohort study of United States veterans.
BMJ Open 2017 Jul 4)

07.03 Lipid-lowering drugs and risk of new-onset diabetes: a cohort study using Japanese healthcare data linked to clinical data for health screening
BMJ Open 2017 Jun 30)

日大薬学部の大場延浩氏、東京理科大の佐藤嗣道氏らが行った、スタチンの使用と糖尿病の新規発症リスクを調べた日本のretrospective cohort study。大企業の健保データを解析。アトルバスタチンなどの強力スタチンではリスクは2.6倍に。
07.03 Maloff Protect antimalarial tablets to be available to buy from pharmacies
(英MHRA 2017.07.03)

旅行者向けに抗マラリア薬のスイッチを発表。 日本はこういう視点はないよな。
07.01 日本アンチ・ドーピング機構のドーピング防止規律パネル決定報告を基にした日本のドーピングの現状及び今後の薬剤師によるアンチ・ドーピング活動に対する考察
(薬学雑誌 137(7) 883-891,2017)
日本においてアン チ・ドーピング活動を実施する場合、S1(タンパク同化薬)、S5(利尿薬及び隠蔽薬) 及び S6(興奮薬)の 3 セクションに特に注意を払う必要がある
07.01 徹底討論! 多職連携教育(IPE)は薬学に何をもたらすのか?
(薬学雑誌・誌上シンポ 137(7) 2017)

 


最終更新日:2017年8月11日

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