インターネットを介して国際流通する医薬品の実態や国際的規制の動向を明らかにすることにより、より効果的な啓発と対策の強化に資するため行われた。(2024.06.25にXに投稿したものを記事化しました)
【2023厚生労働科学研究】
国際流通する偽造医薬品等の実態と対策に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/171616
目に留まった分担研究を紹介したい
(分担研究)
医薬品の濫用による健康被害に関する調査
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202324039A-buntan3_0.pdf
キーワード「オーバードーズ」で、2024年3月25日までに医中誌 Webに掲載された原著論文を検索した。検出された全ての原著論文の内容を確認し、医薬品の濫用による健康被害に関する論文を抽出。
原著論文 268 編のうち薬物による健康被害の症例報告 199 件を確認し、医師から処方された医薬品による健康被害 57件、OTC 医薬品による健康被害39件を検出した。
OTC医薬品の過剰摂取事例として、ジフェンヒドラミン、カフェインによる致死例が報告されていた。
インターネットの普及により、OTC医薬品のオーバードーズに関する記事やコメントがウェ
ブログや SNS で閲覧される機会が増えている。
一部の通信販売サイトでは、ジフェンヒドラミンやカフェインが含有された OTC 医薬品が複数箱ずつ販売され、一度の注文で大量購入が可能となっていた。
OTC 医薬品の販売及び購入の規制強化が OTC 医薬品のオーバードーズによる健康被害防止に必要であると考えられた。
医薬品の個人輸入に加え、近年、SNS 上での医薬品の個人間取引が散見される等、医薬品の入手経路が拡大している現状を鑑み、濫用や健康被害を未然に回避するため、医薬品の不適正流通、不適正使用抑止に向けた啓発等が必要であると考えられた。
(分担研究)
インターネットを介して個人輸入される医薬品の実態調査(2)
デキストロメトルファン及びジフェンヒドラミンの個人輸入代行サイト試売調査
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202324039A-buntan5_0.pdf
デキストロメトルファン及びジフェンヒドラミンの個人輸入代行サイトの調査結果より、インターネットでは、いずれの医薬品も注文可能であることが判明した。
また、デキストロメトルファン及びジフェンヒドラミンのサイト数や製品数の販売情報は 2024年 4月現在、2023年 4月時点と比べると、増加していた。
これらは、インターネットを通じてデキストロメトルファン及びジフェンヒドラミンの製剤を購入する人々の需要が徐々に増加している可能性があることを示していると考えられた。
個人輸入医薬品には偽造医薬品や品質不良医薬品が混在する可能性があり、消費者が安易に個人輸入を行わないよう、さらに情報提供や注意喚起をする必要がある。
(分担研究)
インターネットを介して個人輸入される医薬品の実態調査(1)
フォシーガの試買調査
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202324039A-buntan4_0.pdf
フォシーガ錠を広告する個人輸入代行サイト(23 サイト)から、30サンプルを入手した。
本研究において、インターネットを介した個人輸入により、フォシーガ 10 mg 錠を一度に大量購入することが可能であった。
1サイトからは、日本国内向けの製品が逆輸入された。
また送付された一部のサンプルには説明文書等がなく、当該医薬品に関する情報提供は不十分であった。
全てのサンプルの1錠当たり平均価格は、日本の薬価に比べて、安かった。
国内販売同様濫用との関連に注意を向けるとともに、消費者には個人輸入の危険性とともに薬物の不適切な適応外使用の危険性についても啓発を検討し、消費者に個人輸入の危険性を周知することにより、安易に個人輸入を行わないよう、さらに情報提供や注意喚起をする必要がある。
2025年08月16日 11:46 投稿