市販薬の過剰摂取で救急外来を受診した患者の疫学的特徴は?

市販薬(OTC)の過剰摂取で救急外来を受診した患者の疫学的特徴を調査

薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究(2022年厚生労働科学研究)の分担研究の関連研究(2024年7月16日のXへの投稿を再構成しました)

PCN Reports 15 July 2024】
Prospective multicenter study of the epidemiological features of emergency patients with overdose of over-the-counter drugs in Japan
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11250410/

2021年5月から2022年12月までにOTC医薬品の過剰摂取により救急医療施設を受診し、研究への参加に同意した8施設124名の患者(女性が79%)のデータを解析

本研究の対象となった患者の大多数(87.9%)が社会活動に参加しており、そのほとんど(83.1%)が家族やパートナーと暮らしていた。

同居人や家族がいても、活発な会話をする時間や機会が十分になかったため、家庭内や社会全体で孤立感を抱いていた可能性がある。

習慣的に過剰服用しているかどうかで、次のような特徴があった。

習慣的に過剰服用がある患者 習慣的な過剰使用歴がない患者
入手方法 実店舗が87.9%
家にあるもの6.1%
実店舗が63.7%
家にあるもの28.6%
使用理由 自傷や自殺企図の手段85.7%
現実逃避やリラクゼーションなど14.3%
自傷や自殺企図の手段60.6%
現実逃避やリラクゼーションなど39.4%
多く用いられた薬効群 鎮咳薬、去痰薬、抗ヒスタミン薬  解熱鎮痛剤

研究者らは、解熱鎮痛剤について、カフェインやアセトアミノフェンなどの成分が含まれており、過剰摂取すると臓器障害を引き起こす可能性があるとして、家族などの同居者によるOTC薬を含む医薬品への厳重な監視することで、過剰摂取予防の可能性として重要だとしています。

また、デキストロメトルファンは繰り返しの乱用によって、依存を引き起こすことで、再発が高いことに留意する必要があるとしています。

関連研究:
救急医療における薬物関連中毒症例に関する実態調査:一般用医薬品を中心に
(2022厚生労働科学研究・分担研究)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202225030A-buntan3.pdf


2025年08月15日 23:24 投稿

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