管理栄養士を配置する薬局は増加しているものの、栄養関連サービスを提供している地域薬局の数は限られている。
この研究では、今後の展望や課題について、インタビューで明らかにしています。
【J Health Popul Nutr. 2025 Aug 11】
Toward enhanced nutritional interventions in community pharmacies: personal attitude construct analysis
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12341206/
健康サポート研修を受けた薬剤師、管理栄養士と連携している薬剤師、地域薬局に勤務する管理栄養士それぞれ5名にインタビュー。
インタビューでは、栄養不良および生活習慣病患者を対象に栄養介入の介入ポイントとして、介入を必要とする患者のイメージ、アセスメントに必要な情報、患者の認識の修正、実行可能な方法の提案、介入時に考慮すべき点の5つのテーマを尋ねています。
調査の結果、薬剤師と栄養士ともに、高齢者や患者が食事について誤解していたり、知識が不足していることを認識していることが明らかになったそうです。
具体的には次のような点があげられました。
介入を必要とする患者像:
高齢者、食事に関する誤解や知識不足
アセスメントに必要な情報:
食事摂取量(量、質、栄養バランス)、体重とBMI
患者の認識の修正で必要なもの:
食事に関する誤解の修正
実行可能な方法の提案:
栄養バランスのとれた食事指導、たんぱく質を意識したアドバイス、嚥下機能に合わせた食事の提案、体重管理
このうち薬剤師に介入が望まれる項目としては
- アセスメントに必要な情報(家族などの周囲のサポート状況)
- 実行可能な方法の提案(患者の嗜好や状態に合わせた栄養補助食品の提案)
- 介入時の留意点(家族など周囲の支援者への働きかけ)
などが挙げられた。
また薬剤師は、低栄養患者は生活習慣病患者よりも治療が困難であると考えていて、こういった患者へのアドバイスについては登録栄養士に紹介することを好む傾向があった。
研究者らは、薬剤師は栄養指導において特定の指導法ではなく、リスクのある患者を特定し評価することに焦点を当てるべきあると指摘。
また現在の薬学部のカリキュラムは栄養教育が十分に重視されていないとして、栄養療法の重要性を深く理解し、リスクのある患者を特定し、基本的な栄養指導を提供するための十分な知識を習得できるよう、標準化されたカリキュラムが必要だとしています。
また、地域の薬局での栄養介入を進めるには、地域の薬局での栄養介入が患者の転帰に及ぼす効果を実証しながら、フィーと薬局システムを強化する必要があると指摘、これにより、入院リスク、薬剤費、医療費の削減に役立つ可能性があるとしています。
参考:
Community Pharmacies Can Provide Nutritional Services, but a Limited Number Have Them
(DrugTopics 2025.08.15)
https://www.drugtopics.com/view/community-pharmacies-can-provide-nutritional-services-but-a-limited-number-have-them
2025年08月16日 09:59 投稿