在宅緩和医療が地域連携薬局の認定要件の一つであることから、管理薬剤師にアンケート調査を実施した。(2024年7月27日のXへの投稿を再構成しました)
【Pharmacy (Basel). 2024 Jul 16】
Questionnaire on the Current Status and Awareness of Palliative Medicine by Community Cooperation Pharmacies
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11270214/
2023年6月7日から7月31日に、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の行政ウェブサイトに掲載されている地域連携薬局563店舗の管理薬剤師を対象に調査。262施設(47.2%)から回答を得られた。
調査では次のような現状などについて尋ねた
- 在宅医療と薬剤連携の現状
- 勤務先の薬局における無菌調剤設備や注射剤の調製の実施の有無
- 麻薬の取り扱い状況
- 緩和薬物療法の適切な使用
本アンケートの結果、がんを患い医療依存度の高い終末期患者への緩和ケア経験がある薬剤師は48.9%であった。終末期ケア経験のある薬剤師のうち、多職種による退院前カンファレンスに参加した薬剤師は64.6%であったのに対し、参加していない薬剤師は35.4%であった。
薬局での経験年数による各項目での有意差は認められなかったが、病院経験のある薬剤師は、「各種スケールを用いた疼痛評価」および「オピオイド切り替えの適切な提案」において、全項目において有意に高い理解度を示した。
PCAポンプに関する理解度は薬剤師の52.6%が良好であるのに対し、47.4%は理解していないという結果となった
地域連携薬局に従事する薬剤師は、医療用麻薬のレスキュー用量の適正使用や患者指導に対する理解度が高かった。
また、無菌製剤や注射剤の経験がある薬剤師は緩和医療への理解度が高かった。
一方、WHO方式がん疼痛治療やオピオイドスイッチングの適切な提案についての理解度は低かった。
研究者らは、全ての地域連携薬局が麻薬注射剤を含む緩和ケアの提供に対応できるわけではないことは明らかだとして、地域連携薬局の中で緩和ケアを提供する薬局の機能を分化させ、その機能を可視化することが重要だと結論付けた。
地域連携薬局の薬剤師に対して、注射剤や処方設計に関する研修などの学習機会を設けることが、緩和医療に対する理解を高める方策のひとつと考えられるとした。
2025年08月15日 22:10 投稿