抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化には断固として反対(日医)

厚労省では、ちょうど本日を締切日として、オセルタミビル(タミフル)、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビル)などについて、スイッチOTCとした際の効能・効果、OTCとしてのニーズ、OTC化された際の使われ方、スイッチOTC化の課題点及びその対応策等について、意見募集(→TOPICS 2025.12.09)を行っていますが、日本医師会は7日行われた定例記者会見で、スイッチOTC化には反対であるとの表明をしています。

【2026年1月7日定例記者会見】
抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化に関するパブリックコメントについて
―今村英仁常任理事
https://www.youtube.com/watch?v=YOczxweiSSI

抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化に関するパブリックコメントについてお伝えしたいと思います。

現在、抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化についての意見の募集が本日まで行われていますが、国民の健康に対する大きなリスクを生じえるものと大変危惧しております。

なお日本臨床内科医会さんや日本小児科医会を含め関係医会学会からも、反対のご意見であると伺っており、また多くの地域医師会や日本医師会の各委員からも、スイッチOTC化には断固として反対との意見が届いております。

インフルエンザは、発熱や咳といった軽症例、とどまらず、肺炎や脳症などの重篤な合併症を引き起こす可能性のある感染症です。

その診断と治療開始の判断は、発症の時期、症状の経過、基礎疾患の有無、年齢などを総合的に評価した上で行われる必要があります。

抗インフルエンザ薬はこうした医学的判断を前提として医師の管理下で適正に使用されるべき医薬品です。

スイッチOTC化により医師の診断を伴わない自己判断での使用が広がれば、インフルエンザ以外の疾患に対する誤用や、投与開始時期を誤ることによる効果低下、さらには、受診遅れによる重症化リスクの増大が懸念されます。

迅速検査キットが存在するとはいえ、その感度や正確性には限界があり、結果が陰性であっても感染しているケースも少なくありません。

医師による臨床判断を省略することは、医療安全上大きな問題です。

特に、抗インフルエンザ薬の不適切使用は、耐性ウイルス出現のリスクを高めます。

耐性の拡大は個人の問題にとどまらず、社会全体の感染症対策を脅やかす公衆衛生上の課題となります。

長期的にみて、治療手段そのものを失う危険性をはらんでいますので、医師の診断と管理の下で使用されるべきです。

さらに高齢者、小児、妊婦、基礎疾患を有する方など、重症化リスクの高い人々に対しては、高ウイルス薬の使用可否や、投与方法を慎重に判断する必要があります。

スイッチOTC化はこうしたリスク評価を個人の自己判断に委ねることになり、結果として重症例の増加や救急医療などの医療資源の逼迫を招きかねません。

公衆衛生及び地域医療体制の観点からも抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化は慎重であるべきです。

流行期における受診動向やインフルエンザを含む急性呼吸器感染症の感染状況の把握は医療機関を通じて行われてきました。

スイッチOTC化により医療機関を介さない中途半端な治療が広がれば流行状況の把握や、適切な対策立案が困難となり、我が国全体の感染症対応力を低下させる恐れがあります。

さらに2010年から継続しています医薬品供給問題にも大きな影響があると考えられます。

一昨年前の年末年始にインフルエンザが流行し、抗インフルエンザ薬が医療現場に届かないことがありました。

医療用の製造ラインの一部をスイッチOTC製造ラインに変更することになれば、医療用抗インフルエンザ薬が必要時に医療現場に届かないことが懸念されます。

これまでの闇雲なセルフメデケーションの推進や、社会保険料の削減を目的とするOTC類似薬の取り扱いや、スイッチOTC化を進めることは必要な時に適切な医療を受けられない国民が増えることを危惧しています。

日本医師会としましては、医師の診断と治療の下で国民の健康と安全を守り、国民皆保険制度を守る姿勢で今後も対応してまいります。

————–

会見を聞いて、なぜ、「スイッチOTC化=自己判断」と極論を持ち出すのでしょうか。

セルフメデイケーションも自己判断ではないはずです。

仮にスイッチOTC化されたとしても薬剤師が関与するはずです。

診療における、迅速検査キットの適切な使用(時期など)も行われているのかどうか。

医薬品供給問題にからめることも疑問がありました。

効果を過剰に期待させ、患者が求めるままに処方をしてきたということではないのでしょうか?

ちなみにパブリックコメントには次のような意見を提出しました

20260107_1

関連情報:TOPICS
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2026年01月07日 19:29 投稿

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