17の千葉県ドラッグストアで乱用されている可能性がある25種類のOTCを試買し、有資格者による説明などがあったかどうかなどについて、、8つの評価項目を設定し検討を行った。
【Explor Res Clin Soc Pharm.2025 Dec.3】
Field survey on warnings to prevent drug abuse when selling over-the-counter drugs at drugstores
https://sciencedirect.com/science/article/pii/S2667276625001313
この調査が行われたのは、2024年8月7日から2025年5月13日で、千葉市内の駅近ドラッグストア17店舗で、調査員が各店舗から1つずつ商品を購入したそうです。
調査対象品目は下記のとおりです
現行の濫用等のおそれのある医薬品にしていされている13製品
- パブロンゴールドA錠 130錠
- エスエスブロン錠 60錠
- 新ルルA錠 45錠
- エスタック総合感冒薬 100錠
- ナロンエースT 48錠
- 新ルルAゴールド 100錠
- ベンザエースAゴールドW 90錠
- パブロンSゴールドW錠 60錠
- アネトンせき止め錠 48錠
- パブロンエースPro-X 36錠
- 新ブロン液エース 120mL
- プレコール持続性せき止めカプセル 20Cap
- 新コンタック 総合かぜ薬 トリプルショット 36Cap
濫用等のおそれのある医薬品として指定されていないが、乱用されている12製品(括弧は研究者らが注目した成分)
- ドリエルEX 6Cap(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
- イブA 24錠(無水カフェイン)
- トラベルミン 6錠(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩)
- ノーシン錠 32錠(カフェイン水和物)
- 新セデス 80錠(カフェイン水和物)
- メジコンせき止め錠Pro 20錠(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物)
- ディパシオIPa 50錠(カフェイン水和物)
- エスタロンモカ 50錠(無水カフェイン)
- レスタミンコーワU 120錠(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
- トラベルミンR 6錠(無水カフェイン)
- レスタミンコーワ錠 120錠(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
- パイロンPL錠 24錠(アセトアミノフェン、無水カフェイン)
8つの評価項目
- POPによる警告表示
- 空箱での陳列
- レジ近くでの陳列
- 有資格者による説明
- 年齢確認
- 購入者が同じ商品を持っているかどうかを確認
- 販売個数
- 使用目的の確認
試買したところ、調査対象の25製品については、POPによる警告表示(36%)や有資格者による説明(44%)、レジ付近での陳列(32%)が多くの場面で実施されていた。
また厚労省の濫用等の恐れのある医薬品の13品目については、POPによる警告表示(69%)や有資格者による説明(77%)が行われていたが、空箱での陳列(15%)、年齢確認(8%)でほとんど行われていなかった。
一方、指定成分を含まないが乱用の可能性がある市販薬12品目については、「空箱での陳列」と「レジ付近の陳列」が行われていた(17%)にとどまり、指定13品目に比べ、対応がきちんと行われていなかった。
このことから、研究者らは警告対象を「指定成分」だけでなく、乱用されやすい他の市販薬(例:デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、カフェイン)にも拡大する政策見直しも検討すべきだとしています。
この研究では、海外の取り組み事例も紹介しています。
現場感覚としてカフェイン摂取目的での購入が潜在的にあることが示されたように思います。
一方で、アリルイソプロピルアセチル尿素について注目しなかったのはなぜなのかと思いました。
なお、この論文は海外でも紹介されていました。
Proactive Warning Is Crucial in Preventing OTC Drug Abuse
(Drug Topics 2025.12.05)
https://www.drugtopics.com/view/proactive-warning-is-crucial-in-preventing-otc-drug-abuse
2025年12月15日 14:22 投稿
