海外におけるスイッチOTCの状況(Update)

 セルフメディケーションの推進から、海外では日本ではまだ処方せん医薬品扱いとなっている多くの成分が既にスイッチされていることは、本サイトでも度々紹介していますが、欧州セルフメディケーション協会(AESGP)のウェブサイト(http://www.aesgp.be/)には、世界セルフメディケーション協会(WSMI)と共同で作成した、各国のスイッチ状況のリストが掲載されています。

OTC Ingredient Tables(AESGP)
 http://www.aesgp.be/publications/otcIngredientTables.asp
 http://www.aesgp.eu/facts-figures/otc-ingredients/

 このほど、2011.1.31更新のデータがアップされたので紹介したいと思います。(今回は、Word ファイルです)
(リンク先のファイルは削除されています、上記ページから品目ごとに検索して下さい)

Legal classification status of selected ingredients in the European Union of 15→ リンク
(英国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、キリシャ、アイルランド)

Legal classification status of selected ingredients in new EU and non-EU European countries→ リンク
(ノルウェー、チエコ、スロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、クロアチア、リトアニア、スロベニア、スイス)

Legal classification status of selected ingredients worldwide→ リンク
(米国、カナダ、メキシコ、日本、韓国、中国、フィリピン、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、チリ)

 この3つのリストは、約200の成分について、RX(処方せん医薬品)か、OTC(数字はスイッチされた年)か、N.R.(未承認)のいずれかが記されて、表の後ろにはさらに解説が加えられています。

 OTCと記されているものでも、米国のようにスイッチ=一般商店での取り扱い可というものも国もあれば、「要薬剤師薬」「薬局用医薬品」「セルフ販売可・薬局用医薬品」などの細かく分類が分けられている国もあります。また、めまぐるしく指定が変更されているものや、パックあたりの上限なども示されています。詳しい解説を参照にするとおもしろいです。

 以下に、日本ではまだスイッチされていない成分の海外のスイッチ状況を示したいと思います。(()内の数字はスイッチされた年、明記されたもののみ記載)

成分名 日本での
商品名
OTCに分類されている国
オメプラゾール オメプラール
オメプラゾン
スウェーデン(1999)、スペイン・米国(2003)、英国・中国(2004)、アルゼンチン(2005)、ノルウェー(2006)、オランダ(2008)、ベルギー・独・ポーランド(2009)、フィンランド・フランス・豪州・NZ(ニュージーランド)(2010)、メキシコ、スイス
ランソプラゾール タケプロン スウェーデン(2004)、米国(2009)、豪州・NZ(2010)、ポルトガル
ラベプラゾール
(Rabreprazole)
パリエット 豪州(2010)
Pantoprazole(PPI) 未承認 豪州(2008)、NZ・EU各国(2009)、メキシコ
ドンペリドン ナウゼリン 伊(1989)、英国(1998)、シンガポール(2000)、アイルランド、オランダ、ベルギー、チェコ、スイス、韓国、中国、シンガポール、チリ
メトクロパミド プリンペラン 豪州(2000、アセトアミノフェンとの合剤・偏頭痛)、ベルギー(坐薬・錠剤)、伊、韓国、NZ(アセトアミノフェンとの合剤)
プロパンセリン プロバンサイン 英、アイルランド、デンマーク、スイス、カナダ、チリ、NZ、韓国、中国、シンガポール
オルリスタット
(抗肥満薬)
未承認 豪州(2004)、中国・シンガポール・フィリピン・NZ(2005)、米国(2007)、EU(2009)
インスリン   フィンランド(緊急時のみ)、米、カナダ、シンガポール
シンバスタチン  リポバス 英(2004)
ファムシクロビル ファムビル NZ(2010)
クリンダマイシン ダラシンTゲル 中国
エストリオール(膣) エストリール フィンランド(1992、ペッサリー、軟膏)、スウェーデン(1992)、デンマーク(1999)、ハンガリー(2007)、ノルウェー
レボノルゲストレル
(緊急避妊薬)
ノルレボ 仏・メキシコ(1999)、ノルウェー(2000)、ベルギー・スウェーデン・英国(2001)、フィンランド(2002)、豪州(2004)、オランダ(2005)、カナダ(2005)、米国(2006)、スペイン(2009)、オーストリア(2010)、ポルトガル、NZ、韓国、中国
タムスロシン ハルナール 英国(2009)
アジスロマイシン ジスロマック 英国(2008、クラミジア限定)
ヘキサミン
(メテナミン)
ウロナミン メキシコ(1998)、英国、仏、独、ベルギー、デンマーク、、ポーランド、スイス、カナダ、豪州、中国
イトラコナゾール イトリゾール 韓国
ジクロフェナク
(内服)
ボルタレン 伊(1983)、豪州(1997)、オランダ(1998)、スイス(2000)、スペイン(2002)、独(2004)、ノルウェー(2008)、スウェーデン、ノルウェー、スイス、チェコ、スロベニア、ポーランド、ハンガリー、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、NZ、韓国、中国
ケトプロフェン
(内服)
販売中止 米国(1995)、仏(1997)、伊、オランダ、アイルランド、フィンランド、メキシコ、NZ、中国
メフェナム酸 ポンタール 豪州、NZ、フィリピン
ジフニサル 販売中止
ナプロキセン ナイキサン 豪州(1990)、米国・伊(1994)、スペイン・ノルウェー(1996)、オランダ(1997)、ポーランド(1998)、スイス(1999)、オーストリア(2000)、独(2001)、シンガポール(2003)、仏・英国(2007)、カナダ(2009)、ギリシャ(2011)、アイルランド、ベルギー、ポルトガル、スウェーデン、クロアチア、ハンガリー、ラトアニア、スロバキア、スロベニア、アルゼンチン、チリ、中国、韓国、メキシコ、NZ
ナラトリプタン アマージ 独(2006)
リザトリプタン マクサルト NZ(2010)
スマトリプタン イミグラン 英(2006)、独(2009)、メキシコ、NZ
ゾルミトリプタン ゾーミッグ NZ(009)
almotriptan
(偏頭痛)
未承認 独(2009)
ヒドロキシジン アタラックス 英国(1995)、ベルギー
ニコチン
(点鼻スプレー)
未承認 デンマーク(1999)、オランダ・英国(2000)、カナダ(2003)、オーストリア、アイルランド、ポーランド、豪州、NZ
ニコチン
(吸入)
未承認 デンマーク・スウェーデン(1996)、フィンランド(1998)、仏・オランダ1999)、独・メキシコ・シンガポール(2002)、カナダ(2003)、スイス(2009)、ギリシャ(2011)、オーストリア、ベルギー、アイルランド、伊、英国、チェコ、ノルウェー、ポーランド、豪州、NZ
ニコチン
(sublingual)
未承認 仏(1999)、独・オランダ(2000)、英国(2001)、スペイン・シンガポール・米国(2002)、カナダ(2006)、キリシャ(2011)、オーストリア、ベルギー、デンマーク、アイルランド、ポルトガル、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、スイス、豪州、NZ
メベンダゾール メベンダゾール 英国(1989)、アイルランド、ベルギー、オランダ、ポルトガル、ノルウェー、スイス、リトアニア、メキシコ、豪州、NZ、中国、フィリピン、シンガポール
ピランテル コンバントリン フィンランド(1974)、米国(1986)、スペイン(1999)、シンガポール(2000)、仏、ポルトガル、リトアニア、スイス、カナダ、メキシコ、豪州、NZ、韓国、中国、フィリピン
フルチカゾン
(点鼻)
フルナーゼ 英国・アイルランド(2002)、フィンランド(2004)、スペイン、豪州、NZ、中国
イプラトロピウム臭化物 アトロベント 豪州(1999)、オランダ(2009)、伊(2010)、スウェーデン、
フェノテロール ベロテックエロゾル 韓国
サルブタモール メプチンエアー 豪州
セチジリン ジルテック デンマーク(1985)英国(1993)、フィンランド・ノルウェー(1994)、独・カナダ(1995)、豪州・シンガポール(1997)、仏(1998)、スウェーデン(1999)、ベルギー(2000)、オーストリア(2001)、スペイン(2002)、ハンガリー・米国2007)、中国(2008)、クロアチア(2010)、アイルランド、伊、ポルトガル、チェコ、ポーランド、スロバキア、スイス、韓国、メキシコ、NZ、フィリピン
エバスチン エバステル フィンランド(2001)、スウェーデン(2002)、ノルウェー(2005)、デンマーク
フェキソフェナジン アレグラ ベルギー・オランダ(2008)、ハンガリー(2009)、オーストリア・ノルウェー(2010)、スイス、豪州、カナダ、NZ
レボセチジリン ザイザル 豪州(1997)、フィンランド(2004)、ハンガリー(2009)、ベルギー(2010)、NZ
ロラタジン クラリチン カナダ(1988)、デンマーク(1990)、スウェーデン(1992)、英国(1993)、独・ノルウェー(1994)、シンガポール(1995)、オランダ(1996)、メキシコ(1998)、フィンランド(1999)、米国(2002)、クロアチア・アルゼンチン(2003)、伊(2004)、ハンガリー・中国(2005)、仏(2006)、スペイン(2007)、オーストリア、ベルギー、アイルランド、チェコ、リトアニア、ポーランド、スロバキア、スロベニア、スイス、豪州、NZ、フィリピン
オキサトミド セルテクト メキシコ(1998)、伊(1999)

資料:
Ingredients & Dosages Transferred From Rx-to-OTC Status (or New OTC Approvals) by the Food and Drug Administration Since 1975(CHPA)
 http://www.chpa-info.org/media/resources/r_4620.pdf

Prescription to Nonprescription Switch(WSMI 2009)
 http://www.wsmi.org/pdf/wsmi_switchbrochure.pdf

Better regulation of nonprescription medicines(WSMI 2007)
 http://www.wsmi.org/pdf/better_regulation.pdf

Responsible Self-Care and Self-Medication
A Worldwide Review of Consumer Surveys(WSMI)
 http://www.wsmi.org/pdf/wsmibro3.pdf

関連情報:TOPICS
 2009.02.01 欧米におけるスイッチOTCの状況
 2008.12.05 英国におけるスイッチOTC25年の歩み
 2009.01.22 OTC抗肥満薬を欧州委員会が承認
 2008.04.23 緊急避妊薬は薬局で簡単に購入できるようにすべき(カナダ)
 2008.04.09 抗ヒスタミン剤、2歳未満は処方せんが必要(豪州)

2月23日 17:40 抗アレルギー薬など追記 2012年12月19日リンク修正


2011年02月22日 23:05 投稿

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