改正薬機法の省令についてのパブコメ開始

 9月1日の施行に向けて、薬機法改正に伴う政令案、省令案が示され、パブリックコメントが開始されています。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)に関する御意見の募集について
(案の公示日 2020年06月04日、 意見・情報受付締切日 2020年07月03日)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(案)に関する御意見の募集について
(案の公示日  2020年06月04日、 意見・情報受付締切日 2020年07月03日)

 現場と特に関連が深いのは厚労省が法律の手続き面を補う規定や、申告書等の様式などを定める、後者の省令案です。

 以下抜粋しました。

(1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)の一部改正

薬局制度に係る改正

  • 継続的服薬指導を行うべき場合として、薬剤(又は薬局医薬品)の適正な使用のため、情報の提供又は指導を行う必要があるとその薬局において薬剤(又は薬局医薬品)の販売又は授与に従事する薬剤師が認める場合を定めるとともに、把握すべき患者情報として、販売・授与時の確認事項のほか、当該薬剤等の服薬状況、服薬中の体調の変化を定める。また、情報の提供及び指導の際には、必要に応じ、お薬手帳を活用することとする。
  • 薬局開設者が、薬剤師に、薬剤に係る情報の提供及び指導の際に記録させなければならない事項として、情報の提供及び指導を行った年月日、当該情報の提供及び指導の内容の要点、当該情報の提供及び指導を行った薬剤師の氏名並びに患者の氏名及び年齢を定めるとともに、これらの記録を、その記入の日から3年間保存しなければならないこととする。
  • 薬局製造販売医薬品(毒薬及び劇薬を除く。)について、継続的服薬指導の対象から除かれることに伴う規定の整備を行うとともに、一般用医薬品と同様、調剤室の外に陳列することができることとする。

(2)薬局等構造設備規則(昭和36 年厚生省令第2号)の一部改正
薬局製造販売医薬品(毒薬及び劇薬であるものを除く。)を販売し、又は授与する薬局の構造設備の基準は、次に定めるところに適合するものであることとする。

  1. 薬局製造販売医薬品を陳列するために必要な陳列棚その他の設備(以下「陳列設備」 という。)を有すること。
  2. 薬局製造販売医薬品を陳列する陳列設備から1.2 メートル以内の範囲(以下「薬局製造販売医薬品陳列区画」という。)に医薬品の購入者等が進入することができないよう 必要な措置が採られていること。ただし、薬局製造販売医薬品を陳列しない場合又は鍵をかけた陳列設備その他医薬品の購入者等が直接手の触れられない陳列設備に陳列する場合は、この限りでない。
  3. 開店時間のうち、薬局製造販売医薬品を販売し、又は授与しない時間がある場合には、薬局製造販売医薬品陳列区画を閉鎖することができる構造のものであること。

(5)薬剤師法施行規則(昭和36 年厚生省令第5号)の一部改正
調剤時及び調剤後の服薬指導を行った年月日、薬剤師の氏名及び当該服薬指導の要点を調剤録の記入事項に加える。

ポイントを簡単に言うと

  • 服用後のフォローの内容が明確化された
  • 薬局製造販売医薬品の店頭での陳列が可能になり、第一類と同様の取り扱いになる
  • 服薬指導の要点を調剤録へ記入することが義務付けられた

 しかし、省令案で示されたのはこの骨子(原則)だけです。

 具体的に、どのような方法で、どのタイミングで、どの範囲まで行い、どのように記録を残すかはこの省令案では示されていません。

 おそらく、省令施行後、改正及び制定の趣旨、内容等をまとめた、施行通知が発出されます。

 健康サポート薬局の制度設計など、これまでの法施行での前例を考えると、今回のパブコメで現場の意見を届けないと、また現場に沿わない制度が留意事項などで示される可能性がありますので、是非、皆さんの思いをこのパブリックコメントで伝えましょう。

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2020年06月16日 00:55 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    7月3日、下記内容で意見を出しました

    今回の法改正で薬局の薬剤師は継続的服薬指導を行うことが定められたが、病院や診療所の調剤所の薬剤師が、外来患者の調剤を行った場合、継続的服薬指導は求められないのか? 求められないのであれば、その理由を示して欲しい。

    薬剤師法施行規則の改正で、「調剤時及び調剤後の服薬指導を行った年月日、薬剤師の氏名及び当該服薬指導の要点を調剤録の記入事項に加えられる」となっているが、外来患者の院内調剤を行う場合も該当するのか? 該当しないのであればその理由を示して欲しい。

    「調剤時及び調剤後の服薬指導を行った年月日、薬剤師の氏名及び当該服薬指導の要点を調剤録の記入事項に加える」となっているが、薬歴への記載がこれに代わるものとはならないのか? また、服薬指導の要点とは具体的にどういうものをさすのか。

    薬機法第九条の三(調剤された薬剤に関する情報提供及び指導等)で追記された「映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法」とは具体的に何か? 電話の他、SNSアプリによるメッセージのやりとりも認められるのか、またそのやりとりを記録する義務が求められるのか?

    医薬品の適正使用を考えると、今回の法改正で薬剤師による情報提供や継続的服薬指導が強く求められるところであるが、薬剤師を配置しないで外来調剤を行っている施設(診療所)は、今回の改正薬機法や薬剤師法の適用を受けないのか? 適用を受けないのであれば、その理由を示して欲しい。

  2. アポネット 小嶋

    8月31日にパブコメ結果が示されました。

    パブコメ結果が公表、院内調剤も継続的服薬指導が義務化へ
    http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/200802.html

    薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法」とは具体的に何かについてはパブコメ結果では示されませんでした。

    また、「薬剤師を配置しないで外来調剤を行っている施設(診療所)は、今回の改正薬機法や薬剤師法の適用を受けないのか?」には答えて頂けませんでした。