OTC類似薬の患者負担は選定療養よりも零売?(参院厚労委)

2日の参議院厚生労働委員会で、猪瀬直樹(日本維新の会)委員と政府のやりとりが興味深かったので文字起こししました。

OTC類似薬の追加負担を選定療養として求めることが妥当なのか、零売も認めて、現行の法制度で可能なのかどうかの質問ではないかと思いました。

【参議院インターネット中継】
2025年12月2日・厚生労働委員会(5:34:25あたりから)
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8768

猪瀬委員:
医療法の質疑の前に、自民と維新の2党協議で、次の段階に来ているOTC類似薬の件について、一点確認しておきたいということがあります。

我々維新は、協議の当初から一貫して、OTC類似薬について、原則として保険適用から除外して、薬剤費を全額患者負担にすべきという考えなんですけども、その場合に薬局でそのOTC類似薬を販売するときの販売価格をどう考えるのかということなんですね。

現行の零売と同様に調剤基本料、調剤技術料等を発生せずに、したがって無駄な調剤費が削減されるわけですけれども、その代わりに、OTC類似薬を自由価格で販売することが一番自然だろうと考えるんですよ。

これについて、厚労省の見解をお聞かせ願いたいです。

間保険局長:
お答え致します。

委員からご指摘のOTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの内容については、現在検討中でございますので、これは委員も深く関わっておられますので、この点については予断を持って申し上げることは難しいことはご理解頂きたいと思います。

そのうえで、(保険から)外して、しかし薬剤費を自己負担という意味でいくとですね、選定療養という例があるわけでございまして、実例で申し上げますと、例えば薬剤の例として長期収載品については、患者の方のご希望により使用される場合には、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1相当を患者からいただくということを保険医療機関にこちらかお示しをしております。

まだ大病院を紹介状なしで受診した場合、初診であれば7000円以上の金額を特別料金として患者から支払いを受けること、また難病患者の方などからは、支払いを受けないことなどを保険医療機関に示してございます。

こうしたように、例えば仮に選定療養みたいなものを位置付けた場合であっても、要するに保険外併用療養を続けた場合でもですね、薬剤費について一定のルールを設けたり、あるいは選定療養の適用除外とするものを制度上設けるということは考えられるところでございますが、いずれにしてもこの見直しにつきましては与党間のご議論を踏まえながら、丁寧に検討をすすめたいとこのように考えております。

猪瀬委員:
もうちょっと確認するんだけども、つまり選定療養という言葉をお使いになりましたけれども、結局、OTC類似薬を調剤薬局に行って買う場合に、そこで今申し上げたのは、調剤基本料とか技術料とかはとらないで、その調剤から調剤が一定の価格を上乗せして、利幅をとって売るとすると零売と同じになるわけですけれども、そういう考え方でいいのかなと、そこのところですね、それをもう1回確認したい

間保険局長:
お答えします。いずれにせよ、新しいお考えだと思いますので、こうだということを予断をもって申し上げることは難しいのですが、ただそのOTC類似薬そのものについてですね、例えば何らかの自己負担を求めるということだとしましても、おそらく薬価そのものは存在しているということだ思います。

例えば、入院患者さんの場合にはそうやって普通に使うわけですから、そうだとするとそのばあにその保険外サービスの部分の価格について妥当なものなのかどうかということについて、そのバランスなどもよく考える必要があるというふうに思っておりまして、慎重な検討が必要なのかなというふうに思っています。自由という形がいいのかどうかという点については慎重な検討が必定だというふうに考えています。

猪瀬委員:
だから薬価はそのままだからね、そこにどういう利益を上乗せするかとか、そういうことをこれから決めればいいんだけどね。そういうことはね。

要するにそういう零売と同じ扱いするにするにせよ、選定療養の仕組みを使うにせよ、この形で進めるということになれば、法改正は必要ないですよね

間保険局長:
はい。いずれにしても新しい仕組みでございますになるということだと思いますので、その仕組みを見て、そのうえで、法改正の要否も含めて真剣に検討する必要があるというふうに考えております。

現段階でどうだということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

猪瀬委員:
法改正をしなくても済む話を今僕はしているんですね。

上野大臣、この案は二党協議でもっとつめていきますけどね。これ今僕の考え、維新の案として提示してきますけども、大臣の見解をちょっとお聞きしときますね

上野厚労大臣:
はい委員から自らお話しされた通り、今与党協議が進展をしているものだと承知をしております。その中で、委員のご提案も含めて、今与党協議が進展しているものだと承知をしておりますその中で、委員のご提案も含めて、その具体的な内容をこれからしっかり詰めて頂けるものだと考えておりますので、そうした状況を踏まえて、厚生労働省としても必要な対応を進めてまいります。

猪瀬委員:
医療費を削減するためには、調剤の技術料とかね、管理料とか、そういうものを保険の負担にならないように、つまりそれは選定療養という言葉はあるけれども、それは直接患者さんが購入した場合には、今申し上げたように保険に関わらないで、保険料の負担が起きない形で考えたいと、こう申し上げているんですね。

まあいいでしょう。

どうも猪瀬氏は、限られた医療保険財源を考えれば、選定療養よりも、適切なマージンを乗せて零売という方法があるのではということを訴えたかったように思います。

今後の選択肢として、法改正をするなどしてフランスのように薬剤ごとの償還率を変える(→TOPICS 2025.04.20)、あるいは選定療養費で追加負担を求めるという案ともに、継続使用などに限定して薬剤師の関与の下に零売という方法も模索する必要があるかもしれません。

ただ、零売の場合、このマージンを公的に認めたとしても、保険調剤よりもフィーが下回りますから、おそらく薬剤師会は反対となるでしょう。

関連情報:TOPICS
2025.04.20 フランスにおける医薬品償還率


2025年12月03日 13:32 投稿

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>