ナロンメディカルの不思議

 以前紹介した(TOPICS 2011.08.19)、配合成分はイブプロフェンだけなのになぜか第1類という製品が24日発売されたそうです。

15種類の痛みに速く効く! 「ナロンメディカル」新発売
(大正製薬ニュースリリース 2013.01.24)
http://www.taisho.co.jp/company/release/2013/2013012401.html

ナロンメディカル(ブランドサイト)
http://www.taisho.co.jp/naron/naronmedical/

添付文書(PMDA)(掲載日が2012.12.5になっている。一部で先行発売されていた?)
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/J1201000294_01_A.pdf

 以前にも指摘したとおり、実は1回量200mgの製品はこれまでになかったわけではなく、リングルアイビー錠200など指定第2類のいくつかの製品が既に発売されています。

リングルアイビー(ブランドサイト)
http://www.ringl.jp/

リングルアイビー錠200添付文書
http://search.sato-seiyaku.co.jp/pdf/rg200cp.pdf

  これまで、この2つの違いはどこかというと、1日何回まで服用できるかと、服用間隔の違いだけと思っていたのですが、調べたところ、添付文書の使用上の注意にも大きな違いがありました。

製品名  ナロンメディカル  リングルアイビー錠200
 リスク区分 第1類 指定第2類
希望小売価格 16錠 680円
24錠  980円
12錠 952円
成分 2錠中
イブプロフェン200mg
1錠中
イブプロフェン200mg
効能 肩こり痛・頭痛・腰痛・関節痛・神経痛・月経痛(生理痛)・咽喉痛・筋肉痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛・耳痛・歯痛・抜歯後の疼痛の鎮痛発熱・悪寒時の解熱 頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛悪寒・発熱時の解熱 
 用法用量 15歳以上 1回2錠 1日2回まで
ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。服用間隔は4時間以上おいてください。
15歳以上 1回21錠 1日2回まで
服用間隔は6時間以上おいてください。
 してはいけないこと 1.次の人は服用しないでください
(1)本剤によるアレルギー症状(例えば発疹・発赤,かゆみ等)を起こしたことがある人。
(2)本剤又は他の解熱鎮痛薬,かぜ薬を服用してぜんそくを起こしたことがある人。
(ぜんそくを誘発する可能性があります)
(3)15歳未満の小児。
(4)医療機関で次の病気の治療や医薬品の投与を受けている人。
胃・十二指腸潰瘍,血液の病気,肝臓病,腎臓病,心臓病,高血圧,ジドブジン(レトロビル)を投与中の人
(胃・十二指腸潰瘍,肝臓病,腎臓病の人は,その症状が悪化する可能性があります)
(血液の病気の人は白血球減少,血小板減少等を起こすことがあり,その症状を更に悪化させる可能性があります)
(心臓病の人は,心機能不全が更に悪化する可能性があります)
(高血圧の人は,血圧が更に上昇する可能性があります)
(5)出産予定日12週以内の妊婦。2.本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も服用しないでください
 他の解熱鎮痛薬,かぜ薬,鎮静薬3.服用時は飲酒しないでください
(一般にアルコールは薬の吸収や代謝を促進することがあり,副作用の発現や毒性を増強することがあることから,重篤な肝障害があらわれることがあります)

4.長期連用しないでください

1.次の人は服用しないでください
(1)本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人。
(2)本剤又は他の解熱鎮痛薬,かぜ薬を服用してぜんそくを起こしたことがある人。
(3)15才未満の小児。
(4)出産予定日12週以内の妊婦2.本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も服用しないでください
他の解熱鎮痛薬,かぜ薬,鎮静薬3.服用前後は飲酒しないでください

4.長期連用しないでください

相談
すること
1.次の人は服用前に医師,歯科医師又は薬剤師に相談してください
(1)医師又は歯科医師の治療を受けている人又は次の医薬品を服用している人。
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン),アスピリン製剤(抗血小板剤として投与している場合),リチウム製剤(炭酸リチウム),チアジド系利尿薬(ヒドロクロロチアジド),ループ利尿薬(フロセミド),タクロリムス水和物,ニューキノロン系抗菌剤(エノキサシン水和物等),メトトレキサート,コレスチラミン
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)授乳中の人。
(4)高齢者。
 (一般に高齢者は,生理機能が低下していることがあるため,副作用があらわれやすい)
(5)本人又は家族がアレルギー体質の人。
(6)薬によりアレルギー症状を起こしたことがある人。
(7)次の診断を受けた人又はその病気にかかったことがある人。
胃・十二指腸潰瘍,血液の病気,肝臓病,腎臓病,心臓病,高血圧,気管支ぜんそく(気管支ぜんそくを誘発することがあります),全身性エリテマトーデス(腎障害等のこの病気の症状が悪化したり,無菌性髄膜炎があらわれることがあります),混合性結合組織病(無菌性髄膜炎があらわれることがあります),潰瘍性大腸炎,クローン氏病(症状が悪化したとの報告があります)2.次の場合は,直ちに服用を中止し,この説明書を持って医師,歯科医師又は薬剤師に相談してください
(1)服用後,次の症状があらわれた場合。
   (以下 略)
(2)3~4回服用しても症状がよくならない場合。
(3)本剤を服用後,体温が平熱より低くなる,力が出ない(虚脱),手足が冷たくなる(四肢冷却)などの症状があらわれることがあります。その場合は,直ちに服用を中止し,毛布等で保温し,医師,歯科医師又は薬剤師に相談してください。3.次の症状があらわれることがあるので,このような症状の継続又は増強が見られた場合には,服用を中止し,医師,歯科医師又は薬剤師に相談してください
便秘,下痢,口のかわき
1.次の人は服用前に医師,歯科医師,薬剤師又は登録販売者にご相談ください
 (1)医師又は歯科医師の治療を受けている人。
 (2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
 (3)授乳中の人。
 (4)高齢者。
 (5)薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人。
 (6)次の診断を受けた人。
  心臓病,腎臓病,肝臓病,全身性エリテマトーデス,混合性結合組織病
 (7)次の病気にかかったことのある人。
  胃・十二指腸潰瘍,潰瘍性大腸炎,クローン氏病2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性がありますので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者にご相談ください
 (以下 略)3.服用後,次の症状があらわれることがありますので,このような症状の持続又は増強が見られた場合には,服用を中止し,医師,薬剤師又は登録販売者にご相談ください
 便秘

4.3~4回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この文書を持って医師,歯科医師,薬剤師又は登録販売者にご相談ください

 審査報告書などを見ると、なぜこのような違いになったかというと、単味剤であるので、医療用の安全性、有効性に関わる情報を活用しやすくなり、使用上の注意も医療用製剤の使用上の注意を十分に反映したもの(PMDAが併用すべきでない他の解熱鎮痛成分の具体例を示すことや本剤による治療は原因治療ではなく対症療法であることをきさいするよう求めて、大正製薬もこれを了承した)となったそうです。(薬剤師と登録販売者・自己判断で情報の差?? ってのも何か変)

PMDA審査報告書
http://www.info.pmda.go.jp/ippan/O201100006/400059000_22400APX00311000_Q100_1.pdf

PMDA申請資料概要
http://www.info.pmda.go.jp/ippan/O201100006/index.html

 1回量150mgの製品しか出ていないのなら第1類扱いになるというのであれば理解ができますが、リングルアイビー錠200のような製品が既に出ていることを考えると、なぜこれだけ第1類となったのかがよくわかりません。

 となると、リングルアイビー錠200のような、イブプロフェン1回200mg製品というのはどういう経緯で承認されたのか興味深いです。(薬事法改正前は、医療用のもの(1錠200mg製品)が薬局で売られていたので、その流れだったのかもしれない。でも承認理由の資料なんか今WEBで探してもないだろうな) 

関連情報:TOPICS
 2012.09.04 イブプロフェンのリスク区分変更が官報で告示
 2011.08.19 アレギサール錠のスイッチOTCが承認


2013年01月24日 22:32 投稿

コメントが3つあります

  1. 審査報告書に目を通してみましたが、結局申請者(大正製薬)が新規用法・用量を選んだために一類扱いになったんじゃないでしょうか。
    投与間隔を短くして、最大用量を400mgから600mgに変更しているんで安全を担保するために一類にもっていったというところのような気がします。

  2. リングルアイビー錠200の服用錠数が、1回2錠になってるよ。

  3. アポネット 小嶋

    ご指摘ありがとうございます。