日本ではフリーアクセス、国民皆保険が自身で判断せずに医者に行きましょうといった「日本の医療文化」につながっているのではないかと日々感じていますが、背景には日本では一般的な疾患や症状への対応方法についてのわかりやすい公的情報が圧倒的に少ないことがあるように思っています。
わかりやすさには差がありますが、実は英国や米国、豪州などではそれぞれ、一般向けの医療や健康に関する公的情報があります。
Health A to Z(英NHS)
https://www.nhs.uk/health-a-to-z/
MedlinePlus(米国)
https://medlineplus.gov/
Health Direct(豪州)
https://www.healthdirect.gov.au/
Antworten zu Ihren Gesundheitsfragen(独)
https://gesund.bund.de/
Health Hub(シンガポール)
https://www.healthhub.sg/
日本では、こういった疾患や症状への対応といった情報は外部団体や厚労省の研究班によるものがほとんどで、国の責任による情報発信が少ないように思っていましたが、今年6月に開催された第20回学術大会 日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 OTC分科会シンポジウムの報告書をみたところ、海外事例を参考にしながら、「症状ごとの生活者対処情報集構築提供プロジェクト」として、セルフケア・セルフメディケーション情報を提供するサイトの開発が進められていることがわかりました。
【OTC医薬品協会】
政策制度の提言
https://www.jsmi.jp/special/switch/proposal/request.html
生活者のヘルスリテラシー向上とセルフメディケーション社会の実現・報告書
(第20回学術大会 日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 OTC分科会シンポジウム 2026.06.07)
https://www.jsmi.jp/special/switch/proposal/data/2026_r.pdf
以下図は岸田氏スライドより
https://www.jsmi.jp/special/switch/proposal/data/2026_1_1.pdf
セルフケア情報システム開発プロジェクト
(令和8年度の厚生労働科学特別研究事業に採択)
サイトの開発をすすめている岸田氏はイギリス・オーストラリア・シンガポール・ドイツ・アメリカの海外事例を参考にしながら、日本版としてシンプルで分かりやすい形として「3 色フラッグ」を提示し、医療機関へ」、軽症であれば「Blue Flag=まず自分でケア」、その中間が「Yellow Flag=油断せず様子見」という3色で生活者が判断できるツールを用いたサイトの準備を進めているそうです。
現在風邪をモデルにした情報集を設計していて、今年10月にも試行運用が始まるようです。
風邪症状の「対処情報集」、10月に試行運用 OTC薬協・磯部理事長、年度内に最終版 https://t.co/sAKnqJGytP
— PHARMACY NEWSBREAK (@jiho_pnb) July 16, 2026
ようやくこういったものができるのかと思う一方、生活者はこれを利用することで、専門家に尋ねることなく自己判断でOTCを購入してしまうのではないかという懸念があります。
実は海外ではCommon Ailments Serviceを行っている国では、薬剤師向けの情報集として公的なものが用意されています。
Common Ailments Service Formulary
(NHS Wales)
https://casformulary.wales.nhs.uk/IndexAMG.aspx
Protocolos de Indicación Farmacéutica y Criterios de Derivación al Médico en Síntomas Menores
(スペイン これは第2版。第3版はログイン必要)
https://digibug.ugr.es/bitstream/handle/10481/33050/ProtocolosIndicacionFarmaceutica.pdf
今回の取り組みには歓迎しますが、OTC販売の現場に薬剤師があまり配置されていないしことを考えると、セルフセレクションによる専門家関与の希薄化が進むだけではないかと考えてしまいます。
並行して、専門家向けの情報集も是非作成してもらいたいものです。
2026年07月19日 23:25 投稿




