たまたま、少し前の厚生労働科学研究を見ていたら、デンマークの医薬品の分類に関する記述があったので、デンマーク医薬品庁のウェブサイト(https://laegemiddelstyrelsen.dk/)にアクセスして調べてみました。(誤解釈の場合もあるので参考程度でお願いします)
【2010厚生労働科学研究】
諸外国におけるセルフメディケーション・OTC販売に関与する専門家の役割及びトレーニングの状況調査に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/19090
デンマーク医薬品庁のウェブサイトによれば、新規のOTC医薬品および処方箋医薬品からOTC医薬品に移行した医薬品は、原則として2年間、薬局でのみで販売されます(HA)。市販後2年が経過したOTC医薬品は、特別な事情がない限り、薬局外での販売が可能になります(調剤規則HF)。
新規の一般用医薬品および処方箋医薬品から一般用医薬品に移行した医薬品は、原則として2年間、薬局でのみ販売されます(調剤規則HA)。市販後2年が経過した一般用医薬品は、特別な事情がない限り、薬局外での販売が可能になります(調剤規則HF)。
どのOTC医薬品を薬局以外で販売するかは医薬品委員会の勧告に基づいて、デンマーク医薬品庁が、次の点を留意して決定します。
- 専門家の専門知識と指導の必要性
- 副作用
- 他の薬との相互作用
- 過剰摂取のリスク
- 乱用のリスク
- 消費パターン
OTC medicines and release for sale outside pharmacies
(Danish Medicines Agency 2022.06.23Update)
https://laegemiddelstyrelsen.dk/en/licensing/medicinal-products-committee/otc-medicines-for-sale-outside-pharmacies/
また、デンマークでは処方箋以外の医薬品は下記のように分類されています。
Over-the-counter medicines
https://laegemiddelstyrelsen.dk/en/pharmacies/over-the-counter-medicines/
Bekendtgørelse om udleveringsbestemmelser for håndkøbslægemidler til mennesker og dyr
https://www.retsinformation.dk/eli/lta/2023/1145
15歳い以上であれば、全ての市販薬が買えるとしたうえで、18歳以上でないと買えないカテゴリーもあります
カテゴリー | 備考・例 | |
---|---|---|
B | 処方箋医薬品 | |
HA | 薬局のみでしか販売できないもの | |
HAY | 1日1人1パッケージまで | |
HA18 | 薬局のみでしか販売できす、また18歳以上にのみ販売できるもの | 1日1人2パッケージまで |
HA18Y | 1日1人1パッケージまで
ロペラミド(20個超) |
|
HF | 薬局及び薬局外での市販薬の小売販売についてデンマーク医薬品庁の許可を受けた店舗で販売できる医薬品 | |
HFY | 1日1人1パッケージまで | |
HX | 薬局及びデンマーク医薬品庁の小売販売業の許可を受けた店舗で販売できる医薬品 | 1日1人1パッケージまで
アセトアミノフェン1000mg坐薬(5個まで) |
HX18 | HXで、18歳以上にのみ販売できるもの | 1日1人2パッケージ(薬局以外の店舗は1パッケージ)まで
一包装当たり |
HV | 動物用医薬品 | 動物用医薬品の小売販売許可を受けた販売業者によって販売 |
HX18、HA18というカテゴリーが設定されたのは、若年層における過剰服用などを考慮したとのことです。
また2023.09.15からは、鎮痛剤、乗り物酔い止め薬(特定の抗ヒスタミン薬など)、下痢止め、アレルギー/花粉症用の鼻スプレー、喉の痛みに効く薬について、1日1人1パッケージまでとする、HAY、HA18Y、HX18というカテゴリーが設けられています。
Lægemiddelstyrelsen begrænser hvor mange pakker håndkøbsmedicin, der må udleveres fra apoteket for visse lægemidler(2023.09.12 update)https://laegemiddelstyrelsen.dk/da/nyheder/2023/laegemiddelstyrelsen-begraenser-hvor-mange-pakker-haandkoebsmedicin,-der-maa-udleveres-fra-apoteket-for-visse-laegemidler/
また陳列については、HA18、HX、HX18 、および HA18Yの医薬品はセルフセレクション不可、HF、HFYの一部については、セルフセレクションが不可になっています。
Self-selection of OTC medicines for human use(2017.10.25)
https://laegemiddelstyrelsen.dk/en/news/2017/self-selection-of-otc-medicines-for-human-use/
包装制限はこれとは別にあるようで、AESGP(https://otc.aesgp.eu/)の情報によれば、例えばイブプロフェンは1パッケージあたり最大4000mgというものがあります。(デキストロメトルファンは処方箋医薬品)
かなり複雑な分類ですが、年齢や販売個数、また陳列について、日本も参考にすべきところがあるでしょう。
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2012.03.22 海外におけるセルフメディケーション(厚生労働科学研究)
2025年06月14日 14:33 投稿