神奈川県の禁煙条例は大きく後退

 神奈川県では現在、受動喫煙の防止に向け公共の場での喫煙を全面的に禁じる条例の制定を検討していますが、9日「公共的施設受動喫煙防止条例」(仮称)の骨子案が公表されました。

「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」骨子案 (案)(2008年9月)
 http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/tobacco/tobacco_jorei_kosshi.html
 http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/tobacco/pdf/tobacco_kosshi.pdf

 4月に示された 基本的考え方[案](TOPICS 2008.04.16)では、不特定多数の者が利用する公共的施設は全て禁煙とすることが検討されていましたが、飲食業などからの反対から、松沢知事が当初目指していたものからは大きく後退しました。

 今回示された骨子案では、まず公共的施設を、官公庁の施設や劇場、病院・薬局などの医療施設、結婚式場などの集会所、百貨店や商店、公共交通機関など、利用者に選択の余地がなく、規制の必要性が高い施設を「第一種施設」に、レストラン・ファストフード店・居酒屋・バーなどの飲食店、ホテル・旅館などの宿泊施設(客室は除外)、カラオケボックス・ゲームセンター・パチンコ店などの遊技場、理容・美容室などのサービス施設を「第二種施設」に分け、別々の規制措置を提案しています。

 第一種施設では公共的空間は禁煙とし、施設入り口に禁煙であることが分かる表示をするよう施設管理者に義務付ける一方、第二種施設では分煙であることを入り口に分かるよう表示し、仕切りなどで非喫煙区分と分離し、換気扇などを設ければ、喫煙区域を設けることを可能としました。(但し、未成年者は喫煙区域には入れない)

 さらに、第ニ種施設のうち、キャバレー、ナイトクラブやバー、パチンコ店やマージャン店などは、「喫煙者の割合が特に高く、県民意識調査でも規制対象に挙げる人が少なかった」として、施行から3年間は条例を適用しないことを盛り込みました。

 また当初、この条例は「公共的施設における禁煙条例」という仮称がつけられていましたが、今回「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」に改められました。神奈川県では「受動喫煙による県民の健康影響を防止するという条例の目的を明確にするためとして、この名称に変更した」としていますが、不特定多数が出入りする施設を一律禁煙とする方針から今回大きく後退したこともその背景にあると思われます。

 欧米各国では、ここ数年で飲食店も含めた公共の場での禁煙が広がっていますが、わが国ではやはり人々の健康よりも経済活動のほうが優先されるようです。極めて残念なことです。

 神奈川新聞によれば、近くこの骨子案についての県民からの意見募集が開始される他、県議会の意見などを踏まえて、当初の予定通り2008年度中の成立を目指すとのことです。今後に注目しましょう。

資料:かながわのたばこ対策(神奈川県HP)
 http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/tobacco/tobacco_index.html

関連情報:TOPICS
   2008.04.16 公共の場での全面禁煙を目指す(神奈川県)
   2008.06.16 神奈川県の公共的施設禁煙条例に賛否分かれる
   2008.07.01 公共の場を禁煙にすることによる成果(英国)

参考:
 禁煙、分煙の選択制も導入/県の受動喫煙防止条例骨子案(カナロコ:神奈川新聞9月9日)
  http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiisep0809273/
 神奈川、全面禁煙早くも骨抜き  分煙認める骨子案を発表(47NEWS 9月9日)
  http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008090901000551.html
 毎日新聞9月9日
  http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080910k0000m040067000c.html


2008年09月09日 23:00 投稿

コメントが3つあります

  1. アポネット 小嶋

    神奈川県は8日、公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)の素案を公表しました。

    神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)素案について
     (神奈川県記者発表資料 2008年12月8日)
     http://www.pref.kanagawa.jp/press/0812/021/index.html

    9月に発表された骨子案はでパチンコ店などに分煙や3年間の猶予を設けることが盛り込まれましたが、今回の素案ではさらに、小規模飲食店についても条例施行後3年間は規制の対象外などとする案が盛り込まれました。

    禁煙条例、小規模飲食店3年猶予 全面禁煙さらに後退、神奈川県
     (47NEWS 2008年12月8日)
     http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008120801000483.html

    禁煙条例:飲食店にも猶予期間 神奈川県知事が素案発表
     (毎日新聞 2008年12月8日)
     http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081209k0000m040029000c.html

  2. アポネット 小嶋

    松沢神奈川県知事は13日の定例記者会見で、「公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」の素案について、条例施行3年後に禁煙か分煙を義務付けるとしていた小規模飲食店やパチンコ店など風営法対象施設の喫煙規制を「努力義務」に修正すると発表しました。事実上の骨抜きです。

    神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)素案の修正について
    (神奈川県記者発表 2009年1月13日)
      http://www.pref.kanagawa.jp/press/0901/019/index.html

    禁煙条例案再び後退、神奈川 小規模店は「努力」に
     (47NEWS 2009年1月13日 共同通信配信)
      http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011301000573.html

    小規模店やパチンコ店などは「努力義務」/神奈川県、受動喫煙防止条例素案で大幅譲歩
     (カナロコ 神奈川新聞 2009年1月13日)
      http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjan0901261/

    事実上の骨抜きに業界歓迎、嫌煙派落胆/神奈川県の受動喫煙防止条例
     (カナロコ 神奈川新聞 2009年1月13日)
      http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjan0901260/

    やはり、こういった施策は自治体単位では難しいでしょう。国による取り組みを期待するしかありません。

  3. アポネット 小嶋

    神奈川県議会は3月24日、委員会で一部施設への罰則適用を猶予する修正を加えた受動喫煙防止条例案を本会議で可決し、成立しました。

    民間施設も対象に喫煙を制限する条例は全国で初めてですが、調理場を除く床面積が100平方メートル以下の小規模飲食店(飲食店全体の7割強)や、床面積700平方メートル以下の小規模なホテル・旅館計約30,000施設やキャバレーやナイトクラブ、パチンコ店など約9,000の風営法対象施設などは、各業界の反発などを受けて、当面は「禁煙・分煙は努力義務」となったことから、当初の構想からは大きく後退しました。

    神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(神奈川県)
     http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/tobacco/shusei_jorei.html

    神奈川県内の学校や病院、映画館、劇場、百貨店など計約10万施設では、2010年の4月から指定された喫煙所を除いて施設内が全面禁煙となり、こういった施設内などで喫煙した個人には二千円の過料、施設管理者には二万円の過料という罰則が科せられます。

    神奈川で受動喫煙防止条例が成立 内容は後退、効果に疑問も
     (47NEWS 3月24日 共同通信配信)
     http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009032401000570.html

    受動喫煙防止条例、施行でどうなる?(神奈川新聞3月25日)
     http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivmar0903543/