公共の場での全面禁煙を目指す(神奈川県)

 神奈川県は、受動喫煙の防止に向け公共の場での喫煙を全面的に禁じる「公共的施設における禁煙条例(仮称)」の制定に向けた基本的な考え方をまとめ、15日の知事定例記者会見で発表しました。

神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)についての基本的考え方[案]について
  (神奈川県・記者発表資料4月15日)
  http://www.pref.kanagawa.jp/press/0804/031/index.html
  http://www.pref.kanagawa.jp/press/0804/031/0415shiryo.pdf

 本案によれば、「受動喫煙による健康影響を未然に防止し、県民の健康の確保を図るため、県、県民及び事業者の責務を明らかにする」「不特定多数の者が利用する公共的施設における喫煙の禁止を定める」「普及啓発その他受動喫煙防止促進に必要な施策を定める」を条例の目的として掲げ、条例の実効性を担保するため、県民(公共的施設においては喫煙してはならないことを義務付ける)の他、施設管理者に罰則を設けることを検討しています。

 また本案では公共的施設を「不特定多数の者が利用する施設で、室内またはこれに準ずる環境にあるもの」と定義し、規制対象の範囲を健康増進法などを基に、官公庁施設や学校、公共交通機関、病医院や薬局の他、劇場、体育館・屋外競技場、商店・飲食店、宿泊施設、娯楽施設(パチンコ店・マージャン店・ゲームセンター)などを想定しています。(事務所や共同住宅などは対象外とし、施設内の休憩室や倉庫、事務室などは適用除外)。

 神奈川県では、松沢成文知事がこの課題についてマニフェストを掲げて当選したこともあり、昨年来、受動喫煙に関する県民意識調査ふれあいミーティング等での意見交換を通じて、本条例制定の意義についてアピールを行うとともに、医療や法律の専門家等から構成される「神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)検討委員会」を設置して、条例化に向けて準備をすすめてきました。

 今後はこの考え方をもとに、パブリックコメントなどを実施して条例案をまとめ、本年度中に県議会に提案することを目指すとのことですが、今回の発表を受けて「お客が減ってしまのではないか」などの不安や反対意見が噴出しています。

 しかし、飲食店を含めた公共の場での禁煙の動きは欧州などを中心に広がっています。県レベルとはいえ、この条例が成立となり実施されば全国初となります。今後の動きに注目しましょう。

関連情報:
  受動喫煙防止のための政策勧告(WHO 2007.6)(和訳・日本禁煙学会)
    http://www.nosmoke55.jp/data/0706who_shs_matuzaki.html

  47都道府県喫煙対策の実際(日本禁煙学会雑誌 2007年10月号 第2巻第7号)
    http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/200710/index.html#katou  

たばこから健康を守ろう(神奈川県ウェブサイト)
   http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/gan/tobacco/index.html

参考:飲食店も規制前提に/知事が禁煙条例の考え方示す/違反者に罰則も
     (カラロコ・神奈川新聞4月15日)
     http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiiapr0804341
    共同通信4月15日
     http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008041501000614.html

4月16日 22:40掲載


2008年04月16日 22:40 投稿

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