ロスバスタチンと女性化乳房(EMA・PhVWP)

 11月14-16日に開催された、欧州医薬品庁(EMA)のヒト医薬品員会(CHMP)の医薬品安全性監視作業部会(PhVWP)のMonthly reportが24日、公表されています。

Pharmacovigilance Working Party (PhVWP)
 November 2011 plenary meeting → PDFリンク

 今月もいくつかの成分について、Safety Concern が取り上げられていますが、このうち注目したのは、ロスバスタチン(クレストール)による女性化乳房の発症リスク(Rosuvastatin – Risk of gynaecomastia)です。

 PubMED で検索したところ、スタチンと使用との関連が疑われる女性化乳房はこれまでも報告などの形でいくつか紹介されています。

Golf-inhibiting gynecomastia associated with atorvastatin therapy.
Pharmacotherapy. 2006 Aug;26(8):1165-8.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16863492

Gynecomastia
N Engl J Med. 2007 Dec 20;357(25):2636;)
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc072946

Gynecomastia possibly induced by rosuvastatin.
Pharmacotherapy. 2008 Apr;28(4):549-51.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18363539

 PhVWPではこれら症例などを検討、アセスメントの結果、まれな副作用として、女性化乳房をラベルに盛り込むとことで意見が一致したそうです。

 また、ロスバスタチンによる女性化乳房は高齢者や肥満の人に多い傾向があるとしてます。

 添付文書に記載はありませんが、アストラゼネカ社によれば、女性化乳房の報告は、日本でもこれまでに2例があったそうです。(他のスタチンでは、アトルバスタチンの副作用の項に女性化乳房の記載有り)

クレストール錠「副作用情報一覧」に関する注意事項
 http://med.astrazeneca.co.jp/crestor/images/pdf/CRS_Safty1103.pdf

 発症のメカニズムは現時点でははっきりしていませんが、コレステロール合成阻害により、コレステロールを原料として生成されるホルモンの産生(内分泌代謝)への影響が考えられているようです。(冷静に考えてみれば、確かにそうだ)


2011年11月25日 01:05 投稿

Comments are closed.