OTC類似薬の保険給付見直しの範囲の行方は?

22日、来年3月からの導入が決まっているOTC類似薬の保険給付の見直しについて、その対象の取り扱いについての会議が開催されています。

【厚労省 2026.07.22開催】
第3回OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/index_00153.html

GroKの力も借りて、資料で示されたものを整理しました。

一部保険外療養の施行に向けた技術的な検討について
https://www.mhlw.go.jp/content/12403550/001726442.pdf

審議は非公開なので、この通りで了承されたのか、どのような議論がされたかはわかりませんので、これが決定事項かどうかは不明という点を含みおき下さい。(詳細は資料原本でご確認ください)

 1効能・効果の違いについての考え方

成分名 医療用医薬品の主な効能・効果 対応しうるOTC医薬品の効能・効果 別途の負担 判断のポイント
カルボシステイン 上気道炎、気管支炎、喘息、慢性気管支炎など 慢性副鼻腔炎 たん 対象 慢性副鼻腔炎も「たん」として対応(後鼻漏・運用しやすさ)
トリアムシノロンアセトニド 慢性剥離性歯肉炎、難治性口内炎・舌炎 口内炎(アフタ性) 対象 口腔粘膜炎症全体として対応
デキサメタゾン(外用) 湿疹・皮膚炎群、皮膚そう痒症、虫さされなど 湿疹、かぶれ、皮ふ炎、かゆみなど 対象 通常伴う症状として対応
乾癬 - 対象外 病態が明らかに異なる(線引き明確化のため)
ベタメタゾン吉草酸エステル(外用) 湿疹・皮膚炎群、皮膚そう痒症、虫さされなど ベタメタゾン吉草酸エステル(外用) 対象 通常伴う症状として対応
乾癬、掌蹠膿疱症、SLE、薬疹・中毒疹、円形脱毛症、熱傷など - 対象外 OTCの効能・効果と一致しない
アシクロビル(外用) 単純疱疹(初感染・性器含む) 口唇ヘルペスの再発(過去に医師診断・治療を受けた方に限る) 対象 部位・初感染・再発を細分化せず、軽症皮膚・粘膜病変として対応
アスコルビン酸 ビタミンC欠乏症の予防と治療、毛細管出血(鼻出血、歯肉出血、血尿など)、肝斑・雀卵斑・炎症後の色素沈着など 次の場合のビタミンCの補給/歯ぐきからの出血,鼻出血/しみ,そばかす,日やけ・かぶれによる色素沈着 対象 OTCの効能・効果と一致する
アスコルビン酸 ・薬物中毒
・副腎皮質機能障害
・骨折時の骨基質形成・骨癒合促進
・光線過敏性皮膚炎
- 対象外 OTCの効能・効果と一致しない
ミコナゾール硝酸塩など(外用) 皮膚真菌症の治療 (白癬・カンジダ症・癰風全般) 膣カンジダの再発による発疹を伴う外陰部のかゆみ 対象 表在性真菌症全体として対応(運用負担増を避ける)
ビダラビン 帯状疱疹・単純疱疹 口唇ヘルペスの再発 対象 ヘルペスウイルス科の限局皮膚病変として対応
イブプロフェン 紅斑(結節性・多形滲出性・遠心性環状紅斑)など 各種消炎・鎮痛・解熱 関節痛、発熱時の解熱など 対象 紅斑に伴う症状として対応
フルチカゾンプロピオン酸エステル アレルギー性鼻炎 血管運動性鼻炎 花粉による季節性アレルギーの症状緩和 (鼻づまり・鼻水・くしゃみ) 対象 同じ鼻症状・治療目的として対応(鑑別困難なため)

●部位についての考え方
OTCが「口唇ヘルペスの再発」や「膣カンジダ再発」など部位を限定していても、医療用が広めの効能の場合も、軽症の皮膚・粘膜病変として対応と整理。

●処方目的についての考え方
紅斑のように「痛みがない場合もある」疾患でも、**伴う症状(発熱・関節痛)**に対応する形で整理。

●病態の違いについての考え方
アレルギー性鼻炎と血管運動性鼻炎のように病態は異なっても症状・治療目的が同じ場合は、運用しやすさを優先して対応と整理。

2.医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要とする場合の考え方

  • 内服薬:初診時は安易に該当とせず、6ヶ月程度の経過確認を原則とする
  • 外用薬:処方日数・量だけでは実際の使用状況がわかりにくいため、診療ガイドラインでの位置づけを重視する
  • 制度の公平性・運用しやすさを重視し、ガイドラインで明確に長期使用の必要性が示されているものに限定する
  • がん患者、指定難病患者、入院患者、処置の一環として必要な場合などは、別途の負担の対象外

医師の判断のばらつきを抑えつつ、医学的に長期使用が必要な患者への配慮を図る方向で整理を要する

区分 該当する場合
(別途の負担を求めない)
該当しない場合
(別途の負担を求める)
理由
内服薬 ・過去の診療経過が確認できない初診時でも、一定期間(例: 6ヶ月程度)の診療経過で以下の両方が確認され、医師が「今後通年にわたる使用が必要」と判断した場合
・症状の持続又は反復
・対象医薬品の継続的又は反復的な使用
・初診時で過去経過が確認できず、一定期間の経過観察がない場合
・医師が長期使用の必要性を認めない場合
・短期使用で十分と判断できる場合
・NDBデータでは年間処方日数が短い患者が大多数
・慢性疾患でも患者ごとの経過差や医師判断のばらつきを考慮
・疾患名のみで初診時から一律に該当とはしない
外用薬 (鎮痛消炎剤) (原則として該当しない) 1年を通じて継続的に貼付することについては、エスフルルビプロフェンのような一部の成分に限られる。 ・疼痛緩和を目的として処方されるものであり、使用継続の必要性が患者の主観に左右されやすい。
・ガイドラインでは短期〜一定期間の有効性は確認されているが、1年超の長期使用の有用性は明確でない
外用薬 (皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤) アトピー性皮膚炎に対する
・ヘパリン類似物質
・尿素
・アトピー性皮膚炎以外(老人性乾皮症、進行性指掌角皮症、肥厚性瘢痕・ケロイド等)
・アトピー性皮膚炎でも左記2成分以外
・アトピー性皮膚炎:ガイドラインで急性期沈静化後も保湿剤の継続使用を推奨(再燃予防)
・その他の皮膚疾患:長期(通年)使用の必要性がガイドラインで明確に位置づけられていない

3.OTC医薬品の添付文書に「服用しないこと」の記載がある場合の考え方

〇高齢者、疾患、症状、併用薬制限、長期連用
医師によって判断が分かれ、同じ病態であっても患者負担の有無が異なるなど、患者側の納得が得られない取扱いとなるおそれがあるため、OTC医薬品を「服用しないこと」と記載されている患者も、それ以外の患者と同様に、別途の負担の対象と整理

〇部位、性別
・「服用しないこと」の記載に伴う配慮対象としてではなく、効能・効果又は別途の負担を求める者に該当するかで整理

〇妊婦・授乳婦
・OTC医薬品で服用しないことと記載されており、医療用医薬品の添付文書において、妊婦又は授乳婦に関する注意喚起がある薬剤を対象
・妊婦、妊娠している可能性のあるためOTC医薬品を服用できない女性、授乳婦については、本人申告(問診票)のほか、必要に応じて、母子健康手帳、診療録に基づき、医師が判断

記載の種類 該当例 別途の負担の対象 判断の際の留意点
高齢者 ミコナゾール(60歳以上) 対象
(負担あり)
重篤な疾患や別の疾患の可能性を踏まえる必要はある
疾患・症状 エピナスチン(肝臓病) イトプリド(原因不明の体重減少、繰り返す嘔吐、血便、発熱など) 対象
(負担あり)
重篤な疾患の可能性を踏まえる必要はある
併用薬制限 イトプリド(特定の消化管運動改善薬などとの併用) 対象
(負担あり)
原因不明の体重減少、繰り返す嘔吐、血便、発熱等は、重篤な疾患の可能性を踏まえる必要はある
長期連用 イトプリド(長期連用しないこと) 対象
(負担あり)
長期使用の適切性を医師が判断する必要はある
性別制限 フラボキサート(男性は服用しない) 対象
(負担あり)
基礎疾患(前立腺肥大症など)の可能性を踏まえ、医師受診を促す必要はある
妊婦・授乳婦 イトプリド、ミコナゾール、エピナスチンなど(妊婦・授乳中は服用しないこと) 対象外
(負担なし)
(特別な配慮)
医療用では「治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用」という有益性投与の考え方を基に、 OTCの自己判断による代替が想定されない

どうでしょう、貼り薬など、対象外となるケースはかなり限定されそうです。

ただ、レセプト病名があれば、対象とすることができることになるので、処方側のモラルに頼ることとなるでしょう

何よりも限りある保険医療費をどう有効に使うかを医師と患者さんがしっかり考える必要があります。

次回会議でとりまとめ案が出ますので、最終的には議事録と共に、そちらをご確認ください。

関連情報:TOPICS
202512.24 追加料金の対象となるOTC類似薬77品目は?


2026年07月22日 23:12 投稿

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