4月から生保医療扶助は後発品が原則というけど

 ツイッターではすでにふれていますが、4月から、医師が後発医薬品の使用を認めている場合は、後発医薬品を原則として使用するとした、生活保護の医療扶助における後発品の使用原則が決まっています。

 厚労相の記者会見や断片的な報道しかなく、記事にするのを控えていましたが、これまでの一部報道でも決まったとなっていたので、19-20日に開催された全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)の資料を引用して紹介します。 (新聞記事はおそらく1週間ほどでリンク切れになります)

生活保護受給者に価格安い後発薬  使用率上げ医療費抑制
(東京新聞 2013.01.29)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013012902000104.html

生活保護受給者は後発医薬品を
(NHK NEWS 2013.02.23)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130223/k10015729411000.html

全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)
(厚労省 2013.02.19,20)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/tp0215-1.html

下記は、(7)の社会・援護局のプレゼン資料より引用。(画像クリックで別ウインドウでPDFファイルが開きます)

 詳細は、下記資料の14ページから記されています。

(5)医療扶助の適正化について
http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-07-01d.pdf#page=18

 簡単にいうと、

  • 医師が後発医薬品の使用が可能であると判断した(一般名処方を含む)場合は、後発医薬品を原則として使用する。
    ※ 受給者が、先発医薬品を希望する場合は、一旦は先発医薬品の使用を認めるが、「先発医薬品の方が高額だから」といった理由により先発医薬品を使用する場合には、前述3にある健康管理指導の対象とし、適正な服薬等が行われるように支援する。ただし、強制的措置は行わない。
  • 医師が後発医薬品の使用を認めている場合に、医療機関が生活保護受給者に対し後発医薬品の使用を促すことについて法制化することを検討する。

ということなのですが、実際に後発医薬品を調剤する薬局としては微妙な立場となります。

 新規の患者さんや処方変更時には、初めから後発品にすることは可能だと思いますが、継続服用をしている患者さんについての取扱いは難しいものになると思われます。

 また、おそらく医科だけとは思いますが、「必要に応じて、国(地方厚生局)による指導等も実施できるようにすること。」となっているので、もしかすると調剤の個別指導においても何らかの指導があるかもしれません。

 なお、生活保護の医療扶助の関連の話題については、この間ある調査結果が発表され話題になっています。

医療従事者(医師・看護師・薬剤師)が経験した公的補助の悪用例
「生活保護受給」46.6%、「子ども」17.2%
「過剰な受診」「薬の過剰請求」「コンビニ受診」…中には悪質なケースも
(株式会社エス・エム・エス 20013.02.18)
http://www.bm-sms.co.jp/pdf/prs_130218_SMS_QlifeRepo_ver1.pdf

 一方、15日のダイアモンド・オンラインでは、生活保護当事者にジェネリック医薬品を選択するよう求めることが医療扶助費の抑制に役立つかどうかについて検証した記事が配信されています。

生活保護当事者はジェネリック医薬品利用が原則に!?
厚労省が促進する後発品処方の知られざる影響
――政策ウォッチ編・第14回
(ダイアモンド・オンライン 2013.02.15)
http://diamond.jp/articles/-/31994

関連情報:TOPICS
 2012.10.23 生保医療扶助、後発品の原則化などの検討が必要(財務省)
 2012.05.22 生保医療扶助における後発品使用に関する通知
 2012.03.14 生保医療扶助、一旦は後発医薬品の使用を求める
 2011.12.13 生保医療扶助、さらなる適正化に向け方策の検討が必要


2013年02月23日 15:11 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    m3.com で既にご覧になっているかと思いますが、厚労省は5月16日に「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」という通知を発出しています。

    [医療扶助] 生活保護制度では後発品を積極使用、先発品希望者には指導も
     http://www.m3.com/news/GENERAL/2013/5/23/172741/

    患者が希望して先発品を調剤した場合、薬剤師の専門的な知見で先発品を調剤した場合は、その事情等を記録して、定期的に福祉事務所へ送付するということが今後必要となるようです。(誰でも見れる状態でこの通知がWEBにUPされましたら、記事にすることも検討していますが、意外とこういう通知はUPされない)