生保医療扶助、一旦は後発医薬品の使用を求める

 すでに一部報道でご存じかと思いますが、1日開催された社会・援護局関係主管課長会議で、後発医薬品の利用促進などの生活保護における医療扶助の適正化に向けた取り組み案が示されています。

社会・援護局関係主管課長会議資料について
(厚労省 2012年3月1日開催 資料は14日掲載)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/tp0314-01.html

保護課資料
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/tp0314-01_05.pdf

関連部分(p32-49)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/tp0314-01_11.pdf
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/tp0314-01_12.pdf
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/tp0314-01_13.pdf

 医療扶助の適正化に向けた取り組みとしては次の5つが示されています。

  1. 後発医薬品の利用促進
  2. 「医療扶助相談員・指導員(仮称)」の配置
  3. 電子レセプトを活用したレセプト点検の強化
  4. 指定医療機関に対する効果的・効率的な指導
  5. 向精神薬における適正受診の徹底

 このうち、私たちと関連が深いのは、後発医薬品の新たな使用促進策で、厚労省では、後発医薬品の効能・安全性及び医療全体での使用促進している状況等について理解を求めた上で、後発医薬品を一旦服用することを促し、服用終了時に再度、本人の意向を確認することを今後、生活保護法の指定薬局に対して求めることになります。

 この一旦服用するという期間は、風邪などの急性疾患は1~2週間、高脂血症等の慢性疾患は8週間等とした例示がされており、私たちは、風邪等の場合はその都度、慢性疾患の場合も初回はまず後発医薬品を一旦服用してもらうことに理解してもらうという新たな業務が今後一つ増えることになります。

 後発医薬品使用促進の取組内容(案)

1.後発医薬品に関する生活保護受給者に対する周知

 福祉事務所は、生活保護受給者に対して、厚生労働省がお示しするひな形を参考にして作成したパンフレットを用いる等により、本取組や後発医薬品に関する以下の事項について周知徹底を図る。

  • 後発医薬品は、先発医薬品と品質・有効性・安全性が同等であると認められた医薬品であること。
  • 医療全体で後発医薬品の使用促進に取り組んでいること。
  • 処方医が後発医薬品の利用が可能であると判断した場合には、生活保護受給者に対し、指定薬局において、後発医薬品の使用を促すものであること。
  • 処方医が後発医薬品の利用が可能であると判断したにもかかわらず、先発医薬品の使用が継続している場合には、後日、先発医薬品を使用している事情等を福祉事務所が聴取することになるとともに、後発医薬品の品質・有効性・安全性等について不安がある場合等には、後発医薬品について理解を求めた上で、使用を促すことになること。
  • ー旦、後発医薬品を使用した者に対しては、その後、改めて意思を確認の上、継続した後発医薬品の使用を促すことになること。
  • 生活保護受給者の理解の上、後発医薬品を一旦使用するととを促すものであり、強制するものでないこと。
2.指定医療機関等に対する周知及び協力依頼
  1. 生活保護法の指定を受けている病院、診療所に対して、厚生労働省がお示しするひな形を参考にして作成したパンフレットを用いて説明を行うなど、本取組に理解を求めること。
  2. 生活保護法の指定を受けている薬局に対して、厚生労働省がお示しするひな形を参考にして作成したパンフレットを用いて説明を行うなど、本取組の実施に理解、協力を求めるとともに、当該福祉事務所における生活保護受給者に対する本取組の周知の状況についても説明すること。
  3. 薬局に対しては、処方医が後発医薬品の利用が可能であると判断していることを確認の上、順次、処方せんを持参した生活保護受給者に後発医薬品を一旦使用することを促して頂くよう協力を求めること。
    また、後発医薬品を一旦使用した生活保護受給者に対して、本人の意思を確認の上、継続して後発援薬品を使用することを促して頂くよう協力を求めること
  4. 本取組を実施した後、後発医薬品の処方実績が他の医療機関と比較し相当低調な場合には、当該指定医療機関及び指定薬局に意見聴取をするなど事情をよく把握したうえで、必要に応じて本取組への協力を求めること。
3.後発医薬品の使用状況の確認

①調剤報酬明細書の確認
 先発医薬品を使用している者を抽出するため、調剤報酬明細書( 以下「調剤レセプト」 という。) の調剤内容を確認し、既に後発医薬品が薬価収載されている先発医薬品を使用している者を抽出すること。

②処方せんの確認
 ①により抽出した者についで、指定薬局から調剤の給付を受けている場合は、必要に応じ、厚生労働省がお示しするひな形を参考に、指定薬局に対して処方せんの等しの提出協力を依頼し、当該処方せんに、処方医による「後発医薬品への変更不可欄」への署名又は先発医薬品の銘柄名の近傍に「変更不可j との記載がされているか、当該指定薬局において後発医薬品の変更が可能かどうかについて確認を行うこと。
 なお、処方せんについては、対象者に係る全ての処方せんについて提出を求める必要はなく、先発医薬品が使用されている直近月の処方せんのうちの1 枚について提出を依頼すればよいこと。
 また、薬局に処方せんの提出を依頼する際には、複数の者にかかるものをまとめて依頼を行うなど、薬局の事務負担について十分な配慮を行うこと。
 処方せんを確認した結果、『後発医薬品への変更不可欄』 に医師の署名等がある場合については、下記④の確認を行う必要はないこと。

③生活保護受給者に対する確認
 上記②により確認された者に対して、先発医薬品の使用に係る状況確認を行う三と。

4.生活保護受給者に対する更なる説明

 上記3 による確認の結果、指定薬局において、後発医薬品の使用が可能である旨の説明を受けたにもかかわらず、特段の理由なく後発医薬品の使用をしていないと認められた場合には、可龍な限り、直接本人と面会し、先発医薬品を使用している事情等を聴取するとともに、改めて、後発医薬品を一旦使用することにういて理解を求めること。
 その際も、本人の意思を尊重し強制的にならないよう配慮すること。

 なお今回の使用促進策については、「後発医薬品を一旦服用することを基本とするものであるが、本人に説明し理解を求めた上で、一旦服用を促すものである。本人が後発医薬品の服用を望まない場合は本人の意向を尊重することとしており、後発医薬品を使用しない場合であっても、保護の停廃止等強制的な措置を実施するものではない」とした留意事項も示されていますが、「一旦服用をしてもらう」ことが求められていることから、後発品の取り揃えなど使用を前提とした対応が求められます。

 近く、自治体を通じて事前に説明や周知が行われるとのことですが、生活保護法の指定医療機関に指定されている薬局にとっては、頭の痛い課題となりそうです。

関連ブログ:
専用窓口の設置
(医療・介護を支える継続企業の知恵袋 2012.03.04)
http://blog.goo.ne.jp/kae-manage/e/fd6fd75ee1547b0c95f9b3ae8e72e37b

関連情報:TOPICS
 2011.12.13 生保医療扶助、さらなる適正化に向け方策の検討が必要
 2011.11.23 生保医療、後発品利用促進の検討必要(提言型政策仕分け)


2012年03月14日 16:15 投稿

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