生保医療扶助、さらなる適正化に向け方策の検討が必要

 厚生労働省は12日、医療扶助制度のあり方などを含む、今後の生活保護制度に関するあり方についてまとめた中間報告を公表しています。

生活保護制度に関する国と地方の協議に係る中間とりまとめについて
(厚労省2011年12月12日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xvq6.html

 この中間とりまとめは、生活保護の見直しについて5月から地方自治体の首長・実務担当者らとの協議を重ねてまとめられたもので、これまでの協議では医療扶助の現状と適正化の取組み事例なども明らかになっています。

大阪市長提出資料
(第1回生活保護制度に関する国と地方の協議 2011年5月30日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001dmw0-att/2r9852000001do6o.pdf

 このうち医療扶助については、提言型政策仕分け(TOPICS 2011.11.23)などでも指摘された不要な受診を防ぐための受給者の一部自己負担なども議論となりましたが、下記のような従来の対応策に留まりました。

  1. 向精神薬の重複処方や頻回受診等、不適切な受診行動が見られる生活保護受給者への適正受診指導を行うため、電子レセプトに係るシステムについて、具体的な対象となりうる者を抽出する機能を追加する機能強化
  2. 電子レセプトを活用した効果的な取組を進める観点から、指定医療機関における医療扶助の状況(生活保護受給者に関する請求が突出して多い等)を総合的に勘案した、適正化対象選定の基準策定
  3. 先発薬が処方されている生活保護受給者に対する後発薬の使用促進を図るため、本人や医療関係者等への更なる働きかけ
  4. 医療扶助の適正化のための電子レセプトの活用方法に関するマニュアルを国が作成し、地方自治体へ配付

 ただ一方で、「医療扶助の更なる適正化に向けて、あらゆる方策を引き続き検討する必要がある。」とも記されており、何らかの対応策がとられる可能性もあります。

関連情報:TOPICS 2011.11.23 生保医療、後発品利用促進の検討必要(提言型政策仕分け)

参考:
47NEWS 12月12日(共同通信配信)
 http://www.47news.jp/CN/201112/CN2011121201002217.html


2011年12月13日 11:43 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    厚労省は24日、生活保護費の抑制策として、2012年度から福祉事務所に「医療扶助相談・指導員」(仮称)を配置し、診察を受ける生活保護受給者に後発医薬品の使用を促す方針を明らかにしたそうです。

    毎日新聞などによると、この指導員には、薬剤師や看護師の資格者(おそらく市町村単位だと思うけど、どうやって採用するんだろう。薬剤師会に委託ということはないよね?)を当てて、生活保護受給者が医療機関にかかる時は相談員が受給者と面談し、後発薬の使用を促すとのことですが、処方元への働きかけて、後発品(一般名)処方をしてもらうことがより実効性があると思うんですけどね。

    毎日新聞12月25日
     http://mainichi.jp/life/health/medical/news/20111225ddm003040137000c.html

    NHK NEWS WEB 12月25日
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111225/t10014887621000.html

  2. アポネット 小嶋

    厚労省は、電子レセプトを活用し、受診回数が極端に多い受給者や、向精神薬の重複処方などが容易に把握できる「電子レセプト活用マニュアル」を作成し、自治体に配布。運用も開始したそうです。

    生活保護:医療費、電子レセプトで把握 厚労省、抑制へマニュアル
    (毎日新聞 1月18日)
    http://mainichi.jp/select/science/news/20120118dde041040048000c.html