身の回りにある「鉛」の危険性

 国民生活センターは25日、国内に流通している輸入品の子どもが身につける可能性のある金属部分を含むアクセサリーに214銘柄について商品テストを実施した結果、9銘柄で食品衛生法上の基準値を超える鉛が検出されたと発表しました。

 本サイトでもたびたび紹介している、身の回りにある「鉛」の問題ですが、2007年に対策の指針が示されているにも関わらず、あまり進んでいないようです。

子どもが使用することのあるアクセサリーに関する調査結果
-カドミウム、鉛の溶出について-
(国民生活センター3月25日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100325_1.html

 今回の商品テストは、今年1月に米国で販売されている中国製の子ども用アクセサリーからカドミウムが検出されたとの報道を受け、消費者庁の依頼で同センターが実施したものですが、カドニウムは検出されなかった一方、いわばついでに行った鉛溶出試験で判明したものです。

 対象とした商品は、関東地方にある100 円ショップ、雑貨店、ベビー用品店、ディスカウントショップ、玩具店等で販売されていて、子どもが身につける可能性があり、国産表示がなく輸入品と考えられる金属部分を含むアクセサリー214銘柄で、遮光にして37℃で2時間塩酸に浸し、どのくらいの鉛が溶出するかという溶出試験を行っています。

 その結果、ネックレス8銘柄と指輪1銘柄の一部のサンプルで、食品衛生法の基準(90μg/g)を超えるものがあったそうです。

 消費者庁では「誤飲しても直ちに毒性を持つレベルではなく、普通に身に着けることに問題はない」と説明しているようですが、海外では誤飲による中毒例が少なくありません。

 特に子どもが誤飲するなどして、血中の鉛濃度が上昇すると、ADHDなどの発達障害を引き起こすのではないかと指摘もあります。

 特定の業者を問題視するわけではありませんが、米国では最近、あの日本の業者(現地法人)にペナルティが科せられています。(海外では規制が厳しいようです)

Daiso To Pay $2 Million Civil Penalty for Violations of Federal Safety Laws and Must Stop Importing Children’s Products and Toys Into U.S.(U.S. Consumer Product Safety Commission 2010.3.2)
 http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml10/10151.html

 消費者庁では輸入業者には販売自粛を要請、また消費者には子どもが口に入れないよう注意を呼び掛けるそうですが、さまざまな場で身の回りにある鉛の危険性や害についてもっと伝えていく必要があるでしょう。

子どもの誤飲防止に関する対応
-子ども用金属製アクセサリーの誤飲による健康被害の防止に向けて-
(消費者庁 2010年3月25日 NEWS RELEASE)
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/100325adjustments_1.pdf

関連情報:TOPICS(一部旧サイトの記事です) 
  2006.03.08 子供向け金属アクセサリーなどに高濃度の鉛が含有
  2006.04.30 鉛入りアクセサリー問題、リスク評価の検討会設置へ
  2007.02.17 鉛含有金属製アクセサリー類等の安全対策に関する検討会報告書
  2009.11.24 ADHD予防には妊婦の禁煙と鉛暴露を避けることが必要
  2006.09.20 ADHDの増加は、胎児期のたばこ曝露と鉛が原因か?(米国報告)

参考:
子ども用金属製アクセサリーに鉛 国民生活センターが輸入品テスト
 (47NEWS 3月25日 共同通信配信)
 http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010032501000630.html
ダイソー米法人に罰金2百万ドル 鉛混入の玩具販売で
 (47NEWS 3月3日 共同通信配信)
 http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030301000442.html


2010年03月26日 00:37 投稿

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