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2006.09.30 栃木県、「健康情報手帳」の導入を検討

2006.09.30 医薬品・医療用具等安全性情報228号

2006.09.28 医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書(公取委)

2006.09.26 糖尿病とがんリスク(厚労省研究班)

2006.09.26 H2ブロッカーが心不全に役立つかもしれない(国内研究)(9/27更新)

2006.09.26 医薬品の安全性を確保するための提言(米国レポート)

2006.09.25 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.19

2006.09.20 ADHDの増加は、胎児期のたばこ曝露と鉛が原因か?(米国報告)

2006.09.16 業界団体が考える大衆薬の販売方法(9/26更新)

2006.09.16 若者の保健問題と緊急避妊薬(英国)

2006.09.14 日医、ジェネリック医薬品に関する緊急調査の結果を発表

2006.09.14 NSAIDSと心疾患リスク

2006.09.13 緑茶が循環器疾患のリスクを低くするかもしれない(国内研究)

2006.09.12 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.18

2006.09.11 厚労省、新高齢者医療制度に包括払い導入を検討

2006.09.09 FDA、イブプロフェンとアスピリンの同時使用に注意喚起(9/25更新)

2006.09.08 「高濃度酸素水」の効果にエビデンスなし

2006.09.05 「患者向医薬品ガイド」の情報が追加

2006.09.05 ピロリ菌感染で胃がんのリスク5倍に(厚労省研究班)

2006.09.02 大学設置準備会、医療薬科大学計画を断念

2006.09.01 第2回小児薬物療法検討会(11/7リンク追加)

8月 ← 9月 → 10月

2006.09.30 栃木県、「健康情報手帳」の導入を検討

29日行なわれた県議会一般質問で、栃木県は来年度から「健康情報手帳」(仮称)の導入を検討していることを明らかにした。

各市町村では、1982年から国の老人保健事業の一環として、健康手帳が40歳以上に交付しているが、自治体ごとに形式が違い、また個人で健診結果などを書き込んで使用する形となっているため、医師が健康指導などに活用しにくいことが指摘されていた。

また、2004年度の県の調査でも、6割程度の自治体が、実際に手帳が活用されているかどうかを把握していないなど、健康手帳が有効に活用されていないこともわかった。

そこで県は、健診結果や治療、薬、病歴などの書式を統一し、各市町村や医療機関などでも共通で使える県独自の健康手帳を導入することにしたという。東京新聞によれば、健康手帳を積極的に活用している事例がなく、実現すれば全国的にも珍しい取り組みになるという。

手帳の様式などについては今後、「とちぎ健康21プラン推進協議会」で検討がすすめられるとのことだが、現在でも薬局の現場では、おくすり手帳ではなく健康手帳に薬の記録を行われている場合もあると思う。将来的にはICカードなどにとってかわられるかもしれないが、できることなら、検討されている「健康情報手帳」に「おくすり手帳」の要素も盛り込んで、患者・医師・薬剤師の情報交換のためのツールとしての活用ができるよう検討を願いたいものである。

参考:下野新聞9月30日
    東京新聞栃木版9月30日
  http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20060930/lcl_____tcg_____002.shtml

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2006.09.30 医薬品・医療用具等安全性情報228号

厚労省は9月28日、医薬品・医療用具等安全性情報228号を公表しました。

平成17年度のインフルエンザワクチンによる副作用などの掲載されています。

詳しくはこちらです。

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2006.09.28 医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書(公取委)

現在、医療費のうち薬剤費は2割強を占めていますが、公正取引委員会(公取委)では、医療費削減に資するとされる後発医薬品の取引がどのように行われているか、また医療機関が連携してスケールメリットをいかした価格交渉を行うなどの共同購入の取組がどのように行われているかの実態調査を行い、27日、調査報告書として公表しています。

医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書
 (公正取引委員会・報道発表資料 2006.9.27)
 概要 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.september/06092702.pdf
 全文 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.september/06092702hokokusyo.pdf

この調査は2006年1月から9月にかけて、医薬品メーカー113社、卸売業者134社、500の医療機関、1,084名の公取委消費者モニターへのアンケート調査及び、10社の卸と30医療機関などのヒアリングからまとめられています

後発医薬品の調査というと、日医の実態調査のように、どうしても医療提供者側のバイアスがかかってしまいますが、この調査は医療経済的な側面から冷静にまとめられているので、実態を知る上で有用な資料です。また、医療用医薬品の流通実態を知る上でも、とても参考になりますので、是非一読をおすすめします。

報告書から、後発医薬品に関する事項についていくつか気になった点を抜粋します。

  • 消費者の後発医薬品の認知状況は、「知っている」「なんとなく知っていた」を合わせると77.8%に達し、「知らなかった」は22.2%にとどまった
  • 消費者自身で「後発医薬品」か「先発医薬品」かの選択が可能な場合、31.3%の消費者で「必ず後発医薬品を選ぶ」と答え、「場合によっては後発医薬品を選ぶ」という消費者も65.4%に達した
  • 「場合によっては後発医薬品を選ぶ」とする消費者では、「後発医薬品の安全性や効き目に不安はあるが,価格差が大きい場合に後発医薬品を選ぶ」とする割合は11.4%にとどまり、「後発医薬品の安全性や効き目に不安はあるが,医師や薬剤師から安全性や効き目について説明を受けて納得できた場合には後発医薬品を選ぶ」とする割合が78.1%を占めた
  • 後発医薬品の使用に当たり,「後発医薬品自体の安全性、安定供給、情報量等が不安だ」とする医療機関が多数(84.6%)をしめた
  • 先発医薬品メーカーによる後発医薬品に関する医療機関への不適切な情報提供事例がある

公取委では、これらの調査を踏まえ、後発医薬品の使用促進については次のような提言を行っています

  • 後発医薬品メーカーは、後発医薬品の安定供給、情報提供、品質確保に関して医療機関の懸念を払拭し、これらについて理解を得られるような取組を行うことが望ましい
  • 先発医薬品メーカーによる後発医薬品取引の妨害、独占禁止法上の問題(取引妨害)となるものであり、医療機関に対し、医薬品に関する不適切な情報提供を行ってはならない
  • 医師又は薬剤師は、患者に後発医薬品を処方又は調剤するに当たり、後発医薬品の安全性や有効性について先発医薬品と同等であるとの説明を行うことが望ましい

関連情報:TOPICS 2006.09.14 日医、ジェネリック医薬品に関する緊急調査の結果を発表

2006年9月28日 13:30掲載

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2006.09.26 糖尿病とがんリスク(厚労省研究班)

厚労省の研究班は26日、糖尿病にかかっていると、がんを発症する危険が2〜3割高まるとする調査結果を発表しました。

糖尿病とその後のがんリスク(JPHC リサーチニュース 2006年9月26日)
  http://epi.ncc.go.jp/jphc/rnews/news027.html

この研究は全国10保健所管内に在住の40‐69歳の男女97,771人を対象に行われたprospective studyで、糖尿病とがんのリスクの間にどのような関連があるかを約11年間追跡調査しています。

今回の調査ではアンケート調査が用いられ、「これまでにお医者さんから糖尿病と云われたことがある」または「お医者さんから糖尿病の薬を処方されて定期的に飲んでいる」と答えた群(糖尿病群)と、そうでない群とで、その後の何らかのがんになるリスクを比較しています。

結果によれば、糖尿病群では対照群と比較すると、がん全体では男性で27%、女性でも21%リスクが高くなったそうです。また男性について詳しくみると、糖尿病群では対照群と比べ肝臓がんが2.24倍、腎臓がんで1.92倍、膵臓がんで1.85倍リスクが高まり、また女性では、肝臓がんで1.94倍、胃がんで1.61倍リスクが高まったそうです。

研究者らは今回の結果について、「がん患者が糖尿病になりやすくなる」と「糖尿病患者ががんになりやすくなる」という2つの方向の因果関係の可能性が想定されると指摘し、喫煙、肥満、運動不足など、まず多くの生活習慣病に共通のリスク要因を改善していくことが、生活習慣病全体の予防につながるとしています。

なお本研究は、下記医学雑誌に掲載されています。

Diabetes Mellitus and the Risk of Cancer:
 Results From a Large-Scale Population-Based Cohort Study in Japan
 (Arch Intern Med. 2006;166:1871-1877)
 http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/166/17/1871  

参考:朝日新聞9月25日
     http://www.asahi.com/health/news/TKY200609250440.html

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2006.09.26 H2ブロッカーが心不全に役立つかもしれない(国内研究)

国立循環器病センターの研究グループは、このほどH2ブロッカーが慢性心不全由来の諸症状や心室リモデリングを改善し、慢性心不全の進行を遅らせる可能性があるとする研究結果をまとめ、Journal of The American College of Cardiologyの最新号に論文が掲載されました。

Impact of Blockade of Histamine H2 Receptors on Chronic Heart Failure Revealed by Retrospective and Prospective Randomized Studies
 (J Am Coll Cardiol 2006 48: 1378-1384)
 http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/48/7/1378  

研究グループではこれまでの研究から、損傷した心臓細胞から放出されるある種の化学物質の働きを抑えることで心不全の進行を遅らせると推測、既存の患者記録を調べたところ、心不全と逆流性食道炎を併発している患者ではファモチジンを服用している人たちに重症例が少ないことがわかった。

そこで今度は、50人の心不全患者(男性32人、女性18人、平均年齢65歳)をファモチジン服用群とテプレノンの服用群に分けて、24週間経過を比較した。その結果、ファモチジン服用群では、心不全の重症度を反映するBNP値が低下し、心不全悪化による入院の頻度が少なくなったという結果が得られたそうです。

今回の研究は対照数が少なく、今後さらなる大規模な研究が必要であり、現時点ではこれを服用することは推奨できないとしながらも、ヒスタミンH2受容体の遮断が、心不全の病態生理の改善に役立つかもしれないとして、心臓病の研究者は大きな関心を寄せています。

参考:Famotidine may help to slow progression of chronic heart failure
     (RxPG News 2006.9.27)
     http://www.rxpgnews.com/research/cardiology/
      congestive-heart-failure/article_5010.shtml
    Pepcid May Help Treat Heart Failure(WebMD 2006.9.25)
     http://www.webmd.com/content/article/127/116831.htm
    Heartburn Drugs Might Slow Heart Failure(CBC NEWS 2006.9.25)
     http://www.cbc.ca/cp/HealthScout/060925/6092504U.html

2006年9月26日 22:30掲載 9月27日10:30情報追加

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2006.09.26 医薬品の安全性を確保するための提言(米国レポート)

米国科学アカデミーの医学研究所(the National Academy's Institute of Medicine)は、FDAの機能の強化や、患者直接広告の2年間の制限などを盛り込んだ、医薬品の安全性を確保するための提言をまとめ、22日発表しています。

The Future of Drug Safety : Promoting and Protecting the Health of the Public
   (Institute of Medicine 2006.9.22)
  http://www.iom.edu/CMS/3793/26341/37329.aspx
  http://www.nap.edu/catalog/11750.html

このレポートは膨大なため、全文は読んでいませんが、25に及ぶ勧告が示されていて、報告概要や各種報道をまとめると、医薬品の安全の確保のためには、以下のような取組みが必要としています。(内容は上記ページでご確認下さい)

  • 市販後医薬品のリスクとベネフィットについての情報を収集・公表することなど、FDAの役割をもっと明確化する
  • 新薬は発売後2年間は、英国で導入されている黒三角記号などの警告を表すシンボルマークを、包装のラベルや販促資料につけて、まだ安全性は完全には保障されていないことを患者及び医療提供者に注意喚起する
  • 原則として、このシンボルマークが付けられている2年間は消費者直接広告は制限する
  • 一般大衆の医薬品の有効性と安全性についての情報へのアクセスを改善する
  • 製薬会社は、少なくともフェーズ2からフェーズ4の全ての臨床試験のデータを明らかにし、Webサイトを通じて公表する
  • FDAは新薬発売後、少なくとも5年ごとに再評価を行い、安全性についての再検討を行う
  • 消費者や患者団体を加えた、新しいFDA諮問委員会(advisory committee)を設置し、一般大衆に有用な薬の安全性・有効性などについて、正確でかつ科学的な情報を明らかにする
  • これらの取組みを行うためには、FDAの長期的な資金不足やスタッフ不足を解消が必要

関連情報:TOPICS 2006.06.15 米国医師会が、消費者直接広告の一定期間の禁止を求める

参考:Sweeping Changes Sought at FDA(ABC NEWS 2006.9.22)
     http://abcnews.go.com/Health/story?id=2480433&page=1
    Report Blasts FDA's Drug Safety Oversight
       (Consumer affair 2006.9.23)
     http://www.consumeraffairs.com/news04/2006/09/iom_fda.html
    Panel Says US Drug Safety System Needs Major Reforms
       (Food consumer 2006.9.23)
     http://www.foodconsumer.org/777/8/
      Panel_Says_US_Drug_Safety_System_Needs_Major_Reforms.shtml  

2006年9月26日 0:40掲載

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2006.09.25 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.19

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、9月21日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.19を公表しました。

英国におけるホメオパシー薬の規制、イブプロフェンと低容量アスピリンとの併用、コルヒチン過量投与による毒性、プロトンポンプ阻害剤による間質性腎炎などの情報が掲載されています。

全文はこちら(PDF)です。

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2006.09.20 ADHDの増加は、胎児期のたばこ曝露と鉛が原因か?(米国報告)

近年子どもの健康問題として、ADHD(Attention-deficit hyperactivity disorder:注意欠陥/多動性障害)を始めとする軽度発達障害の問題が取り上げられることが少なくありません。

ADHDの発症要因としては、脳の機能や神経伝達物質の異常、遺伝などの先天的素因と、社会環境や養育状態などの環境要因の相互作用によることが原因ではないかと言われていますが、具体的にどういったことがリスク要因になるかははっきりとはわかっていませんでした。

このほど、米国の研究グループが、子どものADHDと妊娠時の母親の喫煙状況や血中の鉛濃度との関連性について調査し、胎児期のたばこの曝露と鉛による曝露が、ADHDの原因の1/3に関連づけられるとするレポートをまとめ、19日、the journal Environmental Health Perspectivesのオンライン版に掲載されました。

Exposures to Environmental Toxicants and Attention Deficit Hyperactivity Disorder in US Children
  (the journal Environmental Health Perspectives doi:10.1289/ehp.9478)
  http://www.ehponline.org/docs/2006/9478/abstract.html
  http://www.ehponline.org/members/2006/9478/9478.html

この調査は、1999年から2002年の保健調査(the National Health and Nutrition Examination Survey)の4歳から15歳の4,704人のデータを詳しく分析したもので、次のようなことが明らかになっています。

  • 344人(8.2%)の親からADHDがあると申告され、135人(4.2%)がADHDのために薬物治療をうけている
    (診断が確定し、治療受けているのは4.2%であって、実数はそれ以上か)
  • 胎児期にたばこに曝露された子どもは、されなかった子どもに比べてADHDのリスクが2.5倍に達した
  • これを男児・女児で比較すると、統計的に有意差はないものの、胎児期にたばこに曝露された男児でのリスクは2.1倍だったのに対し、女児では4.6倍に達した
  • 出生後のたばこへの曝露は、ADHD発症との関連性は認められない
  • 血中鉛濃度が2μg/dlを超える子どもは、0.8μg/dl未満の子どもに比べてADHDのリスクが4.1倍に達した

この研究では、母親のアルコール依存症などの精神的な問題の有無が考慮されていない点や、喫煙の有無を母親の記憶に頼るなど、今回の結果だけでは、関連性があるとは断定できませんが、妊娠中の禁煙が生まれてくる子どもの健康にとって重要であることは改めて感じさせられます。

また、血中の鉛濃度2μg/dlという数値も、子供の鉛暴露と有害事象発生の知見から、CDC(米国疾病管理センター)が1991年に削減目標として定めた10μg/dl未満という数字を大幅に下回ることから、今後議論を呼びそうです。鉛含有アクセサリー問題でも触れましたが、私たちの身の回りには鉛が含まれたものが少なくありません。大人たちは、乳幼児が鉛製品を口にすることがないよう心がけることは必要でしょう。

関連情報:TOPICS 2006.06.26 鉛含有金属製アクセサリー類等の安全対策に関する検討会
      第83回アポネットR研究会報告(子どもの軽度発達障害)

参考:ADHD Linked To Lead Exposure And Smoking During Pregnancy
     (Medical News Today 2006.9.19)
     http://www.medicalnewstoday.com/healthnews.php?newsid=52298
    Exposure to Smoke and Lead Tied to ADHD
     (Foodconsumer.org 2006.9.19)
 http://www.foodconsumer.org/777/8/Exposure_to_Smoke_and_Lead_Tied_to_ADHD_.shtml
    1/3 ADHD Cases Linked to Lead, Smoking (Webmed 2006.9.20)
     http://www.webmd.com/content/article/127/116771.htm

2006年9月20日 23:00掲載

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2006.09.16 業界団体が考える大衆薬の販売方法

薬事法の改正により、今後リスクに応じた陳列・販売方法や情報提供についての具体的な検討が求められていますが、一般用医薬品販売に関わる全日本薬種商協会、日本チェーンドラッグストア協会など業界5団体では、有識者を加えた「薬業界運営基準及び資質向上検討委員会」を4月26日に発足させ、法案成立後に対応すべき業界統一の基準や各業界の運営基準の方向性について10回にわたり検討を重ねています。

 同検討委員会は、このほど検討結果をまとめ、13日報告書を発表しています。(下記の薬事日報の記事に報告書の概要が掲載されています)  

改正薬事法の運用で提言‐薬業5団体が報告書
 (薬事日報 HEADLINE NEWS 2006.9.16)
   http://www.yakuji.co.jp/entry1194.html

業界団体による、自分たちの権益を守るための主張とも読み取れなくはありませんが、具体的な陳列方法や情報提供スペースの設置の仕方などにも言及しており、今後きちんと大衆薬を販売していこうという姿勢が感じられます。

ただ、いくつか気になる点もあります。「店舗販売業の管理者は薬剤師でなければならない正当な理由は見当たらない」とする部分です。即ち、第1類の販売をする時間帯だけ、薬剤師をおけばよいという業界団体の都合に合わせた解釈です。これでは「非薬剤師の管理者の下で薬剤師が仕事をする」ということになってしまいます。

日薬も9月15日付けで「新・薬剤師行動計画〜医療制度・医薬品販売制度改正に当たっての新たな取り組み〜」を発表し、「薬剤師のための一般用医薬品販売の手引き(仮称)」の作成や、陳列のあり方などについてふれてはいますが、もう少し細かい規定もしてもよいのではないかと考えます。

今後、具体的な陳列方法や情報提供のあり方などが議論され、薬事法の省令が決められることになりますが、規制緩和の流れを考えると、こういった業界団体の主張も取り入れられる可能性もあり、注視すべきでしょう。

参考:「薬業界運営基準及び資質向上検討委員会」が発足
    (薬事日報 HEADLINE NEWS 2006.4.28)
     http://www.yakuji.co.jp/entry23.html

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2006.09.16 若者の保健問題と緊急避妊薬(英国)

英国では2002年以降、10代の若者(ティーンエージャー)の妊娠を減らすために、緊急避妊薬(MAP:Morning After Pill)を学校や薬局などでも容易に入手できる政策をとっていますが、BMJの最新号で「10代の若者の中絶数はむしろ増加している。また性感染症も増加している。」として、MAPへのアクセスを容易にしたブレア政権の政策に疑問を投げかける論説が掲載され、英国では波紋を呼んでいます。(以下は各紙に掲載されたものを紹介します)

Emergency contraception(BMJ 2006;333:560-561)
  http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/extract/333/7568/560

この論説を書いた Anna Glasier教授によれば、「政府は10代の妊娠を2010年にまで半減するとしているが、現実は2004年までの10年間に12%と増加している。また中絶数は18万5000件に達し、この20年間で50%増加している。これは西ヨーロッパ諸国では最も高い。」として、MAPは若者の妊娠対策にはならないと指摘し、さらに、「MAPが薬局で購入できる為に、医療を受ける機会を失い、若者の性感染症を増加させている。」として、MAPを容易に入手できる現状を問題視しています。

この記事は、英国各紙で大きく取り上げられ、読者が意見を書き込めるサイト(Daily mail)などでは、多数の書き込みがあり関心を呼んでいますが、意外にも政府を批判する意見はそれほど多くなく、むしろ今回の問題は本人自身の問題であり、親や教育、社会の影響も大きいなどの意見が数多く出されていました。

英国薬剤師会では今回の報道に対し、BMJに2005年7月に掲載された論文を引用し、薬局を通じたMAP(EHC:Emergency hormonal contraception)の供給が、中絶数を減少させているとする反論のステートメントを発表しています。

PUT EHC SUPPLY IN CONTEXT SAY PHARMACIST
 (英国薬剤師会 For immediate release 2006.9.15)
  http://www.rpsgb.org/pdfs/pr060915.pdf

 The Imperial College London research: Impact on contraceptive practice of making emergency hormonal contraception available over the counter in Great Britain
 (BMJ 2005;331:271)
  http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/331/7511/271
  http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/331/7511/271

Anna Glasier教授の指摘の通り、MAPは妊娠を回避するための補助的な手段にすぎません。MAPを販売する際には、性感染症予防のために、コンドームを使用するようアドバイスするなど、薬剤師による性感染症予防のための啓蒙が必要といえましょう。英国薬剤師会もこのことについては取り組んでいます。

関連情報:TOPICS 2005.11.03 OTCとして供給される緊急避妊薬(英国)

参考:Government's shocking failure to cut teen pregnancies
    (Daily Mail 2006.9.15)
 http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/news/news.html?in_article_id=405180&in_page_id=1770
    Doubts voiced over emergency pill(BBC NEWS 2006.9.15)
     http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/5345766.stm

2006年9月16日 15:40掲載

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2006.09.14 日医、ジェネリック医薬品に関する緊急調査の結果を発表

日本医師会(http://www.med.or.jp/)は12日の定例会見で、5月よりインターネットを通じて行った「ジェネリック医薬品に関する緊急調査」の結果を発表した。

ジェネリック医薬品に関わる緊急調査最終報告について
  (日本医師会定例記者会見2006.9.12資料)
  http://www.med.or.jp/teireikaiken/20060912_1.pdf

その結果、問い合わせ先や副作用の面での問題を指摘する医師は少なかったものの、安定供給、効果、品質、情報提供の面で、半数以上の医師が問題ありと指摘するなど、ジェネリック医薬品の使用に積極的あるいは好意的な意見したのは16.9%にとどまった。

日医では、これらの結果まとめを来月にも厚生労働省に報告し、改善を申し入れる考えを表明するという。

関連情報:TOPICS 2006.05.26 日医、後発医薬品の実態調査を実施

参考:【日医】後発薬の緊急調査結果まとめる‐情報提供に強い不満
      (薬事日報 HEADLINE NEWS 2006.9.14)
        http://www.yakuji.co.jp/entry1183.html

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2006.09.14 NSAIDSと心疾患リスク

NSAIDSの一つである、シクロオキシナーゼ2(Cox-2)阻害剤に関する新たな研究結果が、JAMAのEarly Relesaseで発表され、外国では大きな話題になっています。

Adverse Effects of Cyclooxygenase 2 Inhibitors on Renal and Arrhythmia Events
-Meta-analysis of Randomized Trials(Early Release Article, posted September 12, 2006)
 http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/296.13.jrv60015v1
 http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/296.13.jrv60015v1

 Cardiovascular Risk and Inhibition of Cyclooxygenase
-A Systematic Review of the Observational Studies of Selective and Nonselective Inhibitors of Cyclooxygenase 2(Early Release Article, posted September 12, 2006)
 http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/296.13.jrv60011v1
 http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/296.13.jrv60011v1

これらの論文を整理すると、次のような点がわかったそうです。(内容はご確認下さい)

  • Cox-2選択的阻害剤の中には、不整脈や腎臓に対する副作用を招くものがある(セレコキシブ)
  • Cox-2選択的阻害剤による心疾患リスクは、容量が増えるに従ってリスクも増すものがある(セレコキシブでは200r/日を超えるとリスクが増加)
  • ジクロフェナクでは、問題なっているCox-2選択的阻害剤と同程度の心疾患リスク(40%リスクが高い)があり、しかも一般的に使われる容量で起こりうる
  • ジクロフェナク、メロキシカム(この2剤もCox-2選択的阻害剤として含む)や、非選択性のインドメタシン、おそらくイブプロフェンも、心疾患リスクを高める可能性がある
  • NSAIDSのうち、ナプロキセン、イブプロフェン(上記とは別の論文の見解)、ピロキシカムは比較的安全である

ジクロフェナクは、海外ではOTCとして販売されている国もあり、今回のジクロフェナクに関する結果はかなりインパクトがあるようです。豪州では、薬剤師会がパニックにならないように呼びかけています。

Don't panic about diclofenac
(Pharmaceutical Society of Australia Media Release 2006.9.13)
  http://www.psa.org.au/ecms.cfm?id=614

参考:Editorial:COX-2 Inhibitors, Other NSAIDs, and Cardiovascular Risk
-The Seduction of Common Sense (Early Release Article, posted September 12, 2006)
  http://jama.ama-assn.org/cgi/content/extract/296.13.jed60058v1
  http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/296.13.jed60058v1
    Concerns confirmed: Renal, cardiovascular effects of COX-2 inhibitors
    (Pharmacist.com 2006.9.13)
     http://www.pharmacist.com/articles/h_ts_1257.cfm      

2006年9月14日 18:00掲載 16日 15:40情報追加

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2006.09.13 緑茶が循環器疾患のリスクを低くするかもしれない(国内研究)

すでに先行して日本でも伝えられたかもしれないが、東北大学のグル−プは、このほど緑茶を1日5杯以上飲んでいるいる人は、1杯未満しか飲まない人に比べ、心臓病による死亡率が26%減少したとする研究結果をまとめ、JAMAの最新号に掲載された。

Green Tea Consumption and Mortality Due to Cardiovascular Disease, Cancer, and All Causes in Japan (JAMA.2006;296:1255-1265)
  http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/296/10/1255

この研究は、宮城県内の40〜79歳までの男女40,530人を対象に行われたコホート研究で、7年間追跡調査をしたところ、892人が心疾患で死亡、1134人が癌で死亡した。これを詳しく分析したところ、緑茶を1日5杯以上飲む人は1日1杯未満しか飲まない人に比べ、心臓病による死亡率が26%減少するとする結果が得られた。これを女性に限ってみると総死亡率は31%減少したという。(女性は男性に比べ喫煙者が少ない為との分析) 

さらに、脳こうそくについて調べると、お茶を多く飲む群では男性で42%、女性で62%も死亡率が低下したという。一方、癌については差はみられなかったという。

また、11年間の追跡調査では、緑茶を1日5杯以上飲む人は、1日1杯未満しか飲まない人に比べ、総死亡率が16%減少(男性で12% 女性で23%)したという。

今回の研究発表は、欧米では大きく伝えられる一方、研究者の話として、「緑茶だけではなく日本人の健康的な食生活や野菜や果物の摂取なども関連しているのではないか」「女性でリスクが下がるのは、喫煙ではなくエストロゲンが関係しているのではないか」など、さまざまな意見が寄せられており、さらなる研究を求める雰囲気がある。

参考:読売新聞9月13日
      http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060913ik07.htm
    朝日新聞9月13日
      http://www.asahi.com/health/news/TKY200609130349.html
    Green tea cuts fatal illness risk(BBC NEWS 2006.9.12)
      http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/5334836.stm
    Green Tea for Long Life?(WebMD 2006.9.13)
      http://www.webmd.com/content/article/127/116678.htm
Study says green tea seems to lower stroke risk, but no benefit against cancer
      (Mainichi Daily News 2006.9.13 AP通信配信)
  http://mdn.mainichi-msn.co.jp/features/news/20060913p2g00m0fe004000c.html

2006年9月13日 14:05掲載 14:40更新

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2006.09.12 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.18

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、9月7日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.18を公表しました。

NSAIDと不妊症との関連、英国 Yellow Card システムの現状、クロピトグレル(プラビックス)などの情報が掲載されています。

全文はこちら(PDF)です。

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2006.09.11 厚労省、新高齢者医療制度に包括払い導入を検討

医療制度改革で、2008年4月からは75歳以上を対象とした新高齢者医療制度(後期高齢者医療制度)の導入が予定されているが、共同通信は、厚労省が9日、この制度での診療報酬について、病気の種類や治療方法ごとに「包括払い」制度を導入する方針を固めたと伝えている。早ければ来月にも社会保障審議会に特別部会を設け、専門家らによる議論を始めたい考えだという。

「包括払い」の導入については、これまでも度々議論されているが、高齢化の進行で医療費の増加は避けられないことから、医師会の反対があったとしても、処方せんの書式変更と同様に、導入される予感もある。

開局の現場では、今年4月の処方せんの新書式導入に伴って可能となった後発医薬品への変更で、わずかではあるが医療費の削減に貢献していると考えるが、もし包括化が導入されると、後発医薬品の使用促進の一方で、院外処方せんの発行が抑制される事態も考える必要があるかもしれない。

関連情報:平成18年度医療制度改革関連資料(厚労省HP)
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/index.html

参考・引用:共同通信9月11日
   毎日新聞10月5日
 http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/archive/news/2006/10/20061005ddm001100033000c.html

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2006.09.09 FDA、イブプロフェンとアスピリンの同時使用に注意喚起

米国 FDAは8日、イブプロフェンがアスピリンの抗血小板作用を減弱する可能性があるとして、イブプロフェン400rを服用する場合には、アスピリン(腸溶性ではない速効型のもの)服用後少なくとも30分以上たってから、またアスピリン服用8時間前までに服用することが望ましいとする注意を発表しました。

New Information about Taking Aspirin and Ibuprofen Together
   (FDA CDER 2006.9.8)
  http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/aspirin/default.htm

日本語訳の概要が、医薬品安全性情報 Vol.4 No.19 に掲載されています。
  http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly4/19060921.pdf

Science Paperによれば、今回の抗血小板作用の減弱は、アスピリンが非可逆的に阻害する血小板シクロオキシゲナーゼ(COX)を、可逆的COX阻害作用を有するイブプロフェンが、競合的阻害するためとみられ、FDAではイブプロフェンによってアスピリンの抗血小板作用が90%減弱されるとするなどの論文を検討し、今回の発表に至ったようです。

Concomitant Use of Ibuprofen and Aspirin:
  Potential for Attenuation of the Anti-Platelet Effect of Aspirin
  (Food and Drug Administration Science Paper 2006.9.8)
  http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/ibuprofen/science_paper.htm  

なおFDAでは、アセトアミノフェンやケトプロフェンでは現時点では影響はないとしながらも、ナプロキセン(米国ではOTC)でも同様な報告があるとしてます。また、低用量のイブプロフェンを使用した場合や、腸溶性のアスピリンを使用している場合についての影響は、現時点ではデータがないとしてコメントを避けています。

イブプロフェンとアスピリンの相互作用の可能性については、日本では既に併用注意の欄に記載済みであり皆さんもご存知とは思いますが、OTCとしてイブプロフェンを含有する総合感冒剤や鎮痛解熱剤はわが国でも広く販売されています。今後具体的な影響が明らかになれば、販売時にアスピリンの服用の有無の確認が必要になるかもしれません。

今回のFDAとの発表とは直接関係はありませんが、カナダでは今年専門委員会から心臓疾患の危険性を高める可能性があるとして、イブプロフェンの販売をオーバー・ザ・カウンターとして販売すべきとの意見も出されています。今後、イブプロフェンの販売方法について議論が再燃するかもしれません。

Ibuprofen should go behind-the-counter says expert panel
  (cmj news 2006.7.6)
  http://www.cmaj.ca/news/06_07_06.shtml

2006年9月9日 14:25掲載、10日 10:15 情報追加 25日 16:00情報追加

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2006.09.08 「高濃度酸素水」の効果にエビデンスなし

最近、「スポーツ時の酸素補給や酸素不足から来る疲れなどを解消する」「頭がすっきりする」「ダイエットによい」などとして、溶存酸素濃度を高めた「酸素水」「高濃度酸素水」が話題になっています。

このブームに、国立健康・栄養研究所にはサイトのユーザーである薬剤師や栄養士から「ものすごく売れているが、本当に効果があるのか」という疑問が寄せられ、同研究所では、これらの効果を検証した論文を調べたそうです。4日ウェブサイトに、その結果が公表されています。

「酸素水」の効果に関する情報を作成しました(話題の食品成分の科学情報)
   (「健康食品」の安全性・有効性情報HP 2006年9月4日掲載)
     http://hfnet.nih.go.jp/notes/detail.php?no=153

論文を検索した結果、運動能力に関して実験した3つの論文、体内組成に対する影響を調べた2つの論文、また動物実験による論文が1つ見つかりましたが、いずれも酸素水の効果は確認されなかったそうです。

朝日新聞によれば、酸素入り水のペットボトル製品の出荷量は昨年の3倍という推定があると伝えていますが、今回のブームは誰がどのような根拠で仕掛けられたのでしょうか?

参考:朝日新聞9月8日
     http://www.asahi.com/science/news/TKY200609080077.html

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2006.09.05 「患者向医薬品ガイド」の情報が追加

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(http://www.info.pmda.go.jp/)ではHPを通じて、1月より「患者向医薬品ガイド」の提供を開始していますが、新たに100番台〜400番台の薬剤についての情報を追加しています。

keywordsのページに、作成予定のリストを掲載しました→こちら

これからも随時追加されるようですが、6/22のTOPICSで紹介した以降掲載されたのは、下記の品目です。(現在確認中です)

  • 自律神経剤(臭化ジスチグミン)
  • 抗パーキンソン剤(カベルゴリン、塩酸プラミペキソール水和物、メシル酸ペルゴリド)
  • 精神神経用剤(塩酸ミルナシプラン、マレイン酸フルボキサミン)
  • 利尿剤(ベンチルヒドロクロロチアジド)
  • 不整脈用剤(塩酸ソタロール)
  • その他の循環器器官用薬(ポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤)
  • 気管支拡張剤(ネオフィリン)
  • 副腎ホルモン剤(プレドニゾロン、ベタメタゾン・d-マレイン酸クロルフェニラミン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、リン酸ベタメタゾンナトリウム注腸剤、酢酸フルドロコルチゾン)
  • 卵胞ホルモン及び黄体ホルモン剤(結合型エストロゲン、エストリオール、エストラジオール貼付剤)
  • 混合ホルモン剤(ノルゲストレル・エチニルエストラジオール、ノルエチステロン・メストラノール配合、エチニルエストラジオール・メチルエストレロン=新EP錠)
  • 経口避妊剤
  • 泌尿生殖器・肛門用剤(シロドシン)
  • 肝臓疾患用剤(プロパゲルマニウム)
  • 習慣性中毒用剤(ジスルフィラム)
  • 代謝拮抗剤(デガフール、ギメスタット、オタスタットカリウム)
  • 代謝性医薬品(ミコフェノール酸モフェチル、アレンドロン酸ナトリウム水和物、タクロリムス水和物)
  • 腫瘍用薬(クエン酸トレミフェン、トレチノイン)

患者向医薬品ガイド一覧(独立行政法人医薬品医療機器総合機構HP内)
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/whatsnew/guideCompanylist/companyframe.html

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2006.09.05 ピロリ菌感染で胃がんのリスク5倍に(厚労省研究班)

厚労省の研究班は4日、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している人はそうでない人に比べ胃がんになるリスクが5.1倍高く、委縮性胃炎や毒性の強い菌の感染が重なるとリスクが10倍以上に高まるとする調査結果を発表しました。

ヘリコバクターピロリ感染と関連要因による胃がんリスク
 (JPHC リサーチニュース 2006年9月4日)
  http://epi.ncc.go.jp/jphc/rnews/news026.html

この研究は全国10保健所管内に在住で、保存血液のある40‐69歳の男女約4万人を対象に、血液中のヘリコバクターピロリ抗体(HpAb)、CagA抗体(CagA)、ペプシノーゲン(PG)の値とその後の胃がんリスクの間にどのような関連があるかを約15年追跡調査(コホート内症例対照研究)したものです。

では、「それなら胃がんの予防にピロリ菌の除菌をすすめよう」と考えてしまいますが、研究者らは「ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がん発生の大きなリスク要因ではあるが、感染者の中で実際胃がんを発症する人は一部に過ぎない。また、除菌で胃がん予防が可能という確実な証拠ははっきりしていない」として、「除菌による胃がん予防効果の確実な結果が出るまでは、高塩分や喫煙、野菜・果物不足など胃がんリスクを高くするような生活習慣をまず改善し、胃粘膜萎縮が認められる高リスクの人は定期的な胃がん検診を受けること」を勧告しています。

なお本研究は、下記医学雑誌に掲載されています。

Effect of Helicobacter pylori Infection Combined with CagA and Pepsinogen Status on Gastric Cancer Development among Japanese Men and Women: A Nested Case-Control Study
(Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention Vol. 15, 1341-1347, July 2006)
 http://cebp.aacrjournals.org/cgi/content/abstract/15/7/1341

参考:共同通信9月4日

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2006.09.02 大学設置準備会、医療薬科大学計画を断念

31日、足利市議会の全員協議会が開かれ、市当局は、8月3日に大学設置準備会から「県、市の補助金が白紙となり、独自の資金調達による設立は困難」として、競馬場跡地への大学設置計画を白紙にする意向を文書で伝えてきたことを明らかにした。これにより、今回の日本医療薬科大学計画は完全になくなった。

ただ毎日新聞によれば、医療福祉拠点整備課の話として、「今後の跡地利用方針について、足利赤十字病院の移転をはじめ、新たな医療福祉系の高等教育機関の誘致も視野に入れながら、医療・保健・福祉の複合拠点の形成を目指す」と伝え、依然として大学等の誘致を検討していることをうかがわせている。

下野新聞によれば、市長は「大学設置準備会は自らの都合で大学設置を断念したということであり、大変残念。これまで可能性を信じてきた本市ならびに関係する多くの方々の期待が裏切られた結果になったことは痛恨の極み」とコメントしているそうだが、私たちからみればすでに薬学部が増えすぎているというのは周知の事実。まるで、自分たちがだまされたようにも受け取れるが、寄付金や補助金頼みの計画は当初から疑問視されていた。市は経済効果のみを過剰に期待し、現状の把握に甘さはなかったのだろうか?

薬学部誘致で、街の活性化に夢を抱いている自治体があったら、今回の足利市の教訓を活かして欲しい。

関連情報:TOPICS 2006.07.02 足利市、医療薬科大計画事実上断念

参考:下野新聞9月1日
    読売新聞9月1日
   http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060901wm00.htm
    毎日新聞栃木版9月1日
 http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tochigi/news/20060901ddlk09010424000c.html   

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2006.09.01 第2回小児薬物療法検討会

29日、「第2回小児薬物療法検討会議」が開催され、「小児薬物療法検討会議」の検討結果報告書の様式の具体的な内容などが検討された。

今後は新たに設置されることが決まったワーキンググループ(WG)が、「質・量的に一定の基準を満たしているかどうか」「問題点を整理できているかどうか」などの点から各調査品目ごとにまとめられた報告書が妥当かどうか判断するという。

検討会で示された報告書書式(案)によれば、報告書には下記の項目が盛り込まれる。

  1. 当該薬物療法の小児科領域における医療上の必要性(総論)
  2. 我が国で必要と考えられる具体的処方等に関する概要
  3. 文献情報等
    (米4カ国での承認状況、無作為化比較試験・薬物動態試験等の公表論文としての報告状況、Peer−reView journalの総説・メタ・アナリシス等の報告状況、教科書等への標準的治療としての記載状況、会又は組織t機構の診療ガイドラインへの記載状況)
  4. 国内での使用実態
  5. 有効性の総合評価
  6. 安全性の総合評価
  7. 用法・用量の妥当性
  8. 追加国内使用実態調査の必要性
  9. その他

今回の検討会では、まずアセトアミノフェンの「小児科領域における解熱」について、この書式に沿った中間サマリーが示され、アセトアミノフェンの効能・効果に、学会からの要望である「小児科領域の解熱」に加え、「小児科領域におけ鎮痛」を追加することが適当とする中間報告が行われた。

第2回小児薬物療法検討会議資料(平成18年8月29日開催)
  厚労省資料(9月5日掲載) WAM NET 資料(8月31日掲載)
  速記録(11月7日掲載)

関連情報:TOPICS 2006.04.02 小児薬物療法検討会議

参考:日刊薬業ヘッドラインニュース8月31日

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