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最近の話題2006.5

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2006.05.30 新しい健診の検査項目と判定基準案(7/1更新)

2006.05.29 新しく始まった残留農薬の規制

2006.05.29 たばこのパッケージに視覚に訴える警告は必要

2006.05.29 魚介類の摂食と水銀に関する妊婦向けパンフ

2006.05.26 医薬品・医療用具等安全性情報224号

2006.05.26 日医、後発医薬品の実態調査を実施

2006.05.25 ニコチンパッチ、保険での使用は限定(6/2更新)

2006.05.23 代替医療に公的保険給付を行うことについての是非(英国)

2006.05.23 白インゲン豆ダイエットによる健康被害

2006.05.19 スマトリプタンがOTCにスイッチ(英国)(5/26更新)

2006.05.18 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.10

2006.05.13 パキシル、成人でも自殺リスク増加

2006.05.13 医療専門職のための副作用報告ガイド(英国)(5/15更新)

2006.05.13 FDAが飲む禁煙治療薬を承認

2006.05.13 ニコチンパッチ月内にも薬価収載へ

2006.05.10 保険による禁煙指導にはニコチンパッチは使えない

2006.05.10 グレープフルーツジュースによる相互作用の原因物質が特定か?

2006.05.04 がんの補完代替医療ガイドブック

2006.05.02 市販直後安全性情報収集事業(10/27リンク追加)

2006.05.02 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.9

4月 ← 5月 → 6月

2006.05.30 新しい健診の検査項目と判定基準案

2008年度からの実施が予定されている、40歳以上75歳未満の人が受ける新しい健診の検査項目と判定基準案が、26日に行われた「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 第2回 健診分科会」で示され、基本的に了承された。今秋以降いくつかの都道府県で準備事業が開始される予定。

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会
   第2回 健診分科会 資料(PDF:1.45MB WAM NET 5月30日掲載)
            議事録(厚労省6月30日掲載)

新しい健診では、糖尿病等の生活習慣病、とりわけ内臓脂肪症候群(メタポリックシンドローム)の有病者・予備群を減少させることに主眼が行われていて、検査項目には従来と同様の身長や体重、血圧などに加え、腹囲や尿酸、LDL-C(T-Cは廃止)の測定が追加、HbA1cが必須項目に改められ、これらは「基本健診」として受診者全員に実施される。また尿タンパクや尿糖、尿潜血などの尿検査(従来は必須項目)や心電図検査、眼底検査などについては、「精密健診」として医師が必要と判断した場合に実施することにした。

また、血糖、脂質、血圧、LDL-C、尿酸の5項目については、生活習慣病の予防を期待できる内臓脂肪症候群の選定及び階層化や、生活習慣病の有病者・予備群を適切に減少させることができたかを的確に評価するために、「情報提供」「保健指導」「受診勧奨」の3段階の基準値を明確化している。

一方、喫煙の有無や食生活・睡眠などについて尋ねる「標準的な質問表」についても、生活習慣病のリスクの評価や保健指導の階層化と健診結果を通知する際の「情報提供」の内容を決定する際の活用を考慮したものに改められた。

資料:第1回標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会資料(2006.2.15開催)
     資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/s0215-4.html
    議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/txt/s0215-1.txt
  
    資料1:検討会についての全体概要、検討スケジュール(PDF:104KB)
    資料4:メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防のための
        健診・保健指導の基本的な考え方について(案)
       http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/s0215-4d.html
    資料5:メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防のための
        標準的な健診・保健指導プログラムの流れ(イメージ)(案)
       http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/s0215-4e.html
  参考資料7:メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは?
       http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/s0215-4k.html

参考:共同通信5月29日

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2006.05.29 新しく始まった残留農薬の規制

今日5月29日より、食品中に残る農薬(残留農薬)の規制を強化する「ポジティブリスト制度」が施行され、農業関係者や食品関係者を中心に大きな話題となっています。日常業務とは直接関係はありませんが、薬学の立場でとりあげてみました。

残留農薬に関する現行までの制度は、「ネガティブリスト制度」と呼ばれ、食品衛生法で農薬250品目、動物用医薬品33品目についてのみ残留基準を定めて、その数値を超えた食品は販売できないというものでした。ですから、残留基準が設定されていない農薬等が食品から検出されても、その食品の販売等を禁止するなどの措置を行うことができませんでした。

今日から実施された新しい制度(ポジティブリスト制度)では、あらかじめ農薬など計799種をリスト化し、国内で残留基準がないものは国際基準などから「暫定基準」を設定、海外にも判断基準がない場合は、0.01ppm(食品1kgあたり農薬等が0.01mg含まれる濃度)を「一律基準」として設定、これらの基準を超えて食品中に残留する場合には、その食品の販売等の禁止を行うというものです。

この基準値は農産物だけではなく、肉、魚、加工品にも適用(但し、加工食品の原材料の残留値が基準に適合していれば、加工食品での農薬等の残留値によらず、その食品は食品規格に適合するものとして取り扱う)、また規制は16万件に及ぶことから、農家だけではなく、加工食品を扱う食品会社や流通業界にも大きな波紋を呼んでいます。

資料:ポジティブリスト制度についてのパンフレット(PDF:197KB 2006.5.16)
 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/dl/060516-1.pdf

 食品に関するリスクコミュニケーション
残留農薬等のポジティブリスト制度の導入に際しての生産から消費までの食品の安全確保の取組みに関する意見交換会(東京都) 開催結果 (2006.4.27開催)
 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/iken/060427-2.html
  配布資料2:食品中に残留する農薬等の基準に係るポジティブリスト制度の導入について(PDF:412KB)

    ポジティブリスト制度について Q&A
 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/060329-1.html

    分野別施策[食品中の残留農薬等]
  (食品中の残留農薬・動物用医薬品・飼料添加物)
   http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/index.html       

参考:東京新聞5月25日
    http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060525/ftu_____kur_____000.shtml

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2006.05.29 たばこのパッケージに視覚に訴える警告は必要

現在日本で販売されているたばこについては、健康を害することを記した警告文が以前より目立つようになりましたが、海外ではさらに上をいく取り組みが行われています

既に、カナダ・ブラジル・タイ・オースタラリア・シンガポールなどでは、法律でたばこのパッケージに絵入り(写真)表示を義務づけていて、カナダ国内の調査によれば、禁煙を実行した30%の人がパッケージの写真を見て実行したと答えるなど、視覚でたばこの害を訴えることは、禁煙実現のための有力な手段として位置づけられつつあります。

EUでは、2004年10月に42種類の絵柄(14種類の警告メッセージとそれぞれに対応する3種の絵柄)を公表し、加盟各国はその中から選んで使う取り決めがされていますが、英国保健省では27日、2007年秋からの実施を目指して、3つの具体案を提示し、国民からの意見を求めることを開始しました。

  Consultation on the Introduction of Picture Warnings on Tobacco Packs
   http://www.dh.gov.uk/assetRoot/04/13/54/96/04135496.pdf[567KB]
      (EUの42種類の絵柄が掲載されています)   

英国保健省の一案によれば、メッセージは14種類すべてをローテーションで使用するものの、絵柄(写真)については、同じ内容で効果が薄れるのを避ける為に、まず4種類(病気に侵された肺・死に瀕した喫煙者・胎児写真など)を採用し、状況をみて他の絵柄に置き換えるとのことです。

日本でも、たばこ税の引き上げなど、徐々にですが喫煙者を減らす政策がとられています。しかし、たばこ税は貴重な財源ということもあり、喫煙者が急激に減るような劇的な政策が行えないのが現状です。英国保健省の提案ではこういった喫煙者減少による税収減と、かかるであろう医療費を具体的に示して、税収減の落ち込みが医療費の減少でカバーできるというデータを示して、理解を求めています。

資料:たばこ規制枠組み条約発効記念の催しの記録集(2004.11.27)[PDF:5.1MB]
     http://www.jcancer.jp/nonsmoking/tabaco.pdf
       (オーストラリア・ブラジル・タイの取組みが紹介されています)

 Impact of the graphic Canadian warning labels on adult smoking behaviour
  (Tobacco Control 2003;12:391-395)
     http://tc.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/12/4/391
     http://tc.bmjjournals.com/cgi/content/full/12/4/391

参考:Graphic images to deter smokers (BBC NEWS 2006.5.26)
     http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/5017616.stm

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2006.05.29 魚介類の摂食と水銀に関する妊婦向けパンフ

厚労省はこのほど、「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」についてのパンフレットを作成し、29日にはPDFファイルを厚労省HPに掲載しています。

「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」
 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/051102-2.html

資料:妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて(2005.11.02)
  http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/051102-1.html
    妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて (Q&A)
  http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/051102-1.html

関連情報:TOPICS
    2005.11.03 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項がまとまる

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2006.05.26 医薬品・医療用具等安全性情報224号

厚労省は5月25日、医薬品・医療用具等安全性情報224号を公表しました。アスピリン、臭化チキジウム(チアトン)などの情報が掲載されています。詳しくはこちらです。

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2006.05.26 日医、後発医薬品の実態調査を実施

日医は23日、後発医薬品の使用実態について、緊急の調査を行うと発表した。

これは、会員から後発医薬品の安全性や有効性などを不安視するなどのさまざまな意見が寄せられているためで、品質や効果、副作用、安定供給などの項目について、HPに調査用ページを開設し行う。

日医では6月中にも集計して公表し、問題のある具体的な品目も把握したいとしている。

参考:日刊薬業ヘッドラインニュース5月25日
    薬事日報 HEADLINE NEWS 5月25日
      http://www.yakuji.co.jp/entry479.html

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2006.05.25 ニコチンパッチ、保険での使用は限定

24日、厚労省の中央社会保険医療協議会が開催され、禁煙治療薬の「ニコチネルTTS」について、保険適用することを決めた。医師の禁煙診察・指導に伴って処方される場合に限り、6月1日から適用される。

25日、メーカーにも確認したところ、保険が適用されるのはニコチン依存症管理料を算定している医療機関が、禁煙指導の一環として処方される場合に限るということで、その場合の処方せんには備考欄に「ニコチン依存症管理料算定に伴う処方」といった文言が入るそうです。ですから、それ以外の場合で処方される場合には従来通り保険は適用されないということになります。

私も知らなかったのですが、医療機関がニコチン依存症管理料を算定して禁煙指導を行うには、関係学会が決めた手順を守ることや、厚労省が決めた下記のような厳しい施設基準をクリアすることが必要だそうです。ですから、患者さんが希望しても保険で禁煙外来をしている医療機関を探すことは意外と難しいかもしれません。

  • 禁煙治療を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること
  • 禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること
  • 禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること
  • 禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること
  • 保険医療機関の敷地内が禁煙(院内に喫煙場所がある場合はもちろんのこと、屋外に喫煙場所がある場合も施設基準を満たしません)であること。なお、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であること。
  • ニコチン依存症管理料を算定した患者のうち、喫煙を止めたものの割合等を、社会保険事務局長に報告していること。

なお協議会では、委員から「喫煙は個人の好みの問題だ。その治療に保険を使うのはおかしい」「禁煙前まで払っていたたばこ代かそれ以下の金額のものを保険でみる必要があるのか。違和感がある」などの異論が出され、2年後の診療報酬改定までに効果を検証する条件で認めることになったそうです。

資料:ニコチン依存症管理料情報(日本禁煙学会HP http://www.nosmoke55.jp/ 内)
      http://www.nosmoke55.jp/nicotine/index.html
    ニコチンパッチの保険適用を求める提言(日本禁煙学会2006.5.1)
      http://www.nosmoke55.jp/action/0605patch.html

    禁煙治療のための標準手順書(日本循環器学会HP内)
    (2006.3 日本循環器学会 日本肺癌学会 日本癌学会)
      http://www.j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/anti_smoke_std.pdf
      (資料としてニコチン製剤の使い方が掲載されています)  

関連情報:TOPICS 2006.05.10 保険による禁煙指導にはニコチンパッチは使えない

参考:朝日新聞5月23日
      http://www.asahi.com/health/news/TKY200605240387.html
    読売新聞5月23日
      http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060524i312.htm

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2006.05.23 代替医療に公的保険給付を行うことについての是非(英国)

19日、英国の著名な医師らが連名で、「国(NHS)は、エビデンスのある薬剤に対してだけ給付を行うべきであり、代替医療については給付は行うべきではない」とする声明を発表し、大きな話題となっています。

Full letter: doctors' campaign against alternative therapies
   (Times on line 2006.5.23号に掲載された声明文)
   http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-2191985,00.html

英国では、現在乳がん治療薬ハーセプチンの保険による給付の是非を巡って大きな論争が起こっていて、今回の声明も、英チャールズ皇太子が国際会議で代替医療を推進するスピーチを行うことへの反発ではないかとBBCは伝えています。

Doctors attack 'bogus' therapies(BBC 2006.5.23)
   http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/5007118.stm

BBCの視聴者欄には、代替医療によって健康が回復したので有用とする意見や、プラセボ効果の場合もありそういったものにお金を支出すべきではないとする意見など、さまざまな意見が寄せられていて、この問題への関心の高さが伺われます。

Should NHS fund alternative medicine? (下記アドレス変更の可能性あり)
http://newsforums.bbc.co.uk/nol/thread.jspa?sortBy=
1&threadID=1891&edition=2&ttl=20060523140127

日本でも漢方薬やはり灸治療に対しては保険が適応されていますが、医療費の抑制が叫ばれている今日、「国は医療保険の支出に関して、費用が大きくてもエビデンスが確立された画期的新薬を優先するべきか、エビデンスがなくても費用が小さくてすむ患者に支持された治療法に対し支出すべきか」という論争が日本でも英国と同様に巻き起こるのではないという気がしてなりません。

参考:NHS told to abandon alternative medicine (TIMES ON LINE 2006.5.23)
     http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-2192360,00.html

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2006.05.23 白インゲン豆ダイエットによる健康被害

今月6日にTBS系列で放送されたテレビ番組「ぴーかんバディ!」で紹介された白インゲン豆を用いたダイエット法については、放送直後から嘔吐、下痢等を起こしたとする苦情が多く寄せられ、新聞紙上でも大きく取り上げられています。

TBS発表では、9日夕の段階では吐き気や下痢などの症状が出たとの苦情などが延べ650件寄せられていましたが、厚労省のその後の調査で、被害者は25道府県の158人に上り、このうち30人が入院したことが22日明らかになりました。

厚労省はTBSに対し、文書で再発防止を求めるとともに、関連情報をHPに掲載しています。

白インゲン豆の摂取による健康被害事例について(厚労省2006年5月22日)
   http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0522-4.html 

今回のダイエット法は、白インゲン豆中に含まれるはファセオラミンが、炭水化物と一緒に食べるとダイエット効果があるとして、白インゲン豆を2〜3分煎り、粉末状にしてご飯にまぶして食べるとよいとして紹介されたものですが、厚労省では加熱不足によって今回の健康被害を起こしたとしています。

参考:読売新聞5月9日

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2006.05.19 スマトリプタンがOTCにスイッチ(英国)

MHRA(英国医薬品医療用製品規制庁)は19日、偏頭痛治療薬のスマトリプタン(イミグラン)について、処方せんなしでの入手を可能とするとの発表を行いました。

First Over The Counter (OTC) migraine pill made available
 (MHRA Press release 2006.5.19)
 http://www.mhra.gov.uk/home/idcplg?IdcService=SS_GET_PAGE&useSecondary
=true&ssDocName=CON2023768&ssTargetNodeId=389

これを受け、英国王立薬剤師会は、 「スマトリプタンへのアクセス改善は患者ケアの質を高めるだけでなく、GP への負担をも軽減するだろう。そして地域薬剤師はその職能(clinical skills)を生かし、偏頭痛時の対処の手助けに大きい役割を果たすだろう」 とする声明を発表しています

PHARMACISTS TO HELP EASE THE PAIN OF MIGRAINE(2006.5.19)
    http://www.rpsgb.org/pdfs/pr060519.pdf

MHRA関係者は、「これにより手元に処方薬がない場合でも、偏頭痛発作時の素早い対応が可能となるだろう」として、患者の負担が軽減されることを強調しています。早ければこの6月にも、2錠入り7.99ポンド(約 1,680円)で、薬剤師による厳しい手順に従っての販売が始まるようです。

英国王立薬剤師会は、スマトリプタンの販売業務指針(PRACTICE GUIDANCE)を発表、ウェブサイトに掲載しています。販売にあたっては、購入者の病歴や頭痛の状態などについて、詳しいインタビューを行ってから、販売が適切かどうか判断の上、販売しますが、イミグランによる治療が適切であるとみなされた場合には、薬剤師から1年間有効の"treatment card"が発行され、次回以降の購入が容易になるようにするようです。

PRACTICE GUIDANCE: OTC SUMATRIPTAN
    http://www.rpsgb.org/pdfs/otcsumatriptanguid.pdf

諸外国では、緊急避妊薬やアシクロビルのクリームなど、緊急性のある医薬品については、OTC化がすすんでいます。日本でも、英国ほどでないにしても、こういった成分については、薬剤師の職能を生かして、積極的にスイッチ化していくべきではないでしょうか?

参考:Pharmacists to sell migraine drug(BBC NEWS 2006.5.19)
      http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4996712.stm
    First pharmacy-only triptan launched by GSK
    (The Pharmaceutical Journal Vol 276 No 7402 p613)
      http://www.pharmj.com/Editorial/20060527/news/p613triptan.html

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2006.05.18 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.10

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、5月18日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.10を公表しました。

カシュウ(何首烏)、FDAの"Index to Drug-Specific Information"などの情報が掲載されています。

全文はこちら(PDF)です。

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2006.05.13 パキシル、成人でも自殺リスク増加

FDAは12日、塩酸パロキセチン(パキシル)について、うつ病で服用中の患者で自殺企図が増える傾向があるとして、医療専門職に対し、パキシル服用者(特に若者)の注意深いモニタリングを行うよう警告を発表した。

Paxil (paroxetine hydrochloride) Tablets and Oral Suspension Paxil CR (paroxetine hydrochloride) Controlled-Release Tablets
(FDA 2006 safety information alert)
  http://www.fda.gov/medwatch/safety/2006/safety06.htm#paxil

FDAでは2004年に抗うつ剤全般に強い警告表示を義務付け、その後、成人患者への影響を調査を求めていたが、パキシルの発売元のGSK社が18歳から64歳までの約15000人を対象とした複数の臨床試験の結果を分析(メタアナリシス)したところ、うつ病患者でパキシルを服用した3455人中11人が自殺企図(0.32%)を行い、これはプラセボ服用した1978人中1人(0.05%)より高いことが分かった。また、自殺企図した11人中、8人が30歳未満の若者だった。一方、パニック障害や強迫性障害でパキシルを服用した場合には自殺企図の傾向は高まらないこともわかった。

この結果を受け、GSK社は医療専門職向けのletterを発表した。

IMPORTANT PRESCRIBING INFORMATION-Dear Healthcare Professional(GSK)
  http://www.fda.gov/medwatch/safety/2006/paroxetineDHCPMay06.pdf 

関連情報:TOPICS 2005.07.02 抗うつ剤が成人の自殺衝動も強める可能性、FDAが勧告

資料:Paroxetine and adult patients(GSK)
   http://www.gsk.com/media/paroxetine_adult.htm    

参考:東京新聞5月13日(共同通信)
   http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006051301000970.html
    Medpage TODAY(2006.5.12)
   http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/Prescriptions/tb/3283

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2006.05.13 医療専門職のための副作用報告ガイド(英国)

英国医師会(BMA British Medical Association)は11日、医療専門職が行う副作用報告についてのガイドをまとめ、BMAのウェブサイトに掲載しています。

Reporting Adverse Drug Reactions: A guide for healthcare professionals
  (BMA Ethics and Science 2006.5)
   http://www.bma.org.uk/ap.nsf/Content/AdverseDrugReactions

英国では現在、患者自身が直接副作用報告ができるというイエローカード計画(Yellow Card Scheme)という日本にはない仕組みもとられていますが、このレポートでは、このYellow Card Schemeを含めた、英国における副作用報告や市販後調査の現状やあり方について詳しくまとめられています。

そしてレポートの最後では、医師は診療の際、国に直接副作用報告ができる制度があることについて患者に伝えることや、相互作用や重大な副作用防止のために、OTC薬や薬草(herbal remedies)の服用の有無について患者に尋ねること、市販後調査の方法とその重要性について、医学教育の中にシステマティックかつ包括的なカリキュラムをとしてとり入れるべきとする勧告をまとめるなど、現場の薬剤師にも関連深い内容になっています。

英国王立薬剤師会は12日、今回のレポートを歓迎するとともに、「副作用報告の5つに1つは薬剤師によって行われているが、国民が自分自身で直接副作用報告(Yellow Card Scheme reports)を行うことを促すのにも理想的な立場にある。もし、薬剤師が患者の状態に関するより多くの情報にアクセスすることができるのであれば、患者の安全についてさらに改善を図ることができるであろう。」とする声明を発表しています。

HEALTHCARE PROFESSIONALS NEED TO DO MORE TO IDENTIFY ADVERSE DRUG REACTIONS
 (The Royal Pharmaceutical Society of Great Britain statement 2006.5.12)
  http://www.rpsgb.org/pdfs/pr060512a.pdf

関連情報:TOPICS 2005.11.08 患者による副作用直接報告(英・イエローカード計画)

参考:Drug reactions 'must be reported'(BBC NEWS 2006.5.11)
   http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4759571.stm

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2006.05.13 FDAが飲む禁煙治療薬を承認

FDAは12日、ファイザー社が開発した禁煙治療薬チャンティックス(Chantix、一般名:varenicline tartrate) の承認を発表した。

FDA Approves Novel Medication for Smoking Cessation(FDA NEWS 2006.5.12)
  http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2006/NEW01370.html

 Pfizer's Smoking Cessation Medicine Chantix (Varenicline) Receives FDA Approval
  (Pfizer Media Center - News Releases 2006.5.11)
  http://mediaroom.pfizer.com/index.php?s=press_releases&item=57

このチャンティックスは、脳内のニコチンα4β2受容体を遮断し、喫煙と同様の状態を作るというもので、GSK社の Zyban(bupropion)との比較試験で有効として、優先迅速承認された。

服用法は1週間をかけて徐々に増量し、通常12週間の投与が行われる。これにより喫煙による満足感も薄れ、ニコチンに依存する悪循環を断ち切る効果もあるという。

副作用としては。吐気・嘔吐、頭痛、不眠、悪夢、腹部膨満、味覚異常などがわかっている。

資料:Chantix http://www.chantix.com/  

参考:共同通信5月12日

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2006.05.13 ニコチンパッチ月内にも薬価収載へ

川崎厚労大臣は、12日に行われた衆院厚生労働委員会で、「ニコチンパッチ」を公的保険の対象とすることを表明した。近く行われる中央社会保険医療協議会を経て、今月中にも薬価収載になる見通し。

東京新聞によれば、厚労省の今回の方針に対し、「治療が手順書を前提としながら、パッチを使えば、保険の適用外となるのは自己矛盾だ」として、4月にさかのぼってパッチを保険適用することを求める日本禁煙学会のコメントを伝えている。

関連情報:TOPICS 2006.05.10 保険による禁煙指導にはニコチンパッチは使えない

参考:東京新聞5月13日
   http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20060513/mng_____sei_____002.shtml

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2006.05.10 保険による禁煙指導にはニコチンパッチは使えない

今年の4月より、禁煙指導について保険適応が認められるようになりましたが、ニコチネルTTSが薬価収載されていないために、現場では混乱が起きているようです。

禁煙治療では治療ガイドラインで、ニコチネルTTSを使うようになっていますが、保険診療(ニコチン依存症管理料)でニコチネルTTSを処方してしまうと、いわゆる「混合診療」に該当してしまうとのことです。報道によれば、これを知らずに処方してしまう医師が少なくなく、医師会では会員への徹底が行われいるようです。

厚労省の平成18年度診療報酬改定に係る通知等に係る疑義解釈資料4[PDF:686KB]でも、「ニコチンパッチが薬価収載されるまでは、自費徴収の有無に関わらず、パッチを使用する禁煙指導は全て自由診療となる」との解釈がとられていますが、ニコチンパッチの薬価収載については、現在検討中として、まだ薬価収載は先になる可能性があり、混乱が予想されます。

保険薬局でニコチネルTTSの処方を受けた場合には、保険による診療かどうかを確認した方がよいかもしれません。

資料:中国新聞4月30日
     http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200604300074.html
    朝日新聞5月12日
     http://www.asahi.com/health/news/OSK200605110060.html

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2006.05.10 グレープフルーツジュースによる相互作用の原因物質が特定か?

グレープフルーツジュース(GFJ)が何らかの形で CYP3A4 を阻害し、薬剤との相互作用を起こすことはみなさんもご存知の通りですが、その原因物質については、明らかになっていません。少し前までは苦味の成分となるフラボノイドのナリンジンが原因ではないかとする意見もありましたが、このほど、ノースカロライナ大学の研究グループが、フラノクマリン(furanocoumarin)が原因物質ではないかとする研究結果をthe American Journal of Clinical Nutrition誌に発表し、話題になっています。

A furanocoumarin-free grapefruit juice establishes furanocoumarins as the mediators of the grapefruit juice?felodipine interaction
(American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 83, No. 5, 1097-1105, May 2006)
    http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/83/5/1097

この研究は、18人のボランティアに、フェロジピン10rとともに3杯(240ml)のジュース(GFJを飲んだ群、フラノクマリンを99%除去したGFJを飲んだ群、オレンジジュースを飲んだ群の3群に分けて比較)を飲んでもらい、フェロジピンの血中濃度を比較したというもので、フラノクマリン除去GFJを飲んだ群では、フェロジピンへの相互作用が認められなかったというものです。

研究者らは、GFJと薬剤による相互作用の原因物質は、このフラノクマリンではないかとし、他の食品にもこのフラノクマリンが含まれているかどうかを検討すれば、食品と薬剤との相互作用の検討が可能になると指摘するとともに、吸収が少ない経口剤について、この原理を用いれば薬の吸収率を高めることもできるのではないかと述べています。

参考:Study finds how grapefruit juice affects drugs
    (ABC NEWS 2006.5.9 ロイター配信)
      http://abcnews.go.com/US/wireStory?id=1941228
    Scientists found grapefruit juice compound that interacts with drugs
    (foodconsumer 2006.5.9)
 http://www.foodconsumer.org/777/8/
   Scientists_found_grapefruit_juice_compound_that_interacts_with_drugs.shtml
    Substances in Grapefruit Juice That Interact Dangerously with Some Drugs
    (Newswise 2006.5.9)
      http://www.newswise.com/articles/view/520301/ 

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2006.05.04 がんの補完代替医療ガイドブック

四国がんセンターを中心とする厚生労働省研究班は、補完代替医療に関して出版されている書物や各国の研究機関の見解をもとに、補完代替医療に対する考え方や利用法についてまとめた、一般向けの手引『がんの補完代替医療ガイドブック』をまとめ、四国がんセンターHP(http://ky.ws5.arena.ne.jp/NSCC_HP/top_page/)に掲載しています。

がんの補完代替医療ガイドブック[PDF:4MB]
 (四国がんセンターHP 2006年4月5日掲載)
  http://ky.ws5.arena.ne.jp/NSCC_HP/shinryo_info/
      gan_no_hokan_guidbook/gan_no_hokan_guidbook.pdf

本ガイドブックは、補完代替医療(CAM)の利用にあたって確認・注意すべき点を中心にまとめた『活用編』と、補完代替医療(CAM)を取り巻く社会的背景や科学的検証に関する問題点などをまとめた『資料編』で構成されていて、私たち薬剤師にも大変参考になります。

特に資料編では、補完代替医療の実態に関する過去の調査で特に使用頻度が高かったアガリクス、プロポリス、AHCC、サメ軟骨、メシマコブの5つの健康補助食品について、「PubMed」による論文の検索結果をまとめています。

なあ、日本補完代替医療学会が監修していて、希望する病院への配布も検討されているとのことです。

「がんの補完代替医療ガイドブック」のご紹介
   (日本補完代替医療学会HP 上記と同じものです)
   http://www.jcam-net.jp/topics/guidebook.html

参考:朝日新聞5月4日
     http://www.asahi.com/health/news/TKY200605030229.html

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2006.05.02 市販直後安全性情報収集事業

厚労省は新たに承認される新医薬品のうち、新規性が高いものや国内外における使用経験が少ないもの等について、原則として市販後6ヵ月間、使用状況や副作用等の発現状況等を、 国が直接、臨床現場から収集・評価する取組みを開始した。

 従来、副作用報告など市販後調査は、製薬会社を通じた報告が多かったが、この取組みでは厚労省の医薬品等安全対策部会が、対象医薬品の使用が多く見込まれる専門医を担当医として5、6名選び、この担当医が副作用の発生の他、適正使用に関する情報がメーカーからきちんと提供されているかどうか、また医療機関もこれを守っているかどうかについて月に1回以上、厚労省に報告するという。

 対象となる新医薬品は、これまでに類似の化学構造、薬理作用等を有する医薬品が、国内において、承認されていないもの等の新規性が高いもの、 承認条件として全症例に係る使用成績調査を行うこととされたもの(希少疾病用医薬品を除く)、国内外の使用経験(国内治験症例が50症例未満)が少なく欧米主要国で未発売のものなど。
 
 共同通信によれば、この取組みにより薬の緊急使用中止や添付文書改訂などの安全対策の迅速実施、市販後調査の妥当性のチェックがしやすくなるという。今後、専門家の意見を参考に今後年間5品目適度を選定されるとのことだが、選定の結果については、対象医薬品の製造販売業者等が行う市販直後調査とは別に行われるものであることなどから、終了時まで非公表とされる。

市販直後安全性情報収集事業(定点観測事業)について
   (医薬品・医療用具等安全性情報229号)
  http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1026-1.html#chapter2

資料:市販直後安全性情報収集事業の実施について
 (平成17年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会・配布資料 2006年3月24日)
     http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/03/dl/s0324-3c.pdf

参考:共同通信5月2日

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2006.05.02 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.9

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、5月2日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.9を公表しました。

英国副作用報告システム(Yellow Card Scheme)、プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)、パルプロ酸(デパケン・バレリン)、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)、テノホビルなどの情報が掲載されています。

全文はこちら(PDF)です。

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