海外の地域薬局・薬剤師によるセルフケアにおける取組⑤(ポルトガル)

Explor Res Clin Soc Pharm.誌に、“Selfcare for Health System Sustainability: An International Series on the Role of Community Pharmacy”(医療システムの持続可能性のためのセルフケア~地域薬局の役割に関する国際シリーズ)で掲載された、ポルトの取り組みを紹介したい。(Xに2024.02.11に投稿したものを再構成しました)

Role of Portuguese community pharmacy and pharmacists in self-care
Explor Res Clin Soc Pharm. 2023 Sep 2)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10556834/

ポルトガルでは、政策においてセルフケアの重要性を認識しており、ヘルスリテラシーと市民のエンパワーメントに積極的に取り組んでいる。

2021年から2030年までの最新のNational Health Planでは、全国的な地域薬局ネットワークを「地域社会の健康促進のため、健康の保護と促進、健康リテラシーを通じた疾病の予防と早期発見、慢性疾患の悪化防止など」に活用する必要性が明確に示されている。

しかし、特に地域薬局は民間企業でありながら、公的な国民保健サービスを支援することができるため、部門間連携を促進するためにさらに多くのことを行う必要がある。

地域薬局は、パンデミックの間、疑わしい症例を無料で検査するために多くの人々を支援した。

エイズとウイルス性肝炎を撲滅するための取り組みも、地域薬局が自己検査を促進し、診断と治療への効率的なスクリーニングと紹介を確保する一つの例である。

ポルトガルにおけるセルフケア介入はエビデンスに基づくものであり、医療システムの効率性を高めることができる。

セルフケア介入には、自己管理(self-management)、自己検査(self-testing)、自己認識(self-care interventions)の3つの主要なグループがあり、この枠組みは、ポルトガルの地域薬局を通じて推進される介入の説明の指針となっている。

ポルトガルではセルフメディケーションが頻繁に行われており、その普及率は農村部では21.5%、都市部では26.2%となっている。

一方で、薬局職員が提供する助言の質は不十分であると指摘されている。

そのため、規制機関(INFARMED)、ポルトガル薬剤師協会(PPS)、ANFなど複数の機関により、構造化された地域薬局軽症疾患プロトコルが開発された。

また、2008年から処方箋に基づき複数のワクチンを接種するサービスを提供している。

2021年からは、PPS(ポルトガル薬剤師協会)によって認定された資格を有する薬剤師は、60歳以上の患者に対し、処方箋なしでインフルエンザワクチンを調剤・接種することが可能になった。

2023年からは、地域薬局はP-NHS(ポルトガル国民保健サービス)から、この患者層に対するインフルエンザワクチンとCOVID-19ワクチンの両方の接種費用について報酬を受けるようになる。

さらに、ポルトガルではすでに、COVID-19検査を含むセルフケアの分野で、地域薬局のサービスに対する払い戻しに動いている。

今後の課題としては、地域薬局を持続可能なものにすることが挙げられる。

地域薬局は他の医療提供者と同様に public health service を補完できる民間事業体であることを考慮すると、支払いモデル、紹介の仕組み、プライマリーケアやセカンダリーケアにおける他のパートナーからの情報へのアクセスと統合を見直すことが不可欠である。

関連情報:TOPICS
2025.04.30 欧州各国で薬剤師がさまざまなサービスを提供している(WHO Europe)


2025年06月07日 00:11 投稿

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