シグナル(オランダLareb Quarterly Reports)

 オランダ薬剤監視センター(Lareb:Netherlands Pharmacovigilance Centre Lareb)ではシグナル検出をまとめたレポートを四半期ごとに発出してますが、このほど、最新のレポートがLarebのウェブサイト(http://www.lareb.nl/)に掲載されています。

Kwartaalbericht 2e kwartaal 2013
(Lareb Quarterly report 2013-2)(英語です)
http://www.lareb.nl/getmedia/72395414-627f-4fe5-a3a9-7512ec6adb0e/KWB_2013_2_WEB.pdf

 今回掲載されたのは次の5件です。(簡約です。原文でご確認ください。)

シグナル   概要
Gabapentin and severe hypoglycaemia
(ガバペンチンと重篤な低血糖)

Larebには、6例のガバペンチンとの関連性が疑われる血糖値低下や重篤な低血糖の報告があった。(4例はガバペンチンの中止で改善) 一方、WHOのデータベースでもガバペンチンとの関連性が疑われる150の低19の報告が確認された。(19例で死亡のアウトカム、14例では再投与でも再燃。また併用薬が確認された事例の約半数では糖尿病薬の投与はなかった) 一方、Eudravigilanceデータベースでも63の報告が確認された。発現のメカニズムとしては、GABA Bレセプターのブロックによるインスリンの放出を刺激することや、活化によるインスリンの分泌阻害GABA Aレセプターの賦活化により、カルシウムの流入が増加し、インスリンの放出が刺激されることなどが考えられている。(本邦では記載なし)
Omeprazole and subacute cutaneous lupus erythematosus
(オメプラゾールと亜急性皮膚エリテマトーデス)

Larebには、2例のオメプラゾールとの関連性が疑われる亜急性皮膚エリテマトーデス(ACLE)の報告があり、文献でも他のPPIも含め、いくつかの報告例が確認された。また、WHO のデータベースでは24例(他のPPIも含めると全部で48例)、Eudravigilanceデータベースでも22例(他のPPIを含めると71例)が確認された。 PPI共通のシグナルの可能性も示唆した。(本邦では記載なし)
Doxycycline and photo-onycholysis (an update)
(ドキシサイクリンと爪甲剥離症)

Larebには、前回のレポートの3例を含め、ドキシサイクリンとの関連性が疑われる12例の爪甲剥離症があった。また、WHOのデータベースでも102例、胆管炎1例の報告、文献でも報告が確認されたが、メカニズムははっきりしていない。(本邦ではその他の副作用の項で記載有)
Doxycycline and paraesthesia
(ドキシサイクリンと感覚異常)
  Larebには、13例のドキシサイクリンとの関連が疑われる感覚異常の報告があった。(うち再投与で5回再燃) 統計学的に有意差がなかったが、豪州やニュージーランドでは商品情報で既に注意喚起が行われている。(本邦記載なし)

  また、今回のレポートでも欧州で話題になっているDiane35 のオランダにおける有害事象の報告の概要がまとめられています。

Overview of reports of thromboembolic adverse drug reactions associated with cyproterone/ethinylestradiol
http://www.lareb.nl/getmedia/72395414-627f-4fe5-a3a9-7512ec6adb0e/KWB_2013_2_WEB.pdf#page=26

 上記によれば、Laerb には2013年4月3日までに、309例の関連性が疑われる血栓塞栓症の報告があり、死亡例も18例あったそうです。(症例の紹介あり)

 シグナルはLarebからは定期的に発出されており、まとめたものが下記ページに掲載されています。

Signals(Lareb)
http://www.lareb.nl/Informatie-bijwerkingen/Signalen

関連情報:
 2013.05.09 シグナル(オランダLareb Quarterly Reports)
 2013.02.25 シグナル(オランダLareb Quarterly Reports)
 2012.11.02 シグナル(オランダLareb Quarterly Reports)
 2013.03.12 医薬品の使用と口腔乾燥症(NZ)
 2013.01.30 血栓リスクでDiane-35 (ダイアン35)の販売を中止(仏
 2013.01.06 第3、4世代ピルの使用制限(フランス)
 2012.07.09 テルビナフィンと聴覚障害


2013年09月16日 21:31 投稿

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