第3、4世代ピルの使用制限(フランス)

 年末年始で用事が立て込んでいたところに風邪をひいてダウンしていましたが、なんとか体調を戻しましたので、通常の更新ができそうです。毎年、クリスマス~年始にかけてのこの時期は各国とも目新しい話題は少ないのですが、ちょうど下記の情報が目に留まりました。

Pilules de 3ème génération
(フランス保健省 2013.01.03)
http://www.social-sante.gouv.fr/actualite-presse,42/communiques,2322/pilules-de-3eme-generation,15495.html

 若者への100%償還などが行われるなど、ピル(経口避妊薬)が世界で最も利用されているフランスですが、フランス保健省は3日、副作用として静脈血栓塞栓症の発生リスクが2倍高いとされている、第3、第4世代のピルが過剰に処方されている可能性があるとして、第3世代ピルに対しての償還を3月31日から停止すると発表しています。(第3、第4世代の償還停止が9月30日からの実施が既に発表されていたので、前倒し措置)

 今回の措置は米FDAによる低用量ピルの長期間レビューに追従するもので、これら新世代のピルの処方は専門家に限定すべきとするコメントも発表しています(フランスでは、現在助産師や看護師でも処方が可能) 

第三世代 gestodene、デソゲストレル(マーベロン)
第四世代 ドロスピレノン(Yaz、Yasmin、ヤーズ配合錠=本邦は月経困難症が適応症)

関連資料:
ピル(経口避妊薬)Q&A
(思春期インフォメーション・日本家族計画協会)
http://www.jfpa.or.jp/cat5/index05.html

第3、第4世代の経口避妊薬のVTEリスクは第2世代の2倍以上
(日経メディカルオンライン 2011.11.10)
 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201111/522347.html

関連情報:TOPICS
 2011.12.09 ドロスピレノンのベネフィット・リスク(米FDA諮問委)
 2011.04.26 新世代ピル「ドロスピレノン」と静脈血栓塞栓症リスク

参考:
Worried about blood clots, France weighs new contraceptive limits
(Fierce Pharma 2013.01.03)
http://www.fiercepharma.com/story/worried-about-blood-clots-france-weighs-new-contraceptive-limits/2013-01-03
France
heaps pressure on newer birth control pills
(France 24 2013.01.03 AFP 配信)
http://www.france24.com/en/20130103-france-heaps-pressure-newer-birth-control-pills
French lawsuit reignites debate on contraceptive pill
(France 24 2013.01.05)
http://www.france24.com/en/20130104-france-contraceptive-pill-fears-controversy
France may curb use of riskier oral contraceptives
(Reuter 2013.01.03)
http://www.reuters.com/article/2013/01/03/france-contraception-idUSL5E9C368W20130103

 


2013年01月06日 14:34 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    フランスは、EMA(欧州医薬品庁)での第3、第4世代の経口避妊薬のレビューを要求、EMAでは 次回2月4日~7日に開催される、Pharmacovigilance Risk Assessment Committee (PRAC)で検討を行うことを発表しています。

    European Medicines Agency to review third- and fourth-generation combined oral contraceptives
    (EMA 2013.01.28)
    http://www.emea.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2013/01/news_detail_001700.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1

    EMAによれば、加盟国がEMAに対し、新しいpharmacovigilance法の枠組みの下でこれらの医薬品についてのEU全体への勧告を要求したのはこれが初めてだそうです。

  2. アポネット 小嶋

    関連情報です。

    フランスの医師たちは第3・第4世代経口避妊剤の処方を制限される
    (薬害オンブズパースン会議 注目情報 2013.04.02)
    http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=378