一般用医薬品の(ネット)販売のルール(たたき台)

 既にご存知かと思いますが、一般用医薬品の(インターネット)販売のルールを検討する第3回の会合が11日に開催され、これまでの議論を踏まえた医薬品のインターネット販売ルール等のの概要が厚労省から示されています。

第3回一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ 資料
(厚労省 2013.09.11開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000022599.html

一般用医薬品の販売ルール等について(たたき台)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000022599.html

 概要がまとめられている10ページの部分を抜粋します。

 簡単に言うと、販売時に使用する人が適しているか(条件を満たしているかどうか)どうかをまず申告(質問事項も含む)してもらい、それに対して販売者(専門家)が個別の情報提供を行い、購入者がその情報について理解した旨の連絡を経てから販売するという内容で合意の方向のようです。

 となれば当然ながら店舗販売でも、同様の確認は必要となり、店舗販売での販売記録の取扱いなども含め引き続き議論の対象となりそうです。

 一方で、個人的どうかと思ったのは、インターネット販売を行う店舗での開店時間の取扱いで、午前8時から午後6時までの週40時間も必要ないのではないかという意見です。

 1ページにあるように、「店舗閉店時であっても、専門家が店舗に常駐しているのであれば、インターネットでの医薬品販売を認めることとする」となっているので、開店時間外でもネット販売で専門家が関与することは担保されているようですが、ネット販売を行う業者にとっては店舗販売はどうでもいいという感も否めません。

 もっとも、現在の店舗販売でも、専門家がいないという理由で医薬品コーナーや第一類の販売コーナーだけを閉鎖するという時間帯が散見されており、ネット販売では営業時間内での常駐を義務付けている(2ページ)ことを考えると、専門家がいなければそのコーナーを閉鎖すればよいということも再考する必要があるかもしれません。

 その店舗の定義ですが、「実体があり、外部から見て明確にそれとわかり、なおかつ不特定多数の者(購入者)が実際に来店して購入、伴浴び、相談等が行えるもの」とはなっていますが、この定義を満たしているかどうかの線引きはどうやってやるのでしょうね。

 それと、これまでもたびたび問題になっていた第一類の情報提供義務の免除については、次のような規定が示されています。(4ページ)(ごく当たり前のことなんだけどね。こういうふうに規定しないといろいろと議論となってしまうんでしょうね)

「医師・薬剤師等や同じ品目を継続して使用する者に対して販売する場合であって」、かつ、「薬剤師が説明を必要としないと認めるときに限ることとする」

 全体的な流れは、専門家常駐による相談体制が求められる、店舗販売がますます形骸化・軽視され、医薬品販売において専門家が多く必要とされない、より効率的な経営がすすむような感が否めません。

関連情報:TOPICS
 2013.09.08 第2回一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ会合
 2013.08.16 一般用医薬品の(ネット)販売のルールづくりが再開

参考:
医療介護CBニュース 9月11日
http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=40887
日経DI 9月12日
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201309/532462.html


2013年09月16日 21:30 投稿

コメントが6つあります

  1. 読売新聞
    副作用のリスクが最も高い1類の市販薬について、販売した薬剤師の名前や薬の種類、副作用情報の購入者への提供状況などの記録作成・保存を義務づけることを柱とした新ルールを導入することで大筋合意した。 記録作成・保存の義務化は、典型的な副作用の症状や一緒に服用してはならない薬の種類などを、専門家が購入者に確実に伝えているかを自治体がチェックできるようにし、健康被害の低減や発生防止を図るのが目的だ。
    検討会では「ネット販売だけへの義務づけは不公平」との意見が出たため、店頭での対面販売にも同様の対応を求める。
    ———————————————————————————-
    とんでもないことになっていますね。店頭の対面販売でも記録の作成・保存を義務化される。そもそも、すべての購入者の住所氏名・連絡先を聞き出すことができるのでしょうか?
    薬事監視の際には、必ずチェックされるでしょうから、もれなく作成保存しなければなりません。
    まったく非効率的な事務作業を強要される店頭の薬剤師は堪ったものではありません。

  2. アポネット 小嶋

    時間がとれず、なかなか記事がアップできず申し訳ありません。

    重要な部分なので、後で記事を書こうと思っていましたが、とりあえずコメントをしておきます。

    他紙によれば、店舗での販売については購入者の住所氏名の記録の作成・保存は義務化はされていません。(努力義務)

    ただ、販売日時、医薬品名、販売者名についての記録は報道の通り、義務化されるようです。

    さらに、購入者が薬剤師の説明を受けたかどうかをチェックができるよう求めることになっていますので、空箱を持って、一般の商品を買い求めるのと同じようにレジで購入できるような仕組みをとっている店舗では見直しが必要になるかもしれません。(レジに必ず薬剤師を配置する必要が出てくる)

    医療介護CB ニュース 9月20日
    http://www.cabrain.net/news/article/newsId/40951.html
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130920-00000005-cbn-soci

    個人的には、「第一類は専門家の関与が必要となる」という意識付けにつながるので、むしろよかったと思いますが、逆にこういったチェックを嫌がり、ネットでの購入に走るのではないのかとも考えています。

    第4回一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ 資料
    (厚労省 2013.09.20 開催)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000023453.html

    一般用医薬品の販売ルール等について(第3回資料の見え消し版)
    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000023450.pdf

  3. 2013/9/22 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版 記事保存
     インターネット通販国内最大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)は10月にも一般用医薬品(大衆薬)の販売を始める。効き目が強い「第1類」を含め、少なくとも4000品目を超える薬を扱う見通し。即日配送などを生かし消費者に迅速に届ける。月に4800万人が利用する同社は各分野で価格競争を先導してきた。薬の価格が割安になれば、政府が成長戦略で解禁を表明した薬ネット販売が普及する契機になりそうだ。
    —————————————————————————————————-
    通販大手Amazon参戦決定 、アスクルは準備中らしい
    街の薬局は、参戦すらできずにオロオロするばかり。
     

  4. 色々な意味で、一般用医薬品の第一類は「再販商品」に戻すべきではないか!?

  5. 「再販商品」とは再販売価格維持制度のこと。
    メーカーが卸売業者や小売業者に当該の再販売価格を提示し、その価格を維持させる定価販売制度のひとつ。
     互いに競争関係にある複数の生産者あるいは販売業者が、利潤の増大や確保のために、競争制限を目的としてカルテルを結ぶことを「横のカルテル」とよぶ。対して、再販売価格維持行為は生産者-卸-小売業者 のあいだで垂直に行われる価格拘束なので、「縦のカルテル」とよばれる。今更、夢よもう一度的な考えでは消費者に反感を買うだけですよ。

     再販売価格維持行為とは、商品の所有権が小売業に移転してしまった後もメーカーが自己と直接関係のない取引に介入することであり、自由な販売価格の決定を拘束するものである。それはいかなるメーカーでも行いうるものではない。大規模メーカーや製品差別化に成功した有力メーカーが、流通系列化や商品力を背景に、小売業の販売価格を拘束して価格競争を制限・排除するのが通例である。すなわち、再販売価格維持行為は、市場支配力のある企業、優越的にあるメーカー、市場が寡占的で競争が機能していない市場に属する企業がなしうる行為である点が特徴的である。

  6.  薬の価格が割安になれば、景気刺激策になるという仕組みはどこにあるのだろうか? 過去に、販売規制緩和でドリンク剤を中心に医薬部外品に区分替えが行われ、販路は拡大したが、一般商品との競合などが発生し、価格の引き下げ、大規模小売店の一層の圧力等が生じたに過ぎない。 一方、薬剤師の関与と安全への配慮が求められる第一類医薬品の販売に対し、少なくとも3年ないし4年の間の価格維持があることへの小売事業者の願望は強い。