医薬分業国際標準化に関する陳情書(日本薬剤学会)

 MLから入手した情報ですが、社団法人日本薬剤学会(http://www.apstj.jp/)の杉林堅次会長と永井恒司名誉会長が5月24日、「医薬分業国際標準化に関する陳情書」を細川律夫厚生労働大臣に提出したそうです。

医薬分業国際標準化に関する陳情書を提出しました
(日本薬剤学会 2011.05.24)
http://www.apstj.jp/information/20110524mhlw

 同学会では、近年医療において数々の薬剤投与過誤の実例が報じられているが、その多くが薬剤師の関与がないか、あるいは薬剤師による処方監視機構が働いていない場合に見られる事故であり、医薬分業が不完全であることに起因していると指摘、また、6年制薬学課程により新しい薬学を修めた薬剤師が、医療法に掲げられた”医療の担い手”の役割を遺憾なく果たすためにも医薬完全分業が実施される必要があるとして、現在の任意分業から国際標準である完全分業(強制分業?)を実施するよう求めています。

 薬剤師会が、こういった陳情書を出せば、必ず医師会から反発が出るでしょうが、学術団体が国際標準の見地に立ってこういった陳情書を出す意義は大きいと思います。医師会や医学会などの反応が注目されます。

 同学会では、国際標準医薬分業は薬学に携わる者だけでなく広く国民の利益につながるものとして、国際標準医薬分業化を積極的に支援したいとして、薬剤学に掲載した永井氏の提言もHPに掲載しています。(陳情書と内容は重複しますが)

医薬分業に関する提言
(薬剤学,71 (3),134-135 (2011))
 http://www.apstj.jp/information/proposal71-3


2011年05月29日 16:13 投稿

コメントが3つあります

  1. 興味深い記事です。
    しかし、なぜ今頃になっての感です。
    誰しも例外規定を削除すれば完全分業になることはわかっていたはずです。
    医師会、医学会の反発は予想されます。
    しかし、60%以上の分業率の状況下、
    反発する論拠はどこにあるのでしょう。

    国民は分業のメリットをまだまだ受け入れていません。
    費用対効果を実感していないからです。
    中途半端な任意分業を長年、運用しているから、薬剤師は医師に甘えているし、遠慮している。これではいつになっても何も変わらない。当然、国民の理解が得られるはずがない。
    陳情を大臣が真摯に受け止め、なしのつぶてにならないことを期待します。

    強制分業にすることで薬剤師に責任を負う構図が必要なのです。

  2. 例外規定削除でなく、薬剤師法の「医師自ら調剤」を正しく守れば、ほぼ完全分業になるのではないですか?
    実際事務員がやってて告発されたら警察が動きます。でも、不起訴ですけど、大概。
    これを処罰すると国益を損なうおそれがあるんですかね?厚労省がきちんと指導してくれればいいんです。
    嫌だったら薬剤師を雇えばいいんですから。
    『無資格調剤』なんですよ、こんな大事なことを国は見ないことにして、重箱の隅突く事ばかりは止めて欲しいもんです。
    医師は大切な仕事で尊敬しています。
    でも、守らなければいけない法を無視していい聖域で当たり前と思ってるのは、おかしいですね。

  3. アポネット 小嶋

    永井恒司氏が、毎日新聞のコラム「これが言いたい」で、この件に触れています。

    これが言いたい:「医師は調剤できない」が国際標準だ=永井恒司
    (毎日新聞8月25日 掲載は1か月くらい)
    http://mainichi.jp/select/opinion/iitai/news/20110825ddm004070022000c.html