プソイドエフェドリン大量購入者へは購入理由の確認が必要

 昨年6月、OTC鼻炎用薬に含まれるプソイドエフェドリン(PSE)を原料とした覚せい剤密造が摘発された事件(TOPICS 2010.06.10)を紹介しましたが、警察庁や厚労省の麻薬対策課がようやく対策に乗り出したようです。13日付で通知が行われています。

プソイドエフェドリン塩酸塩等を含有する一般用医薬品の販売時における購入理由の確認等について(薬食監麻発0513第1号 平成23年5月13日)
(法令等データサービス)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110516I0010.pdf

(平成23年度薬事関係通知集 奈良県)
http://www.pref.nara.jp/secure/60051/23022.pdf

プソイドエフェドリン塩酸塩等を含有する一般用医薬品の販売時における購入理由の確認等について

 先般、薬局の店舗にて購入したと思われるプソイドエフェドリン塩酸塩を含有する一般用医薬品からプソイドエフェドリンを抽出するなどして、覚せい剤を密造した疑いのある事案が発生したところです。

 このような事案の再発を防止するため、薬局等販売業者において、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩又はエフェドリン塩酸塩を含有する一般用医薬品(以下「当該医薬品」という。) の販売の際、下記の点に、ご留意していただきたいと思いますので、貴管下関係業者に対する周知方よろしくお願いします。

 なお、警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課長より当職あて別添写し「プソイドエフェドリン塩酸塩等を含有する一般用医薬品の販売の際の薬局開設者等に対する協力要請に関する依頼について」(平成23年5月13日付け警察庁丁薬銃発第122号) (PDFファイル参考)のとおり、依頼がありましたことを申し添えます。

  1. 当該医薬品について、大量又は頻回購入を希望する者に対し、購入理由を確認すること。
    (※) 「大量購入」とは、概ね1 回の購入量が60 日分以上の服用量を目安とし、「頻回購入」 とは、近接した期間内( 概ね7 日以内とする。) における購入量の総量が、60日分以上の服用量にあたる場合をいう。
  2. 1. の場合にあって、購入理由が不自然である、又は説明を拒否するなど購入希望者の言動等に不審な点が認められるときは、販売状況( 販売の有無、販売した場合は販売年月日、販売医薬品名、販売数量、購入理由等)及び把握した購入希望者に関する情報(氏名、連絡先(住所、電話番号等)、特徴、車両ナンバー等)について、各地方厚生( 支)局麻薬取締部( 支所) 、都道府県薬務主管課、警察本部薬物対策担当課又は最寄りの警察署へ情報提供すること。

 この事件確か裁判もまだ始まっていないと思いますが、警察庁が協力要請したということは、大量の販売が行われている実態があったのかもしれません。

 1回に60日分購入している人がいたら通報ということのようですが、ドラッグストアをはしごして購入していたら対策にはならないと思うのですが。 

 海外ではもっと厳しい販売規制が行われていることは本サイトでも何度も紹介している通りで、日本のようにプソイドエフェドリンの販売規制が行われていないのはむしろ少数派です。

 もし実態として、OTC薬から覚せい剤を密造しているということを把握しているのであれば、もっと厳しい対応が必要ではないでしょうか?

関連情報:TOPICS
  2010.06.10 プソイドエフェドリンを原料とした覚せい剤密造が摘発
  2010.06.11 プソイドエフェドリン問題の解説記事
  2010.10.16 プソイドエフェドリンの不適正販売で7760万ドルの罰金(米国)
  2009.07.30 プソイドエフェドリンのさらなる販売規制は行わず(英国)
  2007.06.06 市販鼻炎薬の販売は1回につき3日分までに制限(韓国)(旧サイト)
  2007.03.08 英国、プソイドエフェドリンの販売規制を検討
  2005.12.12 プソイドエフェドリン配合剤、全米で販売規制へ
  2005.11.03 カナダ州政府がプソイドエフェドエリンの販売を規制

 


2011年05月18日 18:55 投稿

コメントが2つあります

  1. こういった薬がなぜ2類医薬品にあるのか以前から疑問でした。
    少なくともこのような薬こそ1類に規制したほうがいいと思います。

  2. アポネット 小嶋

    掲載承認遅れて申し訳ありませんでした。

    以前の記事でも触れましたが、私も第一類にすべきだと思いますね。

    警察の通知では特に量は言及していないのに、厚労省の通知では「60日分以上」となっています。この60日分の根拠は如何に?

    でもパブロンの鼻炎などは12日分の包装があるので、5個買えばすぐに到達です。はしごしたら簡単ですね。

    日薬は26日の定例記者会見で言及したようですが、本来ならすぐにHPの会員向けページに記事を立てて、一斉FAX送信だと思いますね。

    日本医薬品登録者販売者協会では通知が出てすぐにHPに情報を掲載していたようですが、チェーンドラッグストア協会での情報伝達はどうなっているのでしょう。

    日薬はおそらく、1日の日薬ニュースで触れる程度なのでしょう。

    いつも思うのですが、組織に入っていない店舗へはこういった問題が生じたときに、どのような情報の伝達を行うのでしょうか?

    今回は、薬事法の経過措置終了(包装へのリスク区分の表示)があるので、これに合わせて、保健所が薬事監視を行う中で指導をするのかもしれませんね。