プソイドエフェドリンの不適正販売で7760万ドルの罰金(米国)

 全米で7100以上の店舗がある大手ドラッグチェーンのCVS/pharmacyは14日、プソイドエフェドリン(PSE)配合剤の不適切な販売に対し、7760万ドルを支払うことで司法当局と合意したと発表しました。

CVS/pharmacy Announces Agreements With U.S. Drug Enforcement Administration and U.S. Attorneys’ Offices
(CVS/pharmacy Press Release 2010.10.14)

 米国ではOTC風邪薬(鼻炎薬)に配合されたプソイドエフェドリンを原料にメタンフェタミンを密造することが相次いだことから、オーバーザカウンターでの販売、購入者の身分確認と販売記録、販売量の制限などの販売規制を求める法律が2005年?に施行されていますが、同社は2007年9月~2008年11月までこの法律を守らず、カリフォルニア、ネバダなど23州で不適切な販売を行ったとして、同社に制裁を求めたようです。

 罰金7760万ドルうち7500万ドルは制裁金で、残りの260万ドルは販売によって得られた利益だそうです。ものすごい額の罰金ですね。

 同社はこの合意により司法当局からの訴追を免れますが、今後3年以上はコンプライアンスの遵守と倫理プログラムの実行と報告が義務づけられるようです。

 米国内では現在、オンラインによる販売状況を追跡調査するシステムが構築されつつあり、おそらく現在ではこういったことは少ないのではないかと思いますが、米国内でのPSEの厳しい販売規制を改めて垣間見ることができます。

 米国以外でも、PSEは多くの国で厳しい販売規制が行われていますが、日本では今年6月にイラン人による密造が摘発されてからも特に販売規制をする動きはないのですが、果たして大丈夫なのでしょうか?

関連情報:TOPICS
  2005.12.12 プソイドエフェドリン配合剤、全米で販売規制へ
  2010.06.11 プソイドエフェドリン問題の解説記事
  2010.06.10 プソイドエフェドリンを原料とした覚せい剤密造が摘発

参考:
CVS will pay record fine over sale of drug
(latimes 2010.10.14)
http://www.latimes.com/news/local/la-me-meth-20101015,0,1828941.story
Pharmacy chain fined over meth ingredient sales
(CBC.ca 2010.10.14 AP配信)
http://www.cbc.ca/consumer/story/2010/10/14/con-cvs-meth.html


2010年10月16日 01:25 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    関連ブログです

    販売管理を怠った薬局チェーンに7500万ドルの罰金|アメリカのニュースから
    (弁護士小森榮の薬物問題ノート 2010.10.16)
    http://33765910.at.webry.info/201010/article_11.html

  2.  プソイドエフェドリンは、エフェドリンなどと同様に日本では覚せい剤原料として、米国などよりも早期に規制が設けられています。 米国では、現在、覚せい剤原料の規制対象として拡大する事が検討されています。
     米国では、覚せい剤原料の法的規制が無かった事もあり、含有するOTC製剤について、その扱いをBTCにすることが州単位の規制として導入されました。
     実際には、薬局・薬店で製剤しかも、風邪薬等のように複数成分の製剤を購入して抽出するようなものが覚せい剤密造の原料となることは少なく、現実の密造は工業規模で実施されているとされています。
     無論、小規模の密造所でエフェドリンやプソイドエフェドリンの原末や倍散を利用する例はあることから、これらに対する摘発や入手困難にする努力が払われています。