特例販売業のかけこみ取得で伝統薬の新規通販は可能

 ラジオを聞いていると今でも頻繁に耳にするCM、再春館製薬の“痛散湯”(指定第二類、麻杏よく甘湯+防已)ですが、新薬事法では新規の通信販売はできないはずであり、無意味な広告ではないかと思っていましたら、実は旧薬事法の“特例販売業”という手段を使って、堂々と新規客への販売を継続しているということを知りました。

 この“特例販売業”というのは、へき地の雑貨店、フェリーの船内、飛行場の売店など、近くに薬局・薬店がない場合等の理由により薬を限定して販売をを例外的に認めるというもの(新薬事法施行で廃止)で、時事通信によれば、伝統薬44業者が立ち上げた全国伝統薬連絡協議会のうち、再春館製薬所など熊本県内の8業者と、奈良、岐阜、和歌山県各1業者の計11業者が新薬事法施行直前にこの“特例販売業”の許可を取得したそうです。 

 特例販売業については、旧薬事法で取得した許可については新薬事法の下でも既得権として有効であり、また規制が定められていないことから、通信販売に対しての規制はありません。これが、伝統薬の新規客の販売継続を可能にしているのです。(当然、経過措置終了後も販売継続が可能)

 どのようなところに事業所を置いて許可を取得したかが興味あるところですが、時事通信の記事をはじめ、ブログなどでも通販継続のための脱法的ともいえるこの手段には批判が寄せられています。

 厚労省は、6月17日行われた規制改革会議の公開討論会(→リンク)で、インターネット等の販売体制のあり方について継続して議論する場を直ちに設けることは考えていないと答えていますが、法律の専門家の指摘通り、事実上伝統薬のみに通販を認めておいて、議論さえもしないというのは私も筋が通らないと思います。ケンコーコムなどが行っている提訴にも影響を与えるかもしれませんね。

関連情報:TOPICS
  2009.05.29 改正省令が公布(パブコメ結果が公示)
  2009.05.25 ネット販売規制は違憲、ケンコーコムなどが提訴
  2009.05.23 パブコメ結果に関わらず、改正省令は原案通り公布へ
  2008.08.07 医薬品のネット販売制限は消費者の利便を損なうか?

関連ブログ:
  改正薬事法1カ月 (健康とECのBlog 7月1日)
   http://www.kenko.com/blog/genri/2009/07/1.html
  厚労省の医薬品ネット販売の論理破綻
    (俺にも言わせろ!?  6月25日)
   http://plaza.rakuten.co.jp/maruki9383/diary/200906250000/

参考:時事ドットコム7月5日
  http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009070400173
  http://www.jiji.com/jc/zc_p?k=2009070400174&r=1


2009年07月05日 11:34 投稿

コメントが1つあります

  1. 通勤時にカーラジオから流れてくる通散湯のCM。
    医薬品とわざわざ断っているのに、通販禁止のはずだが・・・・
    なぜサンプルを配れるのか?
    私も不思議に思っておりました。

    まさか、こんな裏技が有るとは知りませんでした。
    新たに特例販売業の許可を受けることはできませんが、
    4000軒程度有るという旧法上の特例販売業の許可を
    有する事業所を合併すれば、医薬品の通信販売業に新規参入できる。
    と考える人がいても不思議ではありません。