改正省令が公布(パブコメ結果が公示)

 医薬品の通信販売を一部に限って2年間認める省令が(5月29日の官報・号外111号p3-4)で公布されました。(インターネット官報: http://kanpou.npb.go.jp/ (1ヶ月閲覧可)か、下記ページで閲覧できます)

 「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令
   (平成21年5月29日厚生労働省令第114号)(PDF:93KB)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/090529a.pdf

 省令で追加された事項は以下のような点です。

  • 薬局開設者又は店舗販売業者は、離島に居住する人に対して郵便等で医薬品を販売し、又は授与したときは、その販売又は授与の相手方の氏名、住所、連絡先及び当該医薬品の名称その他必要な事項を記載した記録を作成し、その作成の日から三年間保存しなければならない。情報提供については、「電話その他の方法により」行う。(第23-27条)
  • 省令の施行前に薬局・薬店から購入又は譲り受けたものと同一の医薬品について、二年間に限り郵便等販売を行うことができるのは、当該薬局・店舗販売業の薬剤師等が電話その他の方法により当該医薬品を購入又
    は譲り受ける者から情報の提供を要しない旨の意思を確認し、かつ、同項の規定による情報の提供を行う必要がないと判断した場合に限る。また、離島居住者と同様に三年間記録の保存をする。(第28条)
  • 郵便等の販売を行う場合には、届け出書類の「販売方法の概要欄」に、カタログ及びインターネツト等の広告方法、郵送及び直接配送等の輸送方法等を記載すること。また、広告方法としてインターネツトを用いる場合は、ホームページアドレスを記載すること。(第31条)
  • 離島居住者に対して郵便販売等を行う場合には、備考欄に「離島居住者への薬局製造販売医薬品販売、第二類医薬品販売」と記載し、併せて離島の名称を記載する。(第31条)
  • 継続使用者に対して郵便販売等を行う場合には、備考欄に「継続使用者への薬局製造販売医薬品販売、第二類医薬品販売」と記載すること。(第31条)

  この条文を厳格に運用すると、郵便等の販売はかなり限定されますね。電話相談で漢方薬を通信販売で購入している人が、証が変わって他の薬に変更したい場合でもこれではできませんね。

 これにあわせて、今月12日〜18日に行われたパブリックコメント(TOPICS 2009.05.12)の結果が29日、発表されました。

「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の案」に関する意見の募集結果について(2009年5月29日結果公示)

 結果の内容は、第7回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会の資料2(→リンク)とほぼ同じですが、寄せられた意見に対し、代表的なもののみ厚労省の見解が示されています。

 それによれば、離島者の販売方法の確認法は示されただけで、継続販売については「後日通知」で、その他については判で押したような回答です。

 パブコメを出しても無駄だったと思うのと共に、継続使用者の確認方法を通知で定めてしまうのは、あまりにも都合がよすぎるのではないかと思います。

意見 回答
案のとおり進めるべき
(経過措置に対する賛成意見)
今般、薬局等のない離島の居住者(以下「離島居住者」という。)や薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第10号。以下「改正省令」という。)の施行前に購入した医薬品を現に継続使用中の者(以下「継続使用者」という。)の利便性に配慮し、平成23年5月31日までの間は、これらの方を対象として、薬局製造販売医薬品及び第2類医薬品の郵便等販売を行うことができることとしたところですが、薬事法の一部を改正する法律(平成18年法律第69号。以下「改正法」という。)の基本的な考え方は、医薬品の販売に当たっては、郵便等販売であるか否かにかかわらず、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものであり、薬局等のない離島や、継続使用者の範囲については、通知でできる限り明確にしたいと考えております。
なお、これら以外の方については、原則どおり、薬剤師等が対面で情報提供を行う必要があります。
医薬品の販売に当たっては、安全性を優先するべき。したがって、経過措置は設けるべきでない。 改正法の基本的な考え方は、医薬品の販売に当たっては、郵便等販売であるか否かにかかわらず、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものであり、改正省令において、郵便等販売については、薬剤師等によるあらかじめの情報提供が不要な第3類医薬品に限って販売可能とすることとしました。
しかしながら、今般、離島居住者や継続使用者の利便性に配慮し、平成23年5月31日までの間は、これらの方を対象として、薬局製造販売医薬品及び第2類医薬品の郵便等販売を行うことができることとしたところです。
なお、これら以外の方については、原則どおり、薬剤師等が対面で情報提供を行う必要があります。
離島居住者以外の者も対象とするべき。 改正法の基本的な考え方は、医薬品の販売に当たっては、郵便等販売であるか否かにかかわらず、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものですが、離島居住者は、それ以外の者と比較して、地理的制約から医薬品の購入が困難であること等のため、経過措置を設けることとしました。
継続使用者の範囲を広げるべき。 改正法の基本的な考え方は、医薬品の販売に当たっては、郵便等販売であるか否かにかかわらず、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものであり、改正省令において、郵便等販売については、薬剤師等によるあらかじめの情報提供が不要な第3類医薬品に限って販売可能とすることとしました。
しかしながら、今般、改正省令の施行前に購入した医薬品を現に継続使用中の者の利便性に配慮し、これらの方が同一の薬局等から同一の医薬品を購入する場合に限り、薬局製造販売医薬品及び第2類医薬品の郵便等販売を行うことができることとしたところです。
なお、これら以外の場合については、原則どおり、薬剤師等が対面で情報提供を行う必要があります。
「継続使用者」に対する郵便等の販売の方法等では、「継続使用者から情報提供を要しない旨の意思を確認したときは郵便等販売を行うことができる」となっており、安全性を確保するという改正薬事法の主旨からすれば「本末転倒」の感が否めない。「継続使用者」に対する郵便等の販売の方法等については、十分な情報提供の措置を講じた上でのみ行えるように改正いただきたい。 継続使用者に対する薬局製造販売医薬品又は第2類医薬品の郵便等販売は、薬剤師又は登録販売者が電話その他の方法により当該医薬品の購入者等から情報の提供を要しない旨の意思を確認し、かつ、情報の提供を行う必要がないと判断した場合に限って行うことができることとしました。
離島などの住民にのみ販売したかどうかの確認はどのように行うのでしょうか? 離島居住者に薬局製造販売医薬品又は第2類医薬品の郵便等販売を行う場合には、あらかじめ、その旨及び販売先の離島名を届け出なければならないこととしました。
また、販売又は授与の相手方の氏名、住所、連絡先及び当該医薬品の名称等を記載した記録を作成し、その作成の日から3年間保存しなければならないこととしました。
継続使用者とありますが、これはどのようにして確認がなされるのですか、この確認手続きに手間がかかるようでは、事実上、意味をなさない。 通知でお示しする予定です。
同一者が、同一店舗で、同一の医薬品を購入する場合、とはどのような管理をするのでしょうか。
第1類医薬品も対象とするべき。 第1類医薬品については、一般用医薬品としての使用経験が少ない等安全性上特に注意を要する成分を含むものであることから、離島居住者や継続使用者であっても、薬剤師が対面で情報提供を行う必要があると考えております。
2年に限らず、恒久措置とするべき 改正法の基本的な考え方は、医薬品の販売に当たっては、郵便等販売であるか否かにかかわらず、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものです。したがって、恒久措置は、改正法を施行しないことと等しく、適当でないと考えました。

関連情報:TOPICS
  2009.05.23 パブコメ結果に関わらず、改正省令は原案通り公布へ
  2009.05.12 医薬品のネット・通信販売の経過措置に関するパブコメ

5月29日 9:20更新し、タイトル変更 10:20更新 6月1日リンク追加 


2009年05月29日 00:51 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    継続使用者の定義について、通知で示されました。(いずれも厚労省HPにリンク)

    「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行について」
    (平成21年5月29日薬食発第0529002号医薬食品局長通知)(PDF:119KB)
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/kisokutuuti.pdf

    上記通知によれば、継続使用者とは
    「既存薬局開設者が、購入者等の自己申告のみによるのでなく、過去の販売記録等に照らし、当該購入者等に対して当該医薬品を販売し、又は授与した事実を確認し、かつ、当該医薬品の効能又は効果に照らし、現に継続して使用していると認める者をいい、施行後、その症状等が緩和するなど、使用を止めた者に対しては、当該医薬品と同一の医薬品の郵便等販売は認められない」 としています。

    つまり必要がなくなって、定期的な購入を止めてしまうと、れ以降は買えないということのようです。

    また、離島者への経過措置については、「薬局及び店舗販売業の店舗が存しない離島に居住する者」に限定し、具体的離島名(24都道府県280島)を示しています。

    参考:薬局及び店舗販売業の店舗が存しない離島(PDF:140KB)
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/ritou.pdf

    関連記事:【新販売制度】通販経過措置で通知‐280島をリストアップ
         (薬事日報 HEADLINE NEWS 6月1日)
           http://www.yakuji.co.jp/entry12639.html