ガチフロ錠が販売中止

 株式会社キョーリンと大日本住友製薬は9月30日、ガチフロ錠(ガチフロキサシン錠)を9月30日で自主的に販売を中止すると発表しました。

 広範囲経口抗菌薬「ガチフロ錠」の販売中止の決定について(株式会社キョーリン9月30日)
   http://www.kyorin-gr.co.jp/ir/release2008/080930.pdf

 ガチフロキサシンは、2003年3月に重篤な低血糖・高血糖の発現に関する緊急安全性情報が出されるなど、使用にあたっては注意な必要な薬ですが、米国では既に2006年6月に販売が中止されています。(プレスリリースには商業的な理由としていますが、医薬品監視団体のPublic Citizenによる販売中止を求めた請願などの影響が大きかったと記憶しています)

 今回、販売中止に至ったのは、米FDAが安全性等の理由によりガチフロキサシンをOrangeBook(承認医薬品リスト)から削除(2008.9.9官報)したためで、緊急安全性情報が出された後ものべ254人の副作用報告(読売新聞記事)があったこともあり、これ以上日本で販売を継続することができないと判断したためでしょう。

Determination That TEQUIN (Gatifloxacin) Was Withdrawn From Sale for Reasons of Safety or Effectiveness
   (Federal Register / Vol. 73, No. 175 / Tuesday, September 9, 2008
   http://www.fda.gov/OHRMS/DOCKETS/98fr/E8-20938.pdf

尚、ガチフロキサシン製剤には点眼薬などもありますが、これらの販売は継続されます。 

関連情報:
Public Citizen Calls on FDA to Ban Antibiotic Tequin〜
antibiotic Is Linked to Increased Risk of Blood Sugar Abnormalities,Responsible for 20 Deaths and 159 Hospitalizations
 (Public Citizen 2006.5.1)
http://www.citizen.org/pressroom/release.cfm?ID=2192

Petition to the FDA to Immediately Ban the Antibiotic Gatifloxacin (Tequin)
 (Public Citizen 2006.5.1)
 http://www.citizen.org/publications/release.cfm?ID=7430

抗菌剤ガチフロキサシンのあるべき位置はどこに
   (薬害オンブズパーソン会議注目情報2006.3.30)
 http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=119
米国パブリックシチズンが、ガチフロキサシンの使用禁止を求める請願書をFDAに提出
   (薬害オンブズパーソン会議注目情報2006.7.4)
 http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=129
抗菌剤ガチフロキサシンの危険性は承認前に明らかだった
   (薬害オンブズパーソン会議注目情報2006.11.1)
 http://www.yakugai.gr.jp/bulletin/rep.php?id=240

正しい治療と薬の情報(June 2006 Vol.21 No.6)
   http://www.tip.gr.jp/pdf/2006/2006_06.pdf

  ガチフロキサシン(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

参考:読売新聞10月1日
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20081001-OYT8T00347.htm
【杏林製薬/大日本住友製薬】抗菌薬「ガチフロ」の販売を中止
  (薬事日報Headline News 10月1日)
 http://www.yakuji.co.jp/entry8155.html

10月1日 12:15更新 18:10リンク追加


2008年10月01日 10:22 投稿

コメントが2つあります

  1. キノロン系の薬の中で唯一私が副作用なく飲める薬でした。
    これが無かったら副睾丸炎の治療お手上げになるところでした(他の抗生物質も体質に合わないので)。
    販売中止は残念です。

  2. アポネット 小嶋

    せっかく体に合う薬であったのに残念でしたね。

    くすりは一部の患者さんに有用であっても、トータルで安全性とリスクをはかりにかけて使われる必要があります。今回の販売中止は現場で利益よりリスクが大きいと判断され、使われなくなったという経緯があります。

    うりさんがよいくすりと思っても、専門家は市販後も多くの患者さんがリスクにあわないよう厳しい目でくすりの評価を行い、ときには市場から撤退を求める場合もあるのです。

    今後もこういったことは出てくると思いますので、くすりについてわからないことがあったら医師や薬剤師と話し合ったり、きちんと説明を受けて下さいね。