FDA諮問委、LABAs単剤は喘息に使用しないよう勧告

 12月6日のTOPICSで紹介しましたが、米FDAでは12月10-11日の2日間にわたって、成人や子どもの喘息などに広く使われている長時間作用型β2刺激吸入薬(LABAs:long acting beta-2 adrenergic agonists)のリスクとベネフィットを検討を行う、肺アレルギーの薬剤諮問委員会、薬剤安全とリスクマネージメント諮問委員会、小児科の諮問委員会による合同の諮問委員会が開催されました。

 諮問委員会では、メーカーや各分野の専門家などによる意見陳述の後、LABAsを含むSerevent(セレベント)、 Foradil(本邦未発売)、Advair(アドエア)、Symbicort(本邦未発売)について、リスク・ベネフィットについての年齢ごとの評決を行いました。

 その結果、LABAs単剤のSerevent、Foradilについては喘息への使用は行わないことを勧告した一方、ステロイドとの合剤であるAdvair、Symbicortについては、ベネフィットがリスクを上回るとして、使用継続を勧告しました。(左側の数値が使用について支持。右側の数字が不支持)

Brand Name 成分 成人 12〜17歳 4〜11歳
Serevent サルメテロール 10−17 6−21 0−27
Foradil フォルモメテロール 9−18 6−21 0−27
Advair サルメテロール+フルチカゾン 27−0 23−3 13−11
Symbicort フォルモメテロール+ブテゾニド 26−1 25−2 適応承認なし

 諮問委員会では、多くの専門家から臨床上有用だとしてLABAsの販売継続を求める意見が示された他、LABAsはステロイド吸入薬との併用が勧告されているにもかかわらず、LABAs単剤のものが単独で喘息患者の半数に使用されるなど、不適切な使用が有害事象を招いたのであったとして、ステロイド合剤であるAdvair、Symbicortは使用継続するべきであるとの意見で一致したようです。

 ただ、SereventとForadilはCOPDへの適応があり、FDAが喘息への承認を取り消しても今後も市場から撤去されることはないことから、喘息に誤って使用され、今後も有害事象の発現が懸念されます。

 一方、Advairの子どもへの使用は僅差で継続が支持されました。この背景には、子どもへの成長の抑制への懸念から、コントロール改善のためにステロイド吸入剤(単剤)をむやみに増量できないことから、LABAsとの合剤でステロイドによる副作用を軽減させたいとの考えがあったのかもしれません。なお、ファーストチョイスとしては使用しないことは確認されたようです。

 今後は、「ステロイド単剤」と「ステロイド+LABAsの合剤」との間に有害事象の発現の差があるかどうかなど、LABAsそのもののリスク・ベネフィットについて、さらなる再評価が必要と思われます。

関連情報:2008.12.06 長時間作用型β2刺激吸入薬の安全性に懸念(米FDA)

 EU当局は喘息患者をリスクに直面させている。そして日本でも・・
   (薬害オンブズパーソン会議 注目情報 2008.6.20)
   http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=205

参考:
FDA Advisers Would End Asthma Indications for Two Long-Acting Beta2 Agonists
  (Medpage TODAY 2008.12.11)
 http://www.medpagetoday.com/AllergyImmunology/Asthma/12126
Two Asthma Meds May Be Too Risky, FDA Panel Says
  (HealthDay 2008.12.11)
 http://www.healthday.com/Article.asp?AID=622182
F.D.A. Panel Votes to Ban Asthma Drugs
  (New York Times 2008.12.11)
 http://www.nytimes.com/2008/12/12/health/policy/12fda.html


2008年12月12日 12:49 投稿

Comments are closed.