喘息へのLABAsの使用は必要最少限に留めるべき(米FDA)

 米FDAは18日、成人や子どもの喘息などに広く使われている長時間作用型β2刺激吸入薬(LABAs:long acting beta-2 adrenergic agonists)について、喘息における単独使用を禁忌とし、ラベルの変更を行うことを発表しました。

FDA Announces New Safety Controls for Long-Acting Beta Agonists, Medications Used to Treat Asthma(FDA NEWS Release 2010.2.18)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm200931.htm

Questions and Answers:
New Safety Requirements for Long-Acting Asthma Medications called Long-Acting Beta Agonists (LABAs)(FDA 2010.2.18)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/InformationbyDrugClass/ucm200719.htm

 LABAsの単独使用をすべきではないとした勧告は、FDAの肺アレルギーの薬剤諮問委員会、薬剤安全とリスクマネージメント諮問委員会、小児科の諮問委員会による合同の諮問委員会が2008年12月にすでに行っています(TOPICS 2008.12.12)が、FDAではその後もレビューを続けていたようです。

 FDAでは、ラベルに次のような文言を加えることを義務づけています。これによると、LABAsの使用自体も必要最少限にするよう求めています。

  • 喘息のコントローラー(ステロイド剤)の使用なしにLABAsを使用することは禁忌とする
  • LABAsの長期使用は、コントローラーでのコントロールが十分にできない場合に限るべきである
  • LABAsの使用は、喘息の症状のコントロールが成し遂げられまでの必要最少限の使用に留め、コントロールができたのであれば、LABAsの使用はやめられるべきで、コントローラー(ステロイド剤)のみでコントロールされるべきである
  • 喘息を持つ親は、コンプライアンスを高めるため、ステロイド剤とLABAsの合剤を使用すべきである

 つまり、FDAではLABAsとステロイドの合剤(アドエア、シムビコート)についても、喘息コントロールができたのであれば長期にわたって使用すべきではないとしています。このため、GSK社、アストラゼネカ社からは、合剤が死亡リスクや入院リスクを高めるというデーターはなく、今回のラベル変更は「非常にあいまい」であると反発していますが、今後、治療ガイドラインの変更につながる可能性もあります。

 なお、今回使用規制の対象となるのは喘息のみで、COPDについては使用規制の対象ではありません。(リスクガ高まるというエビデンスはなかった)

 また、今回の発表となった根拠についての資料は、3月に行われる肺アレルギーの薬剤諮問委員会、薬剤安全とリスクマネージメント諮問委員会による合同の諮問委員会で公表されるとしています。

March 10-11, 2010: Joint Meeting of the Pulmonary-Allergy Drugs Advisory Committee and Drug Safety and Risk Management Advisory Committee Meeting Announcement
 http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/Calendar/ucm199871.htm

日本語訳概要が、医薬品安全性情報Vol.8 No.07に掲載されています。
 http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/07100401.pdf

関連情報:TOPICS 2008.12.12 FDA諮問委、LABAs単剤は喘息に使用しないよう勧告

参考:
FDA Says LABA Asthma Drugs Not for Solo Use
 (Medpage TODAY 2010.2.18)
http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/Prescriptions/18552
Glaxo, AstraZeneca Asthma Drugs Need Risk Studies
 (Busienss Week 2010.2.18 Bloomberg配信)
http://www.businessweek.com/news/2010-02-18/
glaxo-astrazeneca-asthma-drugs-need-risk-studies-update1-.html

4月2日 リンク追加


2010年02月19日 11:39 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    米FDAは6月3日、LABAs配合の製品について勧告に基づくラベルの変更が行われたと発表しています。

    Long-Acting Beta-Agonists (LABAs): New Safe Use Requirements
    (FDA safety Information 2010.6.3 Update)

    メーカーもコメントを出しています。(ちょっと不服そうですが)

    FDA updates US product labels for LABA-containing medications including AstraZeneca’s SYMBICORT
    (AstraZeneca Press Release 2010.6.2)