タミフルとせん妄・意識障害の関連性(国内研究)

 既に一部サイトで紹介されている論文ですが、全文を見ることができたので紹介します。

インフルエンザ罹患後の精神神経症状と治療薬剤との関連についての薬剤疫学研究
(薬剤疫学、15(2)73-92、2010.)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpe/15/2/73/_pdf/-char/ja/

 この研究は、2006/2007年シーズンにインフルエンザに罹患した18歳未満の患者で調査できた9,389人を対象に、精神神経症状のうちせん妄、意識障害、熱性けいれんと使用薬剤(アセトアミノフェン、タミフル)との関連について解析した薬剤疫学研究で、次のような結果が得られています。

  • せん妄の発生は、アセトアミノフェンで1.55倍、オセルタミビルで1.51倍とリスクの増大が見られたが有意差はなかった。(但し、オセルタミビルは使用状態での発生率が発熱後6~12時間に極めて高いピークを形成)
  • 意識障害の発生は、アセトアミノフェンで1.06倍だったのに対し、オセルタミビルでは1.79倍(有意差あり)となり関連性が疑われた。
  • 熱性けいれんについては、アセトアミノフェン及びオセルタミビルとも発生リスクの増大との関連は認められなかった。

 一方考察では、

  • 抗インフルエンザ薬に対する当局の規制が『10歳以上の未成年』とされているが、15歳以上での発生率はむしろ低く、10歳未満で事故につながりかねない異常行動の発生率が高い可能性があることは留意する必要がある
  • 異常行動は眠りから覚めて直ぐにおこったが62%占め、時間帯は夜~深夜の時間帯の発生率が高率だった
  • 意識障害や異常行動の既往がある場合にせん妄の発生率が高率であった

といった指摘が行われています。

 研究者らも指摘しているように、限界や議論すべき点が多い研究ですが、研究者らの考察には私たちも留意する必要があるでしょう。

関連情報:
タミフルとせん妄・意識障害に有意な関連:薬剤疫学研究の結果から
(薬害オンブズパースン会議 注目情報 2011.06.23)
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=328
タミフル使用でせん妄-意識障害が増加~疫学研究で指摘
(『薬のチェックは命のチェック』 インターネット速報版No141)
http://npojip.org/sokuho/110305.html


2011年07月31日 16:58 投稿

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