高齢者住宅患者向けの薬剤レビューの現状と課題(豪州)

服用薬剤調整支援料2のモデルとなっている、豪州の薬剤レビュー(Medication Review)が話題となっていますが、この論文では豪州における高齢者住宅患者向けの薬剤レビュー(Residential Medication Management Review(RMMR))の概説と課題が論じられています。

Australas J Ageing. 2026 Feb 23】
‘A Joint Effort’: Stakeholders’ Perspectives of Medication Management Reviews in Australian Residential Aged Care
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ajag.70142

豪州のRMMRプログラムは、高齢者ケア住宅の入居者向けに1997年に導入された、連邦政府が資金提供する薬剤師主導のサービスとして開始。

対象となる入居者は、入居時、12か月ごと、または入居者の状態変化時に実施されるのが一般的。

またこのプロセスでは、認定薬剤師が入居者のかかりつけ医(GP)と協力し、必要に応じて専門医も協力。

実施対象者が特定されると、RMMR提供者は通常、印刷された用紙、電子メール、ファックスなどの手動プロセスを通じてGPに紹介依頼を送信し、その後、入居者または介護者からレビューへの同意を得る。

薬剤師はその後、高齢者ケア施設を訪問し、複数のシステムから情報を収集し、入居者やスタッフへの聞き取りを行い、薬剤使用を最適化するための提言を準備します。

RMMRプログラムの規定に従い、GPは入居者または介護者、およびレビュー薬剤師と相談の上、薬剤管理計画が作成される。

この研究では、GP、ナースプラクティショナー、登録看護師、薬剤師、医療消費者を含む21名の関係者を対象に、個別インタビューとフォーカスグループによる調査が実施。その結果、このサービスの有益性は示されているものの、薬剤管理改善への全体的な効果についての課題が指摘。

薬剤師の推奨事項に対するGPの受容度は大きく異なり、推奨事項のうち実際に実施されるのはわずか45%に過ぎなかった。

加えて、プロセスにおける医療消費者の関与や患者中心の取り組みについては、十分に理解されていないのが現状。

聞き取り調査の結果、現行モデルでは、入居者の事前スクリーニング、透明性、利用者参画の機会が限定的であること、断片化したデジタルシステム、非効率な連携、そして提供者のモチベーションのばらつきが、効果的なRMMR実施を阻害しうることが明らかになった。

研究者らは、利用者教育、学際的連携の改善、統合デジタルシステムなどの的を絞った介入を通じてプログラムを強化することで、高齢者ケアにおけるRMMRの普及範囲と影響力を高めることができるとしています。

こういった教訓から豪州では、2024年からは地域薬局や直接雇用を通じて、資格を有する薬剤師(Aged care on-site pharmacist:高齢者介護施設常駐薬剤師)がこういった施設内で専任で働けるよう、雇用する仕組みが開始されています。(→TOPICS 2025.08.16

関連情報:TOPICS
2025.08.16 高齢者介護施設常駐薬剤師(Aged Care On-site Pharmacist)(豪州)


2026年03月07日 14:49 投稿

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